木曜日(25日)の夜は、77期岡山労働学校の第6講義。
テーマは、
「労働組合の役割と視点-その過去・現在・未来」でした。
参加は16名と、残念ながらちょっと少なかったです。
いつものように
3グループで
討論しました。
さて、講義ですが、
今期はマルクスの『資本論』をベースに
講義をしているので、この労働組合論も
マルクスの「労働組合 その過去・現在・未来」を
紹介して、その流れで組み立ててみました。
とにかく、マルクス教室なのであります。
受講生は、「その未来」のところの、文章に
感動していた人が多くいたようです。
そうなんですよ!
労働組合は自分たちの要求とともに、
もっともしいたげられている人のために
たたかう組織なのであります。
そして、討論では労働組合の経験がない人と
労働組合に入っている人がバランスよく配置され(たまたま)、
すごくいい交流になったようです。
いろいろ発見やら、労働組合への見方が
変わったのではないでしょうか。
また、いつものように小難しい講義なのに、
みんな頑張って聞いてくれています。
受講生の意欲に支えられています。ほんと、感謝のひと言です。
さて、講義レジュメはこちら→rouso.pdfをダウンロード
資料として、今年1月にあったフランスのゼネスト、
1960年の安保改定の様子を紹介しました。
時間が足りなくて、階級闘争の3つの側面の
ところは完全に省略。あと2回の講義のどこかで
ふれたいと思います。
以下、講義の概要です。
一。前回までのおさらい
(省略)
二。労働者階級と、労働組合の成長・発展
1。労働者階級こそが、社会変革の担い手である
◇マルクス以前にも、資本主義を批判する社会主義思想はたくさん存在した
「しかし、空想的社会主義はじっさいの活路をしめすことがで
きなかった。それは資本主義のもとでの賃金奴隷制の本質を
説明することもできず、資本主義の発展法則を発見することも
できず、また新しい社会の創造者となることのできる社会的
勢力を発見することもできなかった」
(レーニン『マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分』)
◇労働者が、たたかいの指針を得、自己の力を認識するために-理論の力
「階級闘争は理論よりも先にはじまる。理屈よりもまず、労働
者はたべてゆかねばならないし、生きてゆかねばならない。黙っ
ておとなしくしていたら殺されてしまうのだ。人間としてあつかっ
てもらえないのだ。・・・たたかわないわけにはいかないが、どっ
ちの方向へ向いて、どんな見通しをもって、たたかってゆけば
よいのか。そういう不安や疑問にこたえて、たたかいのなかから、
だんだん理論ができあがってゆく。そしてこれを体系的に仕上
げたのが、いうまでもなくマルクスとエンゲルスで、その理論は
科学的社会主義の理論とよばれるようになった」
(浜林正夫『新装版 物語 労働者階級の誕生』学習の友社、2007年)
「マルクスとエンゲルスの労働者階級にたいする貢献は、短い
言葉で表現すれば、つぎのようにいうことができよう。彼らは労
働者階級に、自己を認識し、自覚することを教え、夢想を科学に
変えた、と」 (レーニン『フリードリヒ・エンゲルス』)
【ワンポイント学習①-社会変革は、人びとのたたかいが鍵をにぎる】
*資本主義の矛盾がどんなに深くなっても、自動的に資本主義が
自滅したり、次の社会にとってかわられることはない。
*いつの時代でも、人びとの、やむにやまれぬたたかい(階級闘争)
によって、歴史は動き、発展してきた。
→社会発展史は、また別の機会にぜひ学んでください!
