1日~3日まで、九州の佐賀県に行ってきました。
まず、前半のお仕事部分のご紹介です。
お仕事とは、
「九州ブロック学習交流集会2009」の
講義をひとコマ担当したのであります。
佐賀県学習協がいいだしっぺで、
九州の学習組織に呼びかけた企画でありました。
1日朝、岡山駅9時07分の「のぞみ」で博多へ。
博多から特急で佐賀に着いたのが12時ちょうどでした。
さらに佐賀駅から唐津線という電車にのって約30分。
「多久駅」というところに着いたのであります。
多久駅で、佐賀高教組の
N村さんがお出迎えに。
私だけでなく、この学習交流集会の
講師をされる、
佐賀大学名誉教授の
蔦川正義さん、
福岡県学習協の佐藤大助さんも、
同じ電車に乗っていて、4人で、
N村さんの車で会場に向かいました。
着いたところは、
「東原庠舎」(とうげんしょうしゃ)
というところ。
森の中の静かな
会場でありました。
学習するにはピッタリの
環境です。
13時半より、
開会のあいさつがあり、
すぐに第1講義に入りました。
この日の参加は20名弱でした。
参加はほとんど佐賀県の
方々で、あとは、熊本の
建交労の方が3名参加
されていました。
若い人が6名ほど参加
されていたのが、今後に
つながる点でありました。
第1講義は、
「平成大恐慌の歴史的位置を考える
-市場至上主義の克服と勤労者の連帯」と題して、
佐賀大学名誉教授の蔦川正義さんがお話されました。
蔦川(つたがわ)さん。
冒頭お話された、ご自身の
歩みがとても興味深かったです。
講義の柱だけ紹介しますと、
1.階級としての労働者の姿が、再度、見えてきた時代
2.きびしい現状・その根源と対極にある「暖かさ」・連帯
3.19世紀末の「大不況」~1929年恐慌
4.平成大恐慌(21世紀初頭の恐慌)で資本主義はどこに行くか?
という感じでした。
かなり理論的なお話だったので、初学者の方には
若干難しかったかな?
「九州の南北格差」という指摘をはじめて聞きました。
なるほど。そういう問題があるのですね。
さて、蔦川さんのお話のあと、
15時半より、私の講義となりました。
これは主催者側がつけたタイトルなのですが、
「私の生き方、私の生きがい-人間論・人生論」という
おそろしいテーマだったので(笑)、正直どんな話を
しようか悩みましたが、
私と学習運動の関わり、そのなかで大切に思っていること、
ものの見方の学習がなぜ大切か、などの話をしました。
(最後に概要を載せています)
休憩を1回はさんで、
17時半に私の講義も終了。
4時間ぶっ続けで話を聞かされた参加者のみなさん、
たいへんおつかれさまでした。
17時半からは、3グループにわかれて、
30分ほど感想交流をしました。
もっと時間をとったほうがいいと思いましたけど…。
全体的に討論の時間が少ない学習交流集会でした。
さて、学習終了後は、
夕食・交流会でした。
なんと!
手づくり夕食なのでありました。
準備されている佐賀の
みなさん。
ありがとうございます。
テーブルに並べられた
夕食の品々。
まったく感謝のひと言で
ありました。
乾杯!のあいさつのあと、
みんなでワイワイと
交流したのでありました。
こんな感じでありました。
私の前に熊本から来た
23歳の青年が座ったので、
あれこれ話を聞きました。
ものづくり労働者です。
昨年末に労働組合に入った
ばかりだとか。
こういう学習の場もまったく初めて。
よくぞ来てくれました。
誘ってくれた先輩への信頼が
あついのだろうということがわかります。
そして夜はふけて・・・。
学習運動の話など、
あれこれ話がはずみました。
私のブログを「見た」「読んでる」
という人も何人かいたことに
ビックリでした。
いやはや、ありがとうございます。
福岡の佐藤さんは、唯一の若い女性の宿泊者であった
佐賀のM尾さんにはげしくからんでました(笑)
あの元気さは衰えることがないのであります。
そして、2日の朝が
やってきました。
ほんとうに
静かで気持ちのよい
所でありました。
朝食も手づくり
朝ごはんでありました。
美味しかったです!
