きょう(26日)の午後は、PPO(ピースピースおかやま)の
核ZERO講座の6回目(最終回)。参加5名。
講義終了後の感想交流のようす。
最終回のテーマは、
「平和運動とはそもそも-この活動の難しさと魅力」
というもの。1時間ほど話をしました。
なんか、この話はすごく「聞きたかった」という
要望が多いね。日々の活動でいろいろ苦労や悩みが
あるからだと思います。
私自身も、準備するなかで、いろいろ思考の整理に
なりました。
こういうザクッとしたテーマですから、
どのような切り口からでも語ることは可能ですが、
やはりPPOの若い人たちの力になる話をと思い、
準備しました。
感想交流も、とてもよい議論になっていました。
若いみなさん、これからもがんばりましょい!
さて、レジュメだけでは、
つっこみどころもあるかもしれませんが、
以下、その概要です。
一。平和運動は、楽しいものか?
1。平和を求める力は、どこから湧いてくるのか
◇戦争や暴力
*人間の殺戮という行為への嫌悪感や拒否感、人が人で
あるための根源的問題
*「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度
まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害
から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び
価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらた
めて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ず
る義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一
層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを
促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、且つ、
善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び
安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利
益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と
方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び
社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決
意して、これらの目的を達成するために、われらの努力
を結集することに決定した」 (国連憲章前文)
*「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの
安全と生存を保持しようと決意した」 (日本国憲法前文)
*「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に
希求し」 (日本国憲法第9条)
◇平和な状態のところからは、平和思想はけっして生まれない
2。インプットは悲しみや怒りや痛み。アウトプットは、多様でいい。
◇人間の歴史や行為の負の部分を、自分のなかに入れる作業・・・
*第2次世界大戦(1939~1945)、アジア太平洋戦争
アジアへの侵略戦争、植民地支配、日本軍の行為、虐殺、
毒ガス、性犯罪、捕虜虐待、「従軍慰安婦」、強制連行、
日本軍の特質、特攻、靖国問題、総動員、教育・・・
*空襲被害、沖縄戦、原爆、残留孤児・・・
*朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガン・・・
*地域紛争、テロ、内戦、中東問題、少年兵問題、戦争の民営化・・・
*米軍基地問題、侵略戦争への無反省、自衛隊、世界有数の
軍事費、安保条約・・・
*こうした事象と関わりのある、歴史的背景、政治・経済的背景・・・
◇こうした事実をリアルに「知る」ことは、楽しいことではけっしてない
◇自分のなかで、それらの事実を受けとめ、そしゃくし、伝える
*なぜ、「伝えるのか」
*言論の自由、表現の自由、学問の自由を奪われるところから、
戦争は準備されていく。それは過去の歴史的教訓。考えない、
疑問をもたない国民が多数であれば、戦争はしやすい。
*女優の吉永小百合は、なぜ「原爆詩の朗読」の活動を25年も
続けているのか。
◇「伝え方」(アウトプットの方法)は多様であっていい。
*その表現の仕方が、その人(集団)の人間性をつくっていく。
*得たことを人にしゃべってみる。学習の場をつくる。朗読。音楽。
写真。映像。行進。折鶴。アート。etc。
「同時に大切なことは、それらの作品によりそうだけではなく、
私たちの活動において美を意識することである。むろん行動
や主張の中身が第一義的に吟味されなければいけないこと
はいうまでもない。だがそれを包む外見に、私たちはもっと鋭
敏であってもよいはずだ・・・(略)。どこまで遠くの人々に、ど
れだけ多くの人々に、そのメッセージを届けることができるか
は、その外見の魅力に少なくない部分が左右されるからである」
(川田忠明『名作の戦争論』新日本出版社、2008年)
「『戦争反対』のスローガンと運動が、よい現実的な力を発揮
するには、その構造を認識し、告発することが欠かせない。そ
して、その洞察をより多くの人々が共有することを可能にする
のは、人々の情感をとらえる生きた表現である。
その表現の獲得のために、私たちは、よりいっそうの努力
が求められている。すでに己の表現(音楽、絵画、デザイン、
舞踊、演劇、著述など)を所有している人々と運動とのコラボ
レーションは、より積極的に推進されるべきであると思う」
(同上)
「『このメッセージは大事だから、みんなで歌いましょう』だけ
ではなく、『カッコイイと思ったけど、実は中身はこうなのか』
といった心の捕え方が、巨大な広がりを創っていくうえでは
重要だと思う」 (同上)
*「当事者の言葉」や「その場所」のもつ、特別の力