【ワンポイント学習②-階級とは何か】
*生産手段(土地・建物・機械・原材料)の所有関係のよって区別
される社会的な集団のこと。富の分配も、とうぜん区別される。
*人類は、階級のなかった(生産手段を共同所有していた)原始
共産制社会から、奴隷制、封建制、資本主義という階級社会を
経験してきている。
2。「労働組合 その過去・現在・未来」(マルクス、1866年)
◇その過去
「資本は集積された社会的力であるのに、労働者が処理できる
のは、自分の労働力だけである。したがって、資本と労働力の
あいだの契約は、けっして公正な条件にもとづいて結ばれ
ることはありえない。それは、一方の側に物質的生活手段と
労働手段の所有があり、反対の側に生きた生産力がある一社
会の立場からみてさえ、公正ではありえない。労働者のもつ唯
一の力は、その人数である。しかし、人数の力は不団結に
よって挫(くじ)かれる。労働者の不団結は、労働者自身のあ
いだの避けられない競争によって生みだされ、長く維持される。
最初、労働組合は、この競争をなくすかすくなくとも制限して、
せめてたんなる奴隷よりはましな状態に労働者を引き上げるよ
うな契約条件をたたかいとろうという労働者の自然発生的な試
みから生まれた。だから、労働組合の当面の目的は、日常の
生活をみたすこと、資本のたえまない侵害を防止する手段
となることに、限られていた。一言でいえば、賃金と労働時
間の問題に限られていた。労働組合のこのような活動は正当
であるばかりか、必要でもある。現在の生産制度がつづくかぎり、
この活動なしにはすますことはできない。反対に、この活動は、
あらゆる国に労働組合を結成し、それを結合することによっ
て普遍化されなければならない。
他方では、労働組合は、みずからそれを自覚せずに、労働者
階級の組織化の中心となってきた。それはちょうど中世の都市や
コミューンが中間階級〔ブルジョアジー〕の組織化の中心となった
のと同じである。労働組合は、資本と労働のあいだのゲリラ戦に
とって必要であるとすれば、賃労働と資本支配との制度そのもの
を廃止するための組織された道具としては、さらにいっそう重要
である」
*世界で最初に資本主義が発展したイギリスでの、労働者の成長
<産業革命による機械の導入、労働者の状態の悪化>
・低賃金、長時間労働、無権理状態
<個人的抵抗から出発した>
・1日の労働によってつくりだした商品をふところに入れても持ち
出し、それを町で売りさばくという、「ぬすみ」という抵抗。しかし、
もちろん犯罪として処罰された。
<集団的な暴動-その典型は、機械うちこわし(ラダイト)>
・労働者の苦しみの原因のひとつが「この機械にある」として、う
ちこわしを始める。しかし、これも重大犯罪として処罰の対象と
なり、効果をあげることはほとんどなかった。
<ストライキの発明>
・集団的な仕事放棄。労働力販売のいっせい中止。資本家には、
これが一番痛かった。しかし、ストライキのときだけの団結では、
効果のあるたたかいができないことを学び、恒常的な団結の組
織、労働組合の結成に到達していく。
<団結禁止法>
・労働者のたたかいを恐れた資本家は、政府に団結禁止法をつ
くらせ、ストライキと労働組合を禁止し、犯罪として取り締まる。
イギリスの労働者は、まさに命がけのたたかいを強いられた。
・それでも、イギリスの労働者は屈することはなかった。敗北をく
り返しながらも、ついに1824年には団結禁止法を廃止させる歴
史的勝利を勝ち取る。
*労働者の成長物語・日本ヴァージョン-高井としを(資料参照)
*日本の労働組合の創設に走り回った片山潜は岡山・久米南町出身
◇その現在
「労働組合は、資本にたいする局地的な、当面の闘争にあま
りにも埋没しきっていて、賃金奴隷制そのものに反対して行動
する自分の力をまだ十分に理解していない。このため、労働組
合は、一般的な社会運動や政治運動からあまりにも遠ざかって
いた。だが、最近になって、労働組合は、自分の偉大な歴史
的使命にいくらか目ざめつつあるようにみえる。それは、た
とえば、イギリスの労働組合が近年の政治運動に参加している
こと、合衆国の労働組合が自分の役割についていっそうひろい
見解をいだいていること、さらに最近シェフィールドでひらかれた
巨大な労働組合代表会議が次のような決議をおこなったことか
らみて、明らかである。
『本会議は、すべての国の労働者を一つの共通の兄弟のきず
なで結びつけようとする国際協会の努力を十分に評価し、全労
