きょう(27日)の夜は、82期岡山労働学校の第3講義でした。
今期いちばん多い23名が参加! 熱気むんむん継続中。
入学式18名、第1講義20名、第2講義22名、第3講義23名と、
毎週参加が増えているという、近年まれにみる現象が。
いつもの講義まえのワンポイント講座では、
Y岡まりこ先生が、漫画『バラ色の聖戦』(こやまゆかり)を紹介。
これがたいへん面白かった! ぜひ読みたい中身。
ジェンダー教室にぴったりのお話でした。
こんな漫画です。
最近、A旗で紙屋さんが
紹介していたのを見て、
読んでみたんだとか。
さて、きょうの講義は、
「暴力とジェンダーを考える」~DV・性犯罪・「日本軍」慰安婦問題~
というテーマで、
市場恵子さん(社会心理学講師・カウンセラー)が講師をされました。
講義冒頭、ギターの弾き語り。わあ!
すごい。
今期の講師の方は、みな個性的で豊かな表現力☆(ぼく以外)
市場さんは、ジェンダーをめぐるさまざまな考え方から、
具体的な話もふんだんに盛り込みながら、
暴力の構造についてお話をされました。
途中、歌あり、DVD上映あり、詩の朗読ありと、
盛りだくさんでギュッと濃い内容でした!
みなさん、熱心に聴いています。
以下、市場さんの講義の概要です(後半の資料は割愛)。
1.はじめに
暴力は「女性問題」ではなく「男性問題」
男はなぜ暴力をふるうのか?
2.女らしさ・男らしさってなぁに?
3.ジェンダーチェック
①女の子はしとやかに、男の子はたくましく育ってもらいたい
②子どもの参観日に出席するのは母親の方がいい
③保護者名の欄には、ふつう父親(男性)の名前を書く
④女性(妻・母)が外出するときは、家族の食事を準備して
からいくものだ
⑤男の子は家事を手伝わなくてもいい
⑥子どもが小さいうちは母親が育児に専念する方がいい
⑦女の子の進学や就職は地元がいい
⑧「女だから」「男だから」という言葉が何気なく出てしまう
⑨男性が洗濯物を干していたら「気の毒に(恥ずかしい)」と思う
⑩セックスは男性がリードするものだ
⑪重い物を持ったり高いところの物を取ったりするのは男性の役目だ
⑫男性は妻子を養えるだけの収入を稼ぐべきだと思う
⑬女の子が活発だと「男の子だったらよかったのに」と思う
⑭女性はおしとやかで控えめがいい
⑮デートで割り勘にする男性はケチだと思う
⑯女性が積極的に発言すると「きつい性格だ」と思う
4.ジェンダー川柳
①母が出る【 】PTA ・新米パパも
②黒と赤【 】ランドセル ・社内婚
③【 】妻をさておき 喪主となる ・立つ台所
④子育てに【 】仲間入り ・女です
⑤連れだって【 】狭くなり ・長男が
⑥仕事より【 】注意され ・男女で決まる
⑦ジェンダーを【 】順があり ・「主夫」と書き
⑧妻だけが ひっそり辞めた【 】 ・学ぶ席にも
⑨【 】無職ですねと 念押され ・父の名前の
⑩女には 無理と言うのも【 】 ・愛想のなさを
5.ジェンダーによる問題
「男は仕事/女は家庭」「男は度胸/女は愛嬌」
「男は強く/女は優しく」「男がリード/女は従う」
家事・育児時間
(6歳未満の子がいる共働き夫婦・平日:妻5時間/夫1時間)
育児休暇(2010年度の取得率は女性83.7%
/男性1.38%=ほとんどが短期取得)
結婚による改姓(98%が夫の姓に=家父長制の名残り)
平均賃金の差(2006年男女共同参画白書:女性は男性の36.6%)
女性議員の比率(衆議院議員11.3%/世界99位 参議院議員21.1%)
女性への暴力(DV被害は3人に1人/命に危機感は20人に1人)
レイプ・セクハラ・痴漢、被害者に落ち度がある?
女性のからだは穢れている?(女人禁制の山・神社・土俵・建設現場)
女のからだは女自身のもの
(男性の性欲・ストレス解消や子産みの道具ではない!)
母性神話の重圧と少子化(初婚年齢の上昇・若者の結婚離れ)
町内会・PTAの代表、冠婚葬祭の挨拶はいつも男性?