いいですね、
こういう朝食って。
さて、2日目は9時すぎから、
第3講義として、
「学習はたたかい-科学的社会主義のススメ」というテーマで、
福岡県学習協の佐藤大助さんがお話されました。
休憩をはさんで、
2時間の講義でした。
佐藤さん。
77歳になるそうです。
先日、喜寿祝いでまわりから
「自分史を書け」と言われ、
書いたとか。読んでみたい。
佐藤さんの話を聞くのは
これが初めてでありました。
話の内容の柱は、
1.人間にとって“たたかう”ことと“まなぶ”ことは本質的なもの
2.理論の役割-行動や実践の指針
3.科学的社会主義の理論とは
4.科学的社会主義の理論を普及する大衆的学習協教育運動
5.おわりに-世界の変革をリードする科学的社会主義の理論
という感じでした。
非常に原則的なお話でしたが、
こちらも若干初めての人には難しかったような…。
しかし、佐藤節は健在でありました。
講義終了後は、
参加した方がひとりずつ「2日間参加してみて」の
感想を発表しあいました。
「新鮮でわかりやすい話だった。九州の学習運動を前進させたい」
「難しかったが、なんらかの力になったと思う」
「こうした学習会は久しぶり。あらためて勤通大のテキストを読み返したい」
「勉強不足を実感した。自分が生きていくうえでも、正しい知識や考えを
もたないといけない。また機会があれば若い人をたくさん連れて参加したい」
「久しぶりに学習会に参加できて元気をもらった」
「若い人とも知り合えてよかった。労働者でよかった。死ぬまで学習活動に
かかわっていきたい」
「“学習はたたかいだ”という言葉に、頭をガツンとやられた」
「みなさんの真剣さにびっくりした。若い人から刺激をもらった」
などの感想が語られました(長久のメモによる)。
さいご、会場の前で記念写真をとって、
12時、全日程を終了しました。
参加されたみなさん、おつかれさまでした。
楽しかったですし、とてもいい経験になりました。
そして、九州の学習運動の前進を願っています。
ありがとうございました。
以下は、私の講義の概要です。
一。私の初心と学習運動
1。学習運動との出会い
◇1994年5月(当時19歳)
*第48期岡山労働学校「入門教室」のチラシが目にとまる
*そのころ、自分自身や社会への見方はどうだったか
*労働学校に足を踏み入れて
・学ぶことのここちよさ、さまざまな人との出会い
*94年秋の49期「初級教室」で、科学的社会主義の理論に本格的に出会う
・経済学の「搾取」の話にビックリする
*95年に勤労者通信大学「基礎コース」を受講する。
*そのころの自分の変化を表現するピッタリの文章
「世界をあるがままのゆたかさでとらえうるような、そんな目を私たち
はもちたい。ゆがんだ眼鏡は、世界をゆがんで見せる。私たちは、
ちゃんとした眼鏡がほしい。哲学への要求がそこからはじまる。・・・
ちゃんとした眼鏡をかけたことのある人は知っていよう、はじめてそ
れをかけたときのことを。それまで、木の葉はぼうっとかすんで見え
ていた。木とはそんなものだと思っていた。が、眼鏡をかけたとたん
に、木の葉の一枚一枚が、したたる緑とあざやかな輪郭をもって目
にとびこんできた。世界がそのあるがままの新鮮さで私たちに迫って
くる、そんな眼鏡を求めて、私たちは哲学にむかうのである」
(高田求『人間の未来への哲学』青木書店、1977年)
*第50期岡山労働学校(95年5月)から労働学校の運営委員となる
*その年の夏、「専従者にならないか」とお誘いを受ける
・この運動のおもしろさに
◇1998年4月
*専従者として活動をはじめる。
*2003年に事務局長になってしまう。
*今年の4月で丸11年となりました。
2。私を成長させてくれたもの
◇「あんなふうになりたい」と思える人(ロールモデル)との出会い
*学習運動の先輩方
*活動と組織のなかで出会ったステキな人たち
*自分の「背伸び」をうながす効果
☆背中がピカピカ光る魅力的な人間、人間集団に☆
『学習する組織-現場に変化のタネをまく』より
(高間邦男、光文社新書、2005年)
*著者の高間氏が、NTT東日本の法人営業本部の役員に、インタ
ビューしたときのこと。「戦略は何ですか」と聞いたら、「学習機会を
つくる」というのが答えの一つとして返ってた。「学習機会とは何で
すか」とふたたび聞いたところ、その役員は、「それはピカピカ光る
背中を持つ人間の周りをウロウロできることですよ。しかし問題は、
ピカピカ光る背中を持つ人間が法人営業に20人しかいないことか
な」と言ったそうです。
