きょう(21日)の夜は、83期岡山労働学校の
第6講義がありました。17名参加。
テーマは、
「資本主義社会で働くということ-マルクスが教えてくれること」
でした。講師は私(長久)が担当しました。
いきなりグループ討論のようすですが。
まあ、1回ではとてもしゃべりきれない
テーマですので、
「つくる」「うる」「つかう(役立つ)」という
ことの関連をとにかく分かってもらおうと、
そこを中心に話をしました。
(後半はまったくふれられず、タイムオーバーに)
以下、講義の概要です。
一。資本主義社会って、なんですか?
◇しつもーん!
二。「つくる」と「つかう」のあいだに
◇労働がなければ人間は生きていけないし、社会は成り立たない。
*自然に手をくわえ、人間に有用なものに変える
(道具や機械をつかって)
*労働生産物はいつの時代でも
◇商品
◇市場
◇労働者と資本家
三。資本主義社会における生産活動の特徴
1。ほとんどすべての生産物が「商品」として生産される
◇「商品」とは、「他人に売るために」つくられたものと
一応しておきます。
◇商品やサービスを生み出すには、生産手段と労働力が必要
*生産手段とは、土地・機械・建物・原材料など
*その生産手段は、資本家が私的に所有している
2。資本家が、労働者を雇って生産をおこなう
◇資本家は、労働市場で「労働力」を買う
◇労働者は自分の労働力を商品として、時間ぎめ(たとえば8時間)で
売っている。
*労働力とは、働くためのエネルギー(精神的・肉体的)のこと
*労働者は、生産手段を持っていない。
→どこかの会社に労働力を売らないと、生きていけない存在。
【労働者が労働力という商品を市場で売るようになるためには】
①居住地や職業をしばられない自由な人格
②生産手段から自由な(切り離された)存在
→職業選択の自由
→失業(飢死)の自由
◇資本家と労働者は、もちつもたれつだが、立場は圧倒的に
資本家有利
3。資本家が商品生産を行なう基本的な目的は、
利潤(もうけ)獲得のため。
◇「もうかる」ものなら、なんでもつくる
(「売れる」ものならなんでも売る)。
*戦闘機、戦車・・・
*原発
*賞味期限切れの食品、粗悪品、悪徳商品
*「人びとのしあわせ(地域や社会)のため」は2次的に
「うる」が第1の目的になってしまう社会!
◇「うる」ために…労働者への搾取強化を
資本家は行います(競争している)。
*賃金を抑えようとします
*長時間、過密労働をさせようとします
◇「もうからないもの」なら、社会が必要としていても
つくらない(つくれない)。
*利益があがらないところに、資本はやってこない
*労働者にとって、自分の労働の結果である「商品」や
「サービス」が、「売れなければならない」という仕組み
が、本来「喜び」であるはずの労働のあり方をゆがめ
る大きな要因となる。
→利潤第1主義を規制(コントロール)することが大事
◇お金の流れ
商品 - 貨幣 - 商品 が私たち(労働者)のお金の流れ
→私たちが最終的に必要なのは、商品
◇これに対して、資本家が労働者の労働力を買って
商品生産をする流れは…
貨幣 - 商品 - 貨幣 ということ
「資本主義的生産過程を推進する動機とそれを
規定する目的とは、できるだけ大きな資本の自
己増殖、すなわちできるだけ大きな剰余価値の
生産、したがって資本家による労働力のできる
だけ大きな搾取である」
(マルクス『資本論』第11章、576P)
*もうけは労働者への搾取からしか生まれない
*労働力という商品は、それを使用すると、自らの価値よりも
大きき価値を生み出す魔法の商品。
◇生産のための生産、「売り続けること」を強制する社会
*資本家どうしの命がけの競争は、「あとは野となれ山となれ」
を生む
四。労働力の価値(賃金)の大きさはどう決まるか
1。労働力商品を売り続けないと、労働者は生きていけない
◇つまり、再生産。再生産にかかる費用が労働力商品のねだん。
◇「労働力を生産する」ってどういうこと?
労働力の再生産・・・
2。労働力の価値の3つの要素
①労働力の所有者である労働者本人の生活費。
②家族の生活費。養育費。
③知識・技能・熟練に必要な養成費。
◇参考文献
『マルクスは生きている』(不破哲三、平凡社新書、2009年)
『マルクスのかじり方』(石川康宏、新日本出版社、2011年)
『理論劇画 マルクス「資本論」』
(門井文雄原作、かもがわ出版、2009年)
以上。
そして感想文の紹介!
「なんとなーく分かっていたことが、深く分かった
講義でした。より深めていきたいと思います」
「今日の話はあまり普段考えたことのないような
話題だったのでとても勉強になりました。コンビニ
の話・・・たしかにそうだなぁと思いました。大量
生産・大量廃棄・・・気にしなかったことですが、
1年でチリの人の年間分の食料になるなんて…。
もっと考えていかなくてはいけないと思いました」
「ものを“売る”ことに労働がひっぱられる・・・。
というのは悲しいです。働くルール、市場のルール
は大切! ということをあらためて認識しました」
「必要としている人の元へ必要な物を届けるという
根本的なことが今のシステムでは難しいのが
よくわかりました。私たちはどうすればよいのか。
重要な課題です」
「参考資料でコンビニで捨てられる食料の量が
思ったより多く、ビックリした。国内でも餓死する
人を助けようという発想はうまれないこと、
やはりシステムを変えないといけないとあらた
めて思った」
「利潤第一主義は今の時代では破綻している。
政治家の多くが『民間』『経営』感覚というが、
本当に間違っていると思う。何ですべてを民間
にするのか、国家の責任はどこにあるのか」
「資本主義て言葉はむずかしい。でも今日は、
『つくる』『うる』『つかう』という言葉で話されて、
分かりやすかった。『もうけ』を求めると、社会が
おかしくなるんだな。と改めて思った」
「つかう(役立つ)という昔の考え方から、もうけ
へ変わっているのが現在の資本主義だと分かり
ました(わかりやすかったです)。働く環境を
つくる、市場原理にまかしてはいけない分野
というのをしっかり守っていかないといけないと
思いました」
おかっちさんありがごございます。
後半話せず、すみませんでした!
ぜひ参考文献をお読みください…☆
投稿情報: 長久 | 2012年6 月25日 (月) 12:46
後半も聞きたかったです~。
投稿情報: おかっち | 2012年6 月24日 (日) 20:10