6.性暴力の神話(加害者の正当化)
「男性の性欲は本能だ」 「被害者に落ち度があった」
「加害者は一部の特別な人」 「加害者は見知らぬ人」
「被害者が挑発した」「合意の上」「恋愛のもつれ」
「沈黙は了解、ノーもイエスの意思表示」「最後まで抵抗できたはず」
7.性暴力の事実(被害者からの再定義)
①セックスや愛ではない。「暴力」である。
②人間としての人格を踏みにじる、尊厳を奪う行為である。
③自分で自分を制御できなくなる。パワーとコントロールを
奪う行為である。
④私個人の問題だけではない。共通の社会問題である。
⑤暴力は女性問題ではなく、男性自身の問題
8.日本軍「慰安婦」問題をめぐる国内外の歴史
1991年 韓国の金学順(キム・ハクスン)さん、被害者として名乗り出る
1992年 韓国ソウルの日本大使館前で「定期水曜デモ」開始
日本軍「慰安婦」問題の解決を日本政府に要求
1993年 河野内閣官房長官談話
(調査の結果、強制性があったと認め、謝罪)
国連世界人権会議「人権宣言行動計画」
“女性の権利は人権である”“女性への暴力は重大な人権侵害”
武力紛争下の女性への人権侵害(殺人・組織的レイプ゚・性奴隷制)
国連総会「女性への暴力撤廃宣言」
女性への暴力を「家庭」「社会」「国家」の3領域で分類・明記
「暴力の防止」「加害者処罰」「被害者救済」を国家に義務づけ
旧ユーゴ戦犯法廷(『戦場のレイプ』『コーリング・ザ・ゴースト』)
1994年 ルワンダ戦犯法廷
1995年 村山首相「女性のためのアジア平和基金」と「見舞金」
(⇒「償い金」)
1996年 国連クマラスワミ勧告
1997年 姜徳景さん(「責任者を処罰せよ」の絵が遺言)・
金学順さんの死
1998年 アジア連帯会議(ソウル)で松井やよりさん「女性国際
戦犯法廷」提案
国連マクドゥーガル報告
国際刑事裁判所(ICC)設置(日米は批准せず)
2000年 「女性国際戦犯法廷」の開催(天皇有罪・日本政府有責の
判決概要)
2001年 オランダのハーグで「女性国際戦犯法廷」の判決
旧ユーゴ「フォッツァ裁判」(3人のセルビア人兵士に有罪判決)
2004年 細田内閣官房長官、2人の被害女性たちと面談(「父親
世代の罪」に謝罪)
2005年 「女たちの戦争と平和資料館(wam)」開館(東京)
2007年 米国下院で「日本軍慰安婦強制動員糾弾決議案」が可決
オーストラリア・カナダ下院でも日本に元「慰安婦」への
謝罪を求める
中国人「慰安婦」裁判で最高裁「旧日本軍が連行・監禁・
強姦」と事実認定
2008年 台湾立法院で日本政府に元「慰安婦」への謝罪と賠償を
求める決議文採択
宝塚市・清瀬市・札幌市議会で「政府の誠実な対応を求
める意見書」採択
英国下院外交委員会の報告書「日本は慰安婦問題の
重要性を認識すべき」
2009年 BPO放送倫理検証委員会が「自主自律の観点でNHKに
問題があった」
福岡市・箕面市・三鷹市・小金井市・京田辺市議会で
意見書採択
2010年 岡山市は「日韓両国の新たな百年を創る決議」
(意見書提出できず)
日本軍「慰安婦」問題の立法解決を求める国際署名提出
「女性国際戦犯法廷10周年シンポジウム」(於東京外国語大学)
2011年 韓国の憲法裁判所が「韓国政府が日本と個人請求権を
めぐる交渉を行わないことは憲法違反」(元「慰安婦」たちの
基本権を侵害)と判断
韓国外交通商省、請求権問題について政府間交渉の開催を
公式に求める
★12月14日、韓国の「定期水曜デモ」が1000回を迎える
(⇒統一デモ&集会)
9.DV(ドメステック・バイオレンス)
身体的:殴る・蹴る・噛む・押す・つかむ・つねる・小突く・物を投げる・
平手で打つ・火傷させる・物で叩く・首を絞める・刃物をつき
つける
心理的:無視・交友や電話を監視・性別の役割を決めつける・就職に
反対する・外出させない・大切にしている物を壊したり捨てた
りする・どなる・ペットや子どもに危害・誰のおかげで生活で
きるんだと言う・脅す
性的:ポルノビデオや雑誌を見せる・避妊に非協力・意に反した性行
為・浮気
経済的:生活費を渡さない・収入を取り上げる・支出を細かく監視
10.実態(平成11年度総理府「男女間における暴力に関する調査」)
①命に危険を感じるくらいの暴行...... 4.6%
②医師の治療が必要な程度の暴行...... 4.0%
③医師の治療が必要とならない程度の暴行...14.1%
④いやがっているのに性的な行為を強要... 17.7%
⑤何を言っても無視され続ける........ 17.3%
