前回記事の青年2人との学習会、きょう(12日)の
午前中にしました。
講義も発展途上で、まだまだ練り上げていく必要が
ありますが、2人とも吸収が早く、受けとめの角度もいい。
なかなかやりがいのある学習会になっています。
おもしろいなぁ
以下、講義の概要です。
一。弁証法とはーその世界観
1。ものごとを運動・変化・発展のなかでとらえる(ものさし=世界観)
◇対象の「あり方」をどうとらえるかで、関わり・実践が変わってくる
*自分、家族、他人、職場、運動組織、地域、社会、政治…
◇「どうせ」という時、私たちはどんなものの見方になっているか
◇対象となる現実は、つねに新しい要素をくわえながら、変化している
*あるものが「ある(いる)」ということは、そのものがそのものであり
ながら、同時に変化している過程の姿である、ということ。
2。対象を「つながり(連関)」のなかで把握する
◇どんなものも、「つながり(連関)」のなかで存在する
*あるものが「ある(いる)」ということは、その存在の質を規定したり、
その存在を支えたり、影響を与えている「他のもの」があるということ。
*職場や政治や社会、あるいは組織や運動を考える場合にも「縦軸」
「横軸」など、「連関」をつうじて「現局面」をつかむことが大事。
3。変化の法則性をつかむ(カテゴリー<概念>への理解が重要)
◇矛盾が発展の原動力
*ものごとの中には、つねにその内部に相反する要素や傾向がある
(対立物の統一と闘争)。そのぶつかりあいこそが変化・発展の原動
力となる。
◇量的変化と質的変化
*量と質は必ず結びついて存在する。量的変化なしに、質的変化は起きない。
◇肯定をふくんだ否定
*「○か×か」「黒か白か」ではなく。「中途半端さ」を受容する力。
4。まとめ…「一筋縄ではいかない現実をとらえる、一筋縄ではない思考方法」
◇世界のゆたかなあり方、その弁証法的な姿をとらえる
「弁証法が主張しているところのものを良く理解すれば、その具体
例を自然現象や人間の認識の発展の中に見出すのは容易である。
これは自然自身が弁証法的構造をしているためと考えられる」
(『科学にときめく』益川敏英、かもがわ出版、2009年)
「ヘーゲルの弁証法哲学は、現実の…ドラマを意識的につかみだし、
定式化したものであった」
(『人間の未来への哲学』高田求、青木書店、1977年)
二。自分の成長の可能性について-体験的試論
1。自分のなかに「大きな矛盾」をつくる
◇「こうありたい自分」と「いまの自分」とのぶつかりあい
*2つの方法がある(相互に関連している)
①「めあて」になる人をつくる
②「自分づくり」の「できるだけ高い目標」と「そのための計画」をつくる
*自分を高めるための「無理」をすることは、現状の肯定的否定の
「エネルギー」
*原動力は、「こんな自分が」の喜びとともに、他者の力になれる「役に
たつ自分」
「ストレスこそ、子供を青年にし、青年を大人に成長させる糧である
はずである。ストレスを1つ1つ乗り越えることが、『人間』の発達な
のである。ストレスは元来、避けるべき対象ではなく、乗り越えるべ
き対象なのである。一切のストレスを回避すれば、それは楽であろ
うが、その人は成長もまたあきらめることになるのである。ストレス
は別の方向からみれば『他人からの期待』であり、『他からの評価
を落としたくない矜持(きょうじ)』であり『自分の生き方をつらぬきた
い意志』であるから、当然、痛み、苦しみを伴うのである」
(中沢正夫『ストレス「善玉」論』岩波現代文庫)
◇創造的自分づくり-「捨て去りつつ、つけくわえる」の連続
*過去より受けついだもののなかから、否定すべきところは捨て去る
*現時点で獲得できる新しい要素を貪欲に吸収して、あらためて全体を
再構成してゆく
2。どんどん失敗する-成長の弁証法
◇絶対に失敗しない方法-何もしないこと
◇「実践」「行動」「挑戦」するから「失敗」する
*できるだけ失敗しないようにしたいが、それでも失敗はつきもの
*失敗から学ぶことこそ、科学的態度
3。コツコツなければ飛躍なし-成長はつねにジグザグと進む
◇成長への量的努力(積み重ね・積み上げ)-コツコツのなかにも喜びを
4。「自分をゆたかにする他者」にかこまれる
◇自分ひとりだけでは、自分をつくれない
*他者を通して自分をつくる
◇自分の現状を否定してくれる人の存在
*弁証法的「ダメだし」をしてくれる人は貴重
◇すばらしい「他者」との無限の出会い-読書の効用
*時間、空間をこえて、無限の出会いを生み、「自分づくり」あるいは
「つくりなおし」の高い栄養源となる。
5。自分を成長させてくれる「時間」と「場」を自らつくりだす
◇時間の「たづな」をにぎる(時間にふりまわされるのではなく)
*高い目標こそが、時間の主体者になるカギ
◇自分と他者との関係をつくる「場」をつくりだす
*偶然のチャンスを逃さない感度のよいアンテナも必要
◇「離れる」「休む」に習熟することも、長続きのコツ
6。自分の可能性に枠をはめない-変化の過程としての「現瞬間の自分」
◇「今の自分」の枠の中で、「これからの自分」を固定的に考えるのではなく
以上。
いのぱさんありがとうございます。
たしかに「こんな人になりたいなぁ」という人が少ないというのはありますね。
じゃあどうすれば、ということですが、
「まずは自分がそう思われる人間になる」ことですかね(笑)精進ですね。
あとは、魅力的な運動のなかでこそ、魅力的な人も育ちます。
そういう「場」をどれだけつくれるか、ですかね。
チマタには「自己啓発本」があふれていますが、
わが方の立場にたった「自己啓発本」があってもいいと思いますね。
投稿情報: 長久 | 2009年10 月14日 (水) 18:49
うーむ。勉強になります。
どこかの教科書とは違いますね
ところで、今問題になっているのは、青年期のアイデンティティの確立の困難さだと思うのですが‥
①「めあて」になる人をつくる ②「自分づくり」の「できるだけ高い目標」と「そのための計画」をつくる
現実の社会に、そういう方と出会わない青年が多すぎるということ。。
どう思われます。
投稿情報: いのぱ | 2009年10 月14日 (水) 10:46