最近読み終えた本。
3冊とも、東京出張の移動のときに読んだもの。
ほんとうは、別の本も持っていっていたんですが、
なんか頭がとても疲れていて、ほとんど読めず(寝てた)。
ほんとうに疲れているときには、
理論書は頭が受けつけないらしいです、私の場合。
帰りの新幹線では、東京駅で買った角田光代さんの
文庫本2冊を買って読みました。
これが想像以上のヒットだったわけですが。
『自然科学の古典をたずねて(上)』
(田中実・今野武雄・山崎俊雄編、新日本出版社、1978年) これはたいへん面白かったです。
それは、
「著者がその時代の、いまはたとえ小さく
とも、やがて発展していくであろう革新的
なものを、時代にさきがけてとらえ、それを
提起しているから」(「序にかえて」より)
ですね。
「ベーコンやデカルトの著書が古典として、いまなお
読む人の心を打つのは、かれらがなお古い面を
もちながらも、時代を動かす原動力に目を向け、
時代に先んじて勇敢に論をすすめていくのを見る
からである。したがって私たちは、古典を読むとき、
書物を通してその著者が、その時代にどうたちむ
かったかを読みとらねばならないと思う。また、
こうすることによって、古典をそのまま現在に機械的
にあてはめるような弊害を避けることができ、その
古典のその時代に果たした役割を正しく評価する
こともできるのである」(同前)
「現代科学の高みから古典をみて、その幼稚さを
笑ったところで意味がない。それどころか、むしろ
古典は現代における科学や科学者のありように
反省をさえせまる力をもっている」(同前)
いろいろ読みたいな~と思った古典はあるのですが、
特に数学の歴史には、たいへん興味があるので、
もっと学んでみたいなと。今後の課題です。
あと、やっぱり「自称・なんでも屋」の私の立場からして、
「あらゆる分野の学問を貪欲に探究した人」に関心がいきます。
アリストテレスもそうですが、レオナルド・ダ・ヴィンチとかも。
『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上・下)』(岩波文庫)は、
文学論、絵画論をはじめとして、自然に対する認識、
数学、力学、天文学・・・建築土木、都市計画、軍事技術など、
ありとあらゆる分野に彼が知のエネルギーをそそいでいた
ことがわかるそうです。すごいね。
共通しますが、建築家のヴィトルヴィウスの書いた、
建築について書かれた最古の文献『建築について』を
紹介しているところで、「総合から生れる強力な独創性」という
言葉には、すごく励ましを受けました。
このヴィトルヴィウスは、古代ギリシャ・ローマの時代に
活躍した人だそうで、彼いわく、
「建築家は筆を解し、描画に習熟し幾何学に精通し
各種の歴史を知り、勉めて哲学者に聴き、音楽を
解し、医術に無知ではなく、法律家の所論を知り、
星学または天空理論の知識を有するべき」
だそう。
「学問や技術や生産組織が専門化し多様化した現代
において、ヴィトルヴィウスが描いたような建築家が
生まれることは不可能であろう。けれども古代世界
から強調されていた諸技術の総合から生まれる強力な
独創性ということは、人間の生活を大きく変革する時、
また逆に言えば大きな変革からより人間生活をまもり
保たねばならない時、不可欠な条件である。ヴィトル
ヴィウスが我々に与えるもっとも大きな教訓は、現代の
建築家が自らに課しているせまい枠内での自負と自尊
をこえて、もっと幅広い知識と能力と、そして他の専門家
とともに仕事を進める謙虚さとを持たねばならない、と
いうことであろう」(44P)
あと、あらためて感動したのは、
コペルニクスや、ガリレイの地動説の提唱、
ディドロが生涯をかけて編集した『百科全書』などの
ことを知るにつけ、
唯物論的な学問とは、その時代の常識的世界観とのたたかい、
それはつまり、時の支配階級からの弾圧や迫害に抗しての
「たたかい」なんだということ。
唯物論にはね、情熱と勇気がいるんですよ!
ほんと。
先人たちの学問的たたかいが、
いまの私たちのものの見方にしっかりつながっている、ということ。
それを感じました。
あらためて、もっと深く学びたいです。
『あしたはアルプスを歩こう』(角田光代、講談社文庫、2007年)
角田さんの小説も読んだことがないので、
(「八月の蝉」などはドラマや映画でみたが)
文章そのものに接するのは初めて。
いっぺんで、ファンになりました。
年齢も私の7つ上ぐらいなので、
感覚もすごく近いし、
旅好き、酒好き、読書好きとくれば、
ほんとうに「いい作家み~っけ!」
という感じです。
これから小説も順次読んでいこうと思います。
さて本書。
北イタリアのアルプストレッキング旅のエッセイ。
角田さんの性格がよくわかる内容です(笑)。
この軽い感じ大好き。おもしろすぎました。
でもまた、
歩くことについて。旅について。
書くことについて。言葉について。
さりげなく、しかし示唆に富むことを
角田さんは本書で書き綴っています。
すごーく、すごく共感。
たいへん楽しい読み物でした。
『さがしもの』(角田光代、新潮文庫、2008年) こちらは、「本」をめぐっての
9つの短編小説集。
読んでいて、ほとんど快楽に
近い感覚でした(笑)。
本好きには、そうだそうだ、という
ところが多いです。
「本の一番のおもしろさというのは、その作品世界に
入る、それに尽きると思う。1回本の世界にひっぱり
こまれる興奮を感じてしまった人間は、一生本を読み
続けると思う」(「あとがきエッセイ 交際遍歴」より)
どんな本でも、その1ページ目を開くことは、
いまだ知らぬ世界への、扉をそっとひらくこと。
私も、一生本を読み続けていくでしょう。かならず。
私は、とりあえずテレビをみます(笑)
考えなくても見れるので。
投稿情報: 長久 | 2011年6 月13日 (月) 13:36
ですよね。
私、頭が極度に疲れていると、新聞すら頭に入りません。
投稿情報: 書記長 | 2011年6 月13日 (月) 11:55