◇戦争を体験していない世代の「伝え方」と「伝え続ける努力」
*1人ひとりの体験を大事にしながらも、私たちはある程度「戦
争」というものを客観的にみれたり、考えられる位置にいる。
*戦争の構造や全体像を伝えることができる世代。そこをきち
んと伝えられれば、戦争をなくしていく力を育てることができる。
二。平和活動のきっかけー「たまたま」の意味
1。だれでも、「平和活動をしよう」と思って、生まれ育ってきた
わけではない
◇たまたま、そういうきっかけや環境があった
「戦争体験者の証言を聴く、巨大な暴力によって、何も
語ることが許されないままこの世から消された死者たち
の記憶を掘り起こし、声を聴き出していく、そしてそれら
を自分自身の身体と声と言葉で伝えていく実践をなぜ
彼女らや彼らが選び取ったのか、という問いを発してみ
よう。
答は『たまたま』ということになるだろう。1人として、
現在行なっている実践が、自分の生きてきた生活史や
生育史の中で必然的だったとは語っていない。
…(略)彼女らや彼らは、偶然に戦争体験者やその証
言、あるいは遺骨や遺品に直面したのだけれども、その
未知との遭遇をしっかりと自分でつかみとり、対になって
つれあってきたのであり、その中でなかまを増やしてき
たのだ」
(小森陽一監修『戦争への想像力ーいのちを語りつぐ若者たち』
新日本出版社、2008年)
*同じ出会いがあっても、人によって、とうぜん受けとめが違う
2。たまたまのなかにある、必然性ーその拡大を
◇ヒロシマのある国で(山本さとし)
八月の青空に 今もこだまするのは
若き詩人の叫び 遠き被爆者の声
あなたに感じますか 手のひらの温もりが
人の悔し涙が 生き続ける苦しみが
わたしの国とかの国の 人の生命(いのち)は同じ
このあおい大地のうえに同じ生を得たのに
ヒロシマの有る国で しなければならないことは
ともるいくさの火種を 消すことだろう
◇日本国憲法のある国で
*平和教育、伝える手段の多様さと、頻度の多さ。
世界にまれにみる平和運動の国。
*戦後ずっと続いてきた、「憲法を変える」ことをめざす
政治権力の国で
*たとえば、アメリカという国で「たまたま」に遭遇する可能性
◇たまたまのきっかけや出会いを、広げることーそれぞれの場所で
*「活動家とは、場をつくる人のこと」(湯浅誠)
三。この活動の難しさと魅力
1。平和活動の難しさ
◇活動をやめても、困る人が少ない
*日本はいま、戦争状態ではない
*沖縄は遠いし、岡山に米軍基地はないし、戦争被害者はあまり
身近にいないし・・・
◇すぐに成果がみえない(急がないといけない課題も多いが)
*目に見えて日々変化していくという活動課題ではない。
*5年、10年、場合によっては数十年かかる課題もある。
◇真実を直視することは、つかれることでもある
*楽しいこと、心地よいことを選ぶことは大事だし必要なこと。
*支えあう仲間や、余裕がなければ、なかなか難しい
「こういうヘビーな問題は、一人では行きづまるんです。
メンバーの半分以上はそうだったと思う。正直、勉強し
て何が変わるんだと疑問に思うこともありました。そうい
うときに、ゼミのメンバーが支えてくれました」
「一度は立ち止まるときがあるんです。韓国に行く前、
すごく落ち込んでた人もいました。その時、みんなで『一
緒にがんばろうや』と励ましあったりしてきました」
(石川康宏ゼミナール『「慰安婦」と心はひとつ
ー女子大生はたたかう』 かもがわ出版、2007年)
◇日本社会全体の、「活動」へのイメージの悪さ
*社会や政治に物申す、ということが、ふつうでないように
見られる。ものわかりが悪い、偏った人間のように見られる。
2。平和運動で、未来をひらく
◇だけど、それでも、平和活動をする
ーそこに人間の素晴らしさ、尊さがある
*そういう感性をもった自分や仲間は、尊敬できる存在
*自分なりの意味や目的、その手段を時々見つめなおす作業を。
仲間と一緒に。
◇人間としての豊かさが、活動のなかで花開く
*さまざまな人との出会い。感じたことのない感情との出会い。
*想像力がなければ、平和運動はできない。人の痛みへの想像
力、豊かな人間社会への想像力をつちかう活動。それは、日本
社会をよりましな社会へと前進させる力に。
◇これまでの平和活動を引き継ぎながら、新しい活動文化を
「古いものを古く感じるがゆえにしまい込み、新しいもいの
を新しく見えるがゆえにもてはやす、という風潮は、長期
的に見れば断絶に断絶を重ねるだけの結果となり、新し
さの顕揚(けんよう)の裏で蓄積の豊かさを切り捨てること
に帰結する。それは結局、活動全体の貧しさをもたらすこ
とにはならないか」
(湯浅誠『活動家一丁あがり!―社会にモノ言うはじめの一歩』
NHK出版新書、2011年)
◇東日本大震災、福島原発事故は、
大きな転換点(にしなければならない)
さいごに:学びと交流の場を、今後もねばり強く。期待してます!
以上。
PPOでは、修了企画として、
7月9日(土)に広島日帰り碑めぐりツアーを
企画しています。私も参加予定です☆
広島に日帰りで行けるって、
やっぱり岡山の運動の大きなアドバンテージだよなあと思います。
力にしていかなければ。
あきやんさんお久しぶりです☆
本楽しみです!
沖縄戦の研究・調査記録も、ぜひ本にしてくださ~い。
投稿情報: 長久 | 2011年6 月30日 (木) 07:05
お久しぶりです。
麦に連載していた「軍都廣島」。7月に本になります。(恥ずかしながら)
岡山でも,ひろめてやってください。
昨日まで沖縄に行って,南風原文化センターで沖縄戦跡の写真展の準備していました。友人のカメラマンの撮ったものです。7月15日まで展示してあります。
その沖縄戦跡の写真パネルを手元に保管しています。
広島では『平和のための戦争展』で展示をする予定です。
岡山でも,展示や活用の機会があれば,お貸しします。
投稿情報: あきやん | 2011年6 月29日 (水) 23:13
書記長さんおつかれさまです。
1日の学習会がんばります☆
投稿情報: 長久 | 2011年6 月26日 (日) 22:32
レジュメを携帯電話で呼んだら若干疲れましたが、これまで活動に「美」を意識したことはなかったですね〜
投稿情報: 書記長 | 2011年6 月26日 (日) 19:38