きょう(2日)の午後は、14時から、
岡山医療生協労組の役員研修会へ。
9月の定期大会をうけ、新しい役員を対象にした
学習会&懇親会です。
始まる前の風景。参加は40名近く。おつかれさまです☆
最初に、約1時間半かけて、
「労働組合活動のそもそもと、役員の役割」というテーマで、
私がしゃべり、その後、さらに1時間ちょっとの分散会討論。
学びと討論という、バランスのよい研修会でした。
私の話は、「労働者は、集まってなんぼ」
「労働組合の生命力のみなもとは、“集まる”ということ」、
という中身を、全体の話に貫きながらの講義でした。
最初に、「集まることで何が生まれると思うか?」という
問いかけをして、紙にそれぞれ書いてもらって、
それを受けて私が「集まることの意義」について説明しました。
多様な「集まることの意義」が参加者からだされ、
うーん、なかなか良い深まりでした。
「役員さんの役割の大きなひとつは、“集まりを組織すること”」
ということが、明らかになったかと思います。
学習会終了後は、場所を変えず懇親会に。
私は看護グループのなかにまぜてもらっての交流でした。
ちゃっかり県会報のための取材も。
全体的に、とても充実した研修会だったと思います。
参加されたみなさん、おつかれさまでした。
以下、講義の概要です。
一。いまなぜ労働組合かー「集まる」をキーワードに
1。今日もみなさん、「集まって」います
◇「集まる」ことは、何を生み出すと思いますか?(とりあえずマイナス面はのぞいて)
2。いま労働者が「集まる」ことの困難さ
◇政権交代後も、きびしい側面をもつ医療情勢
*職場の状況が「良くなったなあ」という実感がありますか?
*人手不足、上がらない賃金、長時間労働、とりにくい休み、人間関係のギスギス…
*「働きがいのある、人間らしい仕事」(ディーセント・ワーク)の条件は?
◇変化へのエネルギーを奪うもの
*長時間労働で「活動」がそもそも物理的に困難。仕事でクタクタ…。
*「どうせ変わらないのでは」というあきらめ、先入観。自分の役割がみえない…。
◇「集まる」には、「場所」と「時間」と「体力」と「意思」が必要。
*物理的な側面である「場所・時間・体力」
*精神的な側面である「意思」=活動への納得と共感。心をふるわせ、心を動かす。
3。「集まる」ことにこだわって-労働組合の原点から学ぶ
◇労働組合はいつ、どのように生まれたの?
*18世紀末、産業革命後のイギリス
*長時間労働、低賃金、劣悪な職場環境と住居・・・労働者の環境はサイアク。
・経営者の言うがまま。病気になれば首切り。児童労働。精神の退廃。
・最初は、盗み、機械打ちこわしなどの抵抗。そしてストライキへ。
*労働者がパブに「集まり」仕事と生活の愚痴をこぼしあい、共感しあった。
労働者にとって、パブはどんな存在だったのだろうか?
・共済活動のはじまり。そして労働組合の結成へ発展。
*「酒を飲んだ」ことが団結強化につながったのではなく(それも要素のひとつ
としてはあるが)、「集まった」ことが最大の教訓。
◇労働組合(ユニオンUnion)の語源は「Unite」
*・・・を結合する、合体させる、・・・を結びつける
*ひとつになる、団結する
◇かなめ(旗印)は、「要求による団結」
*いろんな違いをもった人が「ひとつになる」には、「要求」こそがカギ。
4。「団結応援します!」by日本国憲法
◇21条で「結社の自由」は保障されているが…
◇28条でさらに、労働者の団結権を、特別に明記。
「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動を
する権利は、これを保障する」
*憲法は、基本的人権としての、「団結」を認めている。
*つまり、労働者にとって、「集まる」「ひとつになる」ことは、人間らしく生きる
ことへの大きな条件のひとつ、であるということ。
*団結の「団」は、「かたまり」という意味。「結ぶ」は、「夢をむすぶ」「実をむす
ぶ」「結実」。「むす」という動詞は「生す」と書く。「結ぶ」ことは、「生まれる」こと。
◇権力者や資本家が一番恐れるのが、労働者が「集う」こと。
*かつては、ヨーロッパでも日本でも、団結禁止法などがつくられていた。「集う」
ことは、投獄覚悟、命がけの時代があった。それでも、労働者は団結を求めた。
*資本は、労働者の団結の力、数の力の恐ろしさを、よく知っている。だから、
バラバラになるように、分断をつねに持ち込んでくる。
5。「集まる場」の質
◇労働組合の「集まり」
*執行委員会、中央委員会、専門部会議、目的別各種会議
*職場討議、団体交渉、学習会、宣伝行動、デモ、文化レク企画…
*集会(職場で、専門部で、労組全体で、地域別で、産業別で、全国的な規模で)
*労組事務所、昼食場所・休憩場所などでの日常的な「ちょこっと井戸端会議」
◇要求にねざしていて、かつ「心のふるえ」を感じる場所であるか
◇「集まり」と「会議」の関係
*会議は、「集まり」をつくりだす出発点
*同時に、会議自体が、「団結をつくりだす集まりの場」
*そして、役員・組合員が、「心をふるわせ、高まりあう場」としても。
*会議と運動は相互関係
二。要求と政策づくり
1。「つぶやき」「不平・不満」から、「要求」への発展を
◇労働者は、いろんなところで、つぶやいている、愚痴っている。
*労働条件への「不満」、働きがいへの「つぶやき」。
*医療従事者は「いい仕事がしたい」「患者さん・利用者さんのために」という