*著者はその答えに驚かされて、また納得し、こう書いています。
「人は自分の接する社会、つまり周囲の人や本、インターネット、様
々な経験などから主体的に学習する。その中でも他者との相互作
用から一番多くを学ぶと私は思う」
「今の若い人たちは、子供の時分から学校を出るまでの成長過程
で接する人物の数が、昔よりも少ない傾向にある。・・・その結果、
客観主義による勉強はしてきたが、人々との相互作用で行われる
社会構成的な学習機会が少ないので、社会性が低くなる傾向があ
るのではないだろうか」
「問題は、ピカピカ光る背中を持つ人間に運がよくないとめぐり合え
ないことである」
*“ピカピカ光る背中を持つ人間”とは、「あんな人になりたいなぁ」と
いう、目標や目当てになる存在であったり、「あの人がいるとほんと
うに場が明るくなる」ような人であったり、「なんでも話を聞いてくれる
人、適切なアドバイスをしてくれる人」であったり。
◇「場」と「時間」
*学習運動の先輩たちが、成長と発見の「場」をつくってくれたからこそ
・学ぶことの面白さ
・ともに学習し、活動する仲間の存在
・個性は集団の中でこそ輝く
*自由な時間があるかどうか-時間をつくる、たたかいとる
・長労働時間が労働者の成長の障壁に
・「時間は人間の発達の場である」(マルクス『賃金、価格および利潤』)
・時間の使い方の選択の問題-魅力ある運動・活動の構築によって
3。私の活動のスタンス-単純に表現すると
◇自分の幸せと、他人の幸せとの関係をどう考えるか
*1人称の幸福
*2人称の幸福
*3人称の幸福
*自分の手持ち時間の使い方
*人間のほんとうの成長とは・・・カール・マルクス17歳のときの言葉
「人間の本性というものは、彼が自分と同時代の人々の完成のため、
その人々の幸福のために働くときにのみ、自己の完成を達成しうるよ
うにできているのである」
(マルクス「職業の選択にさいしての一青年の考察」)
二。ものの見方と日常活動
1。なぜ世界観(哲学)の学習が大切か
◇生きた現実を読み解くために
*労働組合、職場の仲間、社会情勢、政治情勢、自分自身…
・一筋縄ではいかないのが現実(矛盾をもつ)のはずなのに
・固定的にみてしまう傾向
・否定的側面のみしか見えないと・・・「どうせ」
*現実を読み解き、未来への発展的芽をみつけ育てる
・現在とは、過去と未来のたたかいの「場」
*本質は、そのまま現象してこない
「現象形態は、直接に自然発生的に、普通の思考形態として再生産
されるが、その隠れた背景は、科学によってはじめて発見されなけれ
ばならない」 (マルクス『資本論』第17章)
・『子どもの道くさ』(水月昭道、居住福祉ブックレット7・東信社、2006年5月)
・社会科学を学ぶ・・・人間とは? 労働者とは? 賃金とは? 資本主義とは?
◇生きた現実をとらえる武器が、哲学
*唯物論と弁証法
*一筋縄ではいなかい現実をとらえるための、一筋縄ではない思考方法
*そして、羅針盤はつねにメンテナンスしなければならない
2。「ドラマがいっぱいだ!」の連載から(『学習の友』、資料参照)
◇ねばり強い努力の大切さ-変化の法則性
◇苦しさのなかから生まれるもの-強い根をはる
◇いつもいいこと探し-発展における否定と肯定
3。サイエンスとアート・・・共感の幅をひろげる
◇サイエンス・・・科学的判断、分析
*事実と根拠にもとづいた分析・判断
*労働組合の果たす役割、情勢の特徴、科学的な政策・たたかいの方針
「わかるけど、やる気がしない、行く気がしない」をどう考えるか
・認識論の問題・・・「わかってない」(本当には納得してない)という問題
・感性(五感)での共感という問題
◇アート・・・伝える力、生み出す力の総合力
*「理性」と「五感」に響かせる
*情報受信・伝達力、チラシやニュースづくり、ホームページ・ブログ
*言葉で勝負する。相手に伝わる言葉かどうか。
*オルグ力(話し方、聞き方、空間、時間)、会議力、事務所力
*仲間の存在、ヒューマニズム=微温(あたたかさ)
さいごに・・・学ぶ活動をドカンと真ん中に位置づけて
以上。
いのぱさんおつかれさまです。
岡山は選挙なかなかたいへんです。
やっぱり理論学習が全体として不足してますね。
がんばりましょう!
投稿情報: 長久 | 2009年8 月 6日 (木) 11:26
科学的社会主義の理論は、素晴らしいなあ。。
最近調子がいまいちなのは、多忙すぎて、まとまって学習できていないからだ
今日から、逆転現象をただそう。。
学んで、行動する。スタイルだ
投稿情報: いのぱ | 2009年8 月 5日 (水) 14:23