最近読み終えた本。
『あこがれの老い-精神科医の視点をこめて』(服部祥子、医学書院、2008年)
ソワニエ読書日記6冊目。
以下、学生にさんに配った資料をそのまま貼り付け。
精神科医の服部さんが、「ああいう老いにあこがれる」という
12人を選び、老いの奥深さを論じている1冊。
なにより、タイトルが良いと思います。
あまり馴染みのない人が多かったので、感情移入しにくかった
のですが、「老い」の色合いは、
これほど多様なんだ、と実感する本でした。
とりあえず、目次を書きます。
第1章:わが友ハロルドー明朗さを保ち続けた老い
第2章:西行ー途上のものであり続けた老い
第3章:小説『マディソン群の橋』のフランチェスカ、『心のおもむくままに』のオルガ
-心の地下室を開いた老い
第4章:ヘルマン・ヘッセー心の葛藤を闘いぬいた老い
第5章:メイ・サートンー最後まで孤独を手放さなかった老い
第6章:池波正太郎ー職人技を楽しんだ老い
第7章:映画『八月の鯨』のリビーとセーラ、『永遠の1日』のアレクサンドレ
-人生と和解した老い
第8章:多田富雄さんー障害とともに生きる老い
第9章:須賀敦子ー深い沈黙を堪えた老い
第10章:モリー先生ー天職を全うした老い
第11章:新藤兼人・乙羽信子夫妻、小説『リトル・トリー』の祖父母
-カップルとして生き抜く老い
第12章:フランシス・ジャムー信仰と愛をもち続けた老い
服部さんは、「おわりに」のなかで、
「この本は、幼い日から喜びと苦しみを味わいつつ、
多くのものを見、聞き、感じ、考え、愛と認識を体験し、
人間らしく生きて老いていった人々の生涯を、憧れを
こめて綴った私の人間讃歌である」と書いている。
さまざまな“老いのかたち”を知ること、
「あこがれの老い人」を見つけることは、
「よりよく老いる」ための重要な道しるべになると思いました。
『0歳~5歳 細谷先生のわくわく子育て』(細谷亮太、小学館、2008年)
ソワニエ読書日記7冊目。
尊敬する細谷亮太先生(小児科医)の1冊。
子どもの体のこと、病気のこと、成長発達のこと、
子育てをめぐる問題など。子育て本です。
子育て中の親の方にオススメです。
細谷先生の文章はとても暖かい。
人間性がにじみでています。
「子どもの死亡原因のトップは交通事故」という
記述に、「ああそうなのかぁ」と改めて驚きました。
調べてみると、厚生労働省の調査では、1歳から
19歳までの子どもの死因は「不慮の事故」がトップ。
その半数近くが交通事故だそうです。
車中心社会の危険な道路、子ども用のカーシートの
不用意など、大人の責任が重いということです。
『マルクスは生きている』(不破哲三、平凡社、2009年)
まず、新書という分量に、これだけの中身を
整理して凝縮するという、その力量に恐れ入りました。
不破さんのここ10年ほどの古典研究の成果が
見事な調和で書かれているので、読み応えバツグンです。
学習会などでも、おおいに使える本になっています。
とりあえず読みましょう。そして使いましょう。
『カール・マルクスの弁明-社会主義の新しい可能性のために』
(聽濤弘、大月書店、2009年)
ロシア通の聽濤さんならではの本です。
そして、経済がご専門だったんですね!
知りませんでした(恥)。
労働学校のおかげで、いま必死(?)に経済学を
学んでいるので、こうした本はとても吸収率がよい気がします。
「市場」というのは、ひじょうに奥深く、おもしろいなと。
歴史的巨悪人、スターリンの「政治信条」が、
「大ロシア民族の大国主義」が中心であるとの指摘には、
大納得しました。
『この世界の片隅に』〔上・中・下〕(こうの史代、双葉社、2008~2009年)
映画化もされた、『夕凪の街 桜の国』の作者が、
広島の呉を舞台に、あの戦争と、そのなかで生きる
人びとの生活を描いたマンガ。
3巻そろったら一気に読もうとおもっていて、
きのう(2日)夜、仕事がひと段落して、ちょっと手にして
読み始めたら、そのまま2時間がたってしまい…。
つまりやめられなかったということです、はい。
おかげで帰宅が2時間遅くなりました(笑)。
こうのさんのマンガは、
言葉が軽くて重い(へんな表現ですが)。
ひと言ひと言を、とても丁寧に絵に
重ねているという印象をもちます。
呉(軍港とか、呉空襲とか)の当時の雰囲気が
自然に、いやらしくなく、伝わってきます。
「女にとっての戦争」という視点も、分かる作品では
ないでしょうか。
この作品も、ぜひ映画化してほしい。
いや、NHKの朝ドラでもいいかも。
土曜ドラマでもいい。
映像化して、たくさんの人に見てほしいと思います。
Kさんありがとうございます。
ほんと、この新書はいいですよね。
これを使った学習会を学習協でできないか考えています。
投稿情報: 長久 | 2009年6 月 4日 (木) 09:31
今『マルクスは生きている』を読んでいます(136ページまで)。以前書かれた『科学的社会主義を学ぶ』を現在に当てはめて書いてあるようで、非常に分かりやすいですね。なので、周りに普及しています(そんなに多くないのですが)。あとリーズナブルな値段ですね。
投稿情報: 鹿児島K | 2009年6 月 3日 (水) 21:40