ところでは、出発点として一致できる
*「つぶやき」や「不平・不満」が出せる職場づくり、活動づくり。
◇「要求」となる条件は、「正当性、共通性、実現の可能性」
*権利学習、情勢学習、労働組合運動への確信がもてる学習が決定的に大事。
*要求への確信。そしてそれを阻むものが何かを明らかになれば、行動につながる。
◇「要求実現への行動を組織する」ということ・・・ここでも、「集う」が大事。
*自分も何かやらなきゃな、と思えるか。納得と共感を生み出す場が必要
2。労働組合執行部、役員さんは「聴き上手」に
◇職場の仲間の声を聴く活動を、意識的に
*アンケート活動。正確な状態把握と同時に、「こういうことを聴いて
ほしかったんだ」という内容に。
*職場討議、会議や集会などで。
*ちょこっと雑談・井戸端会議。
◇聴くことによって、仲間自身が、要求への自覚を高める
*「聴く」ということは、聴いたほうも聴かれたほうも、認識が深まり、高まりあう
行為。職場・労働組合の雰囲気として「聴く・聴かれる」関係性づくりを。
*「聴くこと」は、能動的で、じつはけっこうエネルギーが必要。自分自身のある
程度の「ゆとり」と、相手への「関心」が必要。
◇そして、職場の現実や、働く仲間への痛みを感じ、理解する力。
3。政策づくり
◇労働組合の目標や、要求の内容・実現の道すじを示すもの
◇状態や要求の正確な把握と分析。またそれを共有化する取り組みと実践計画。
①要求課題が生まれてくる背景と原因。その解決の道すじと展望。
②どうしたら要求を実現できるのか、その実践の戦略・戦術。具体的行動計画。
③要求の切実さ、根拠、実現可能性を組合員1人ひとりが共有化するための手立て。
④要求実現のために、みんなの行動を組織する目標と計画。
三。「みんなで」ほど難しいことはない-労働組合民主主義
1。あらためて、労働組合の基本的性格
◇まず、労働者なら誰でも入れる、ということ(大衆性)。
*思想・信条、信仰、性別、年齢、国籍、雇用形態、支持政党などが違っても。
*「数の力が集まる」ことが、労働者のいちばんの武器になるから。
◇資本家(経営者)と、たたかう組織、ということ(階級性)
*「集まる」んだけど、趣味やサークルの集まりとは違って、「本気でたたかう相手」が
いるということ。
◇大衆性と階級性を統一させる・・・これが本質的な難しさをもっている
*労働組合の基本原則である、①要求にもとづく団結、②資本からの独立、③政党
からの独立、をふまえつつ。
*「誰でも入れる」ということは、ほんとうに「いろんな人がいる」ということ。しかも、
「数が多い」ということは、ボーっとしていては、まとまるのが難しい。
*組織・団結は生き物。たえざる組織活動が必要。役員の大事な課題。
2。私たちの力は、「集団で活動している」ということ。
◇自分のイメージどおりに活動がいくことは、ほとんどない。
*「なんでみんなやってくれないのか」「なんで参加してくれないのか」「なんであの
人は」→自分の認識と、相手の認識は違うのだから、あたりまえ。
*自分ひとりや、少数の人間で決めて、やってしまうほうが、ラク。
*学習も実践も、「みんなで進む」ほうが、めんどうくさい。
◇ひとりの力には、(その瞬間での)限界がある。集団の力には、限界がない。
*集団的認識が、対象をより客観的にとらえることを可能にする。
*集団は、増やすことができる。実践力の飛躍。集団の力への信頼を。
◇あらゆる過程・場面で、民主主義をつらぬくことが求められる。
*民主主義は、時間も労力も必要。
*でも、集団の力を発揮するには、民主主義(みんなが主人公になるような形態)を
つらぬく以外にない。
四。生き生き輝く労働組合活動のために
1。元気の出る活動と組織のあり方
◇職場を基礎に
*職場(末端部)で団結をつくる課題が、いちばん難しい
*しかし、要求は、そこから(職場)生まれてくる。
◇地域的結集の重要性
*岡山医療生協労組のなかだけの「団結」では、見えてこないものがある。
・地域の他職種の労働者の状態悪化と、その背景。その交流。
・それが、医療情勢と、相互関係がある、ということ。
・未組織労働者の組織化をすすめる地域労組の役割と、その教訓。
・他の労働組合との「高まりあい」
◇産業別に結集し、全国的共同闘争へ
*産業別の統一要求をかかげて
・岡山医療生協労組であれば、医労連への結集
・医療情勢は、どの職場へも影響し、共通性がある。同じ要求の基盤。
*全国的共同闘争
・職場や地域、産業別のたたかいでは、解決できない課題も多い。
・国民春闘、制度政策要求、税制のあり方、など
◇ナショナルセンターの役割と国民的共同
*ナショナルセンターは、全国の労働者・労働組合のたたかいを統一し、調整する
役割をもっている。全国的共同闘争のセンター。
*連合と全労連。地域組織を重視する全労連。全労連が結成されて20年。
2。1人ひとりの組合員の成長こそ、労働運動前進のカギ
◇すぐには効果がでない活動だからこそ、高い目的意識性が必要。
*対象にあわせて、組織内での系統的・恒常的な学習教育活動を
*新入組合員教育に、最重点で力を入れよう。1年目の仲間をどう迎えるかは、
組織の将来を左右する重要な課題。
◇組織外の学習会、労働学校などにも、積極的に。新しい新鮮な感動が。
◇はたらく人の月刊誌『学習の友』を読もう
◇学ぶ集団は元気で魅力的ーある学習会での経験
おつかれさまでした☆
以上。
最近のコメント