『戦場の村』(本多勝一、朝日新聞社、1974年)
買ったのは5年ぐらい前だったけど、
やっと読むことができました。
富山での読書が勢いをつけてくれました。
読んでみたかったというのは、
イスラエル・パレスチナ問題をずっと追いかけている
ジャーナリストの土井敏邦さんが、
「『戦場の村』のような本を書くのが目標」と言っていたのを
どこかで読んだから。どんな本なんだろうと。
本書は、当時朝日新聞記者の本多勝一さんが、
ベトナム戦争を取材した最初の本です。
まあこれが新聞連載されていたということも驚きですが。
本多さんといえば、私は、『中国の旅』や『南京への道』など、
日本の中国における侵略戦争の実態、被害者の声を
リアルに取材したものを読み、ものすごい衝撃を受けた人です。
その取材姿勢は、この本でもじつに見事に発揮されています。
なにより感じたのは、
新聞記者という立場での客観性、
客観的事実にもとづく報道を、という姿勢の確かさとともに、
「どちらの側の立場でものを書くのか」という
スタンスがじつにはっきりしているということ。
「客観的立場にたつ」ということは、
へたをすると傍観者的立場にたつ危険が大きいのだと思います。
最近の朝日新聞は、そういう色合いがじつに濃い。
いったいその記事を書いているあなたの立ち位置はなんなんですか、と。
本多さんのものを書く姿勢、取材対象へのするどい観察眼、
文章の力強さなど、学ぶことのたいへん多い本でした。
ベトナムの人びとの生活に深く入り込み、
文化やそれぞれの人間のリアルな思いを引き出す力もすごい。
もちろん、ベトナム戦争のことも、
はじめてこんなリアルに知れたと思います。
空気感がすごく伝わってきましたし、
日本がこの戦争にどれだけ深く関わっていたのかも、
かいまみることができました。
アメリカのベトナム戦争映画では絶対に知れない
ベトナム戦争の内実を学べることができます。
『いま、伝えたい「いのちの言葉」』(細谷亮太、佼成出版社、2009年)
小児科医、細谷先生の近刊読書2冊目。
細谷先生は仏教徒なんですが、なんか、
細谷流説法を聞いているような感じの、
じつに味わい深い本です。
とくにこの本では、社会的な諸問題について、
よりつっこんで発言されているのに驚きました。
(もともと多い先生でしたが)
貧困・格差問題、勝ち組負け組み、自己責任、派遣切り、
そんな言葉がけっこうでてきます。
医療問題だけでなく、こんなふうに社会的な発言を
している医師の人って、とっても少ない。
小児科医として関わってきた子どもたちが、
細谷先生に教えてくれた、人間とは、人間にとって大切なこととは。
それを、細谷先生は、日本のいまの社会と照らし合わせながら、
私たちに伝えてくれています。
ほんとうに、先生の本は、
多くの方に読んでもらいたいと思います。
そういえば、先日細谷先生が、「徹子の部屋」に
出てましたよ!だんだん有名人になりつつあります。
(しっかりビデオをとりました)
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