働者の進歩と福祉にとって協会が必要欠くべからざるものであ
ることを確信して、本会議に代表を送った各組合に、国際協会
への加盟を心から勧告する』」
*資本の横暴を規制する法律をつくるために
・労働者自身の政治組織が必要という要求が高まってくる
*イギリスのチャーティスト運動・・・労働者にも選挙権を!(普通選挙権を)
*全国的なたたかい、すべての国の労働者の連帯を
「ときに労働者たちは勝つこともあるが、それはただ一時的でし
かない。彼らの闘争の本来の成果は、直接の成功ではなく
て、労働者たちがますます広く自分のまわりにひろげてゆ
く団結である。労働者たちの団結は、大工業が生み出して、
種々の地方の労働者たちを互いに結びつける交通手段の増
大によって促進される。しかし、いたるところで同じような性格
をもっている多くの地方的闘争を、1つの全国的な闘争に、1
つの階級闘争に集中するためには、団結だけが必要なのであ
る」 (マルクス・エンゲルス『共産党宣言』1848年)
*日本にも労働者階級の政党を・・・片山潜などの奮闘
・労働者階級の政党として、社会民主党を1901年に結成する。
しかし、結党の2日後には解散させられる。その綱領には、
①人類はすべて同胞である(国際連帯)、②世界の平和と
軍備全廃、③階級制度全廃、④土地および資本の公有、
⑤鉄道、船舶、運河、橋梁など交通機関の公有、⑥財産の
公平な分配、⑦人民が平等に政権をえること(普通選挙権)、
⑧教育の機会均等と無償化、という理念を示していた。
・1922年、日本共産党の創立。科学的社会主義を理論的な基
礎とし、労働者階級の政党として誕生する。
*労働者の最大の力は「数」(資料参照)
・イタリアのゼネラルストライキ(2002年)
・フランスでも今年1月に250万人が参加してゼネストが行われている
・職場や地域、社会を動かしているのは誰か
・日本の労働者も、ものすごいたたかいの歴史をもっている
(安保闘争など)
◇その未来
「いまや労働組合は、その当初の目的以外に、労働者階級の
完全な解放という広大な目的のために、労働者階級の組織
化の中心として意識的に行動することを学ばなければな
らない。労働組合は、この方向をめざすあらゆる社会運動と
政治運動を支援しなければならない。みずから全労働者階級
の戦士、代表者をもって自認し、そうしたものとして行動してい
る労働組合は、非組合員を組合に参加させることを怠るこ
とはできない。労働組合は、異常に不利な環境のために
無力化されている農業労働者のような、賃金のもっとも低
い業種の労働者の利益を細心にはからなければならない。
労働組合の努力は狭い、利己的なものではけっしてなく、
ふみにじられた幾百万の大衆の解放を目標とするものだ
ということを、一般の世人になっとくさせなければならない」
*「組織化の中心として意識的に行動することを学ばなければならない」
*「非組合員を組合に参加させることを怠ることはできない」
*「異常に不利な環境のために無力化させられている農業労働者のよう
な、賃金のもっとも低い業種の利益を細心にはからなければならない」
→今日の労働組合運動への豊かな指針となる言葉
以上(以下省略)。
受講生の感想。
「労働組合が職場にはあたりまえにあるので、
ありがたみがなかったけど、その歴史を知って
大事にしないといけないなと思いました」
「みんなのことを考えて、一番弱い立場の人の
ために闘える労働組合、そんな輝かしい組合を
大切に育てていきたいなあ」
「イタリア、フランスのストライキはすごいですね。
日本では大きなストライキはないですね。プロ野
球のストライキには世間も驚いた記憶がありま
すが…」
「今ではあたりまえのように存在している労働
組合ですが、その組合ができるまでには労働
者たちの命がけのたたかいがあって、現在まで
道ができているんだなあと感じました」
「グループ討論で、労働組合に入って活動して
いる人のお話を聞けてとっても興味深かった
です。もっと聞いてみたい! 労働組合って利
己的な目的ではなくて、社会全体のために頑
張ってるっていうのがいいなー。うちの会社にも
あったら楽しそう☆。作りたい…な」
「労働組合の役割が大事であることが分かった。
フランスのゼネストのように広くすべての国の
労働者全体で行動を起こしていくことも重要だ
と分かった」
「労働組合が、最も低い賃金+立場の人たちを
助けるものだというくだりに感動しました」
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