ソワニエ看護専門学校の3回目の授業。
読書日記では、『ベッドまわりの環境学』という、
かなり面白かった本の感想を語りました。
これはのちのちまた詳しくご紹介します。
今日は、絵本『わたし』(谷川俊太郎ぶん、長新太え、福音館書店)
をつかって、いろいろと考えていきました。
マルクスが、「フォイエルバッハにかんするテーゼ」のなかで、
「人間的本質は、個々の個人に内在するいかなる
抽象物でもない。人間的本質は、その現実性に
おいては、社会的諸関係の総体である」(テーゼ六)
と言っていますが、この絵本は、まさにこのテーゼを
絵本で表現したものといっても、言い過ぎではないのかな、
と思ったりしてります(学生さんにはこの言葉は紹介してませんが)。
最初に、学生さんの絵本の印象・感想・疑問を出してもらい、
それを紹介しつつ、私の「読み方と考え方」を紹介してみました。
以下、そのメモ。
◇人はどうやって自己を認識するのか
*「わたし」とは何か?
・自分だけポツンと1人で存在しているだけでは、問いようのないもの。
*多面的な「顔」をもつ。無数の「顔」の結晶が「わたし」。
*もちろん、さまざまな「顔」には強弱があり、それがその人のアイデンティティ
をつくっていく。
◇「どんなつながりのなかで生きているのか」「どういうつながりを大事にしていくのか」
*それが、自分の生き方や役割を創りだしていく
*一生涯のなかで、どんどん変化していくもの
*つながりは、広がるし、新しく創ることができる
*ところが、「無縁社会」という言葉も生まれてきた、現代社会のひずみ
◇あるひとつの視点だけしか目が向かないとき-「あの人は〇〇だ」という固定化
*人への見方への奥行きをもてるかどうか
・ただ、こうした見方は、非常に難しい。エネルギーが必要。
・興味と、関心と、好奇心と
*「自殺者3万人」「派遣切り〇万人」-「顔」がみえない数字の怖さ
*医療者として
・「医療者→患者」としての視点とともに、「多様な顔の結晶」としての「その人」
への視点。
以上。
「誰と関わるかや環境によって、自分は様々な自分に
変わって行けるのだということを聞いて、なんとなく
元気になりました。この先、色々つまづくこともあるけど、
自分も未来も変わることができると信じてがんばって
行きたいなと思いました」
という感想が。
そう。
みなさんの可能性は、無限に広がるんですっ。
人間は、社会的に生きています。
そして、環境から影響をうけつつ、環境を変えることができます。
すごい存在なんです。
「今日の授業は、とても考えたので、頭が疲れました」
という感想も。
「覚える学習」ではなく、「考える学習」という色合いが強いですからね。
おつかれさまです。
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