⑥「誰のおかげで生活できるんだ」.......15.9%
⑦大声でどなられる..............45.3%
11.DVの周期(レノア・ウォーカー『バタード・ウーマン』)
加害者は「力と支配」の車輪を回す人
・繰り返され常習化する暴力
・拳を振り上げている時だけがDVなのではない
・人質のような監禁状態
・閉鎖性・支配関係がエスカレート
12.心地よいパートナーシップ
「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言える(適度な「者間距離」)
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいる温かさ
(俵万智さん)
YOU(ユー)メッセージではなく、I(アイ)メッセージを心がける
親しき仲にも人権あり(暴力や支配は「愛」ではなく、人権侵害)
相手をコントロールするのではなく、自分の感情や行動をコントロール
お互いの自己決定を尊重し合う(縛らない・強制しない・指示しない)
お互いのちがいを認め合う(性別より個性や多様性を尊重)
一人でも生きられる二人が、支え合って生きる(自立と共生)
友だちのように横並びで歩きたい(主従ではなく対等な関係)
以上。
グループ討論は今期初の4班に。
それでも、時間が足りなかったようです。
講師の市場さんも、
「すごく討論活発ですね~!」と驚いておられました。
労働学校の、他にみられない魅力のひとつは、
この活発な討論時間です☆
しかし、これは講義の中身あってこそ。
市場さん、ありがとうございました!(差し入れも!)
以下、感想文(一部)です。
「中学生のインタビュー結果にビックリです。いつ
このような考え方をすりこまれるのだとうと思い
ました。その中にある権力構造、知らない間に
染まらないよう、気をつけなきゃ。性暴力の神話も
わかりやすかったです。最後の詩はみんなに
広めたいなあと思いました」
「たいへん興味深ーい内容で、ちょっと疲れてきた
のに、目はぱっちり!でした。・・・紹介された詩が
すてきだった! 強者の側がつくってきたワクグミ
を壊して、いろんな人がいていいんだ、自分は大
切にされるべき存在なんだと実感できる21世紀に
していきたいです」
「女性にたいする暴力は、本当に残酷だし、許され
ないですね。今の自分の発言の延長が人を傷つけ
てないかと考えてしまいます」
「『被害者が悪い』ではなく、加害者の理屈がま
かり通る今の社会から、被害者の傷ついた心に
よりそえる社会になってほしいです」
「ジェンダーって奥深い! 性暴力の定義が加
害者視点からのものっていうことに驚いた。被害
者が語っていくことで社会の考え方も変わって
いくんだと思った」
「子どもや年寄に対して、支配しようとする自分の
暴力的感情を意識することがあります。いろんな
意味で自分に余裕がない時が多いです。言いわけ
かな。ゆっくり、もっとゆっくりにならないかな、世の
中全体が」
「身近な問題で、考えを整理することを痛感しまし
た。日本軍『慰安婦』問題は、忘れさられてしまって
いた。『心地よいパートナーシップ』の考え方を基本
に、もっと学習をしていきたいと思います」
「性暴力に寛容な日本の根っこを変えていく運動を
していくことが大切。その基本は夫婦関係、親子
関係だナーと思う。I(あい)メッセージを意識しまーす」
「ジェンダー問題が日本の権力構造と深く関わっ
ているということに気がついた。この問題を解決
すれば、日本は、いい国になれるかもしれない。
加害者をきちんと追及しよう!」
「DVやレイプなどの女性に対する暴力は身近に
あるものなんだと最認識。 歌と詩の朗読もとっても
ステキでした!! 優しくおだやかな声にいやされ
ました。もっと聞きたかった・・・」
なごみには14名が引き続き参加☆
「最近鳥肌がたったこと」でわいわいトークでした。
モデル=若いってことかな?
まあ、いまは50代でも60代でも人間の
美しさを表現できる人たくさんいるからな~。
ジェンダーとはちょっと違うような。
投稿情報: 長久 | 2011年10 月28日 (金) 16:01
昼食を職場近くの定食屋でとっていたところ、「徹子の部屋」がたまたまテレビに映っていた。ゲストはモデルの秀香さん。なんと60代にして現役のスーパーモデル(・へ・)驚いた!
ここであり得ないっ!って思うのもジェンダーなのだろうか???
投稿情報: ゆみた | 2011年10 月28日 (金) 15:32