きのう(24日)は、83期岡山労働学校の第2講義でした。
参加は14名。
調子が悪い、仕事、用事などなどで、やはり出席率がイマイチ。
でも、今の雰囲気には手ごたえを感じています。
こうした1回1回の労働学校を成功させることが、なにより大事です。
グループ討論のふうけい。
講義は「人間にとっての労働の意味―社会的な視点から」
というテーマで、私が講師を担当しました。
結論をいいますと、
人間は、2本足なんですよ。これが本質。
で、「手」→「道具」→「言葉」「知性」「文化」。
2本足が、その出発点なんです。はい。
以下、講義の概要です。
一。労働とはそもそも
1。動物と人間のちがいは・・・
◇ネコ、犬、豚、牛、鳥、ねずみ・・・
◇にんげん・・・
2。猿から人間へー「2本足で立つ」ことの意味
◇それは、600万年~700万年前のことじゃった・・・
*2本足で立つようになったヒト
*自由になった前足
◇手を獲得することで、道具をつくり、あつかうことが可能に
*石器、器、縄、衣類、食料を得るための道具や武器……
*道具は、世代をこえて伝承・発展し、多種多様に、より改良を
とげていく。
*手によって何度も道具をつくり、使っているうちに、手は
だんだんと器用さを身につけていく。道具の製作・使用
という労働が、手を精巧なものにしていった。
*また脊椎動物は「顔」が進行方向の最先端に位置します。
そこに、目、鼻、耳、舌、ヒゲなどの重要な感覚器官(外界の
探索機能)がある。人間は2足歩行の結果、外部の探索行
動における「手」の役割が大きくなりました。
*「道具の使用」「外部探索」の結果、手の神経が発達し、
それが脳の発達をうながすという関係になります。その脳の
発達が、複雑な指令を手に送るようになります。手の発達と
脳の発達は、一体にすすんでいきました。
3。労働が人間らしさをつくった
◇労働とは
*人間が手をもちいて道具をつかい、目的意識をもって自然や
対象に働きかける行為
◇人間の手はすごい・・・何百万年の労働の成果
◇言語の獲得も、協同労働の必要性から
*ひとりぼっちだったら、言葉は必要度が低い
*思考力・抽象力・類推力・判断力の飛躍
*考える力(知性)は、どのような(豊かな)言葉を持って
いるかと比例する
◇火の獲得=法則性の認識
*やわらかいものを食べられるようになり、口腔がひろがり、
有節音を操れるようになっていく。言語の獲得。
◇芸術や文化も労働から生まれた
*道具をつくる過程で、その苦労のなかで、自分のつくる
道具=作品のでき具合に心が動くようになりました。さま
ざまな道具の製作をくり返すなかで、「もの」の「かたち」が
うまくできあがったとき、心がはずみ「ああ、美しいな」とい
う美的感情のようなものが芽生えました。こうした心の動
きを、「理性」と区別して「感性」や「感情」といいます。
*また、ときには労働の必要から、「図」や「絵」を描き、意
思統一をしました。そのうち、その「図」がやがて見事な
「作品」となり、美的感情もますます磨かれ、同時にその
「図」を描く仕事に専念する人間、つまり「芸術家」を育て
ました。
*やがて、舞踊や音楽、彫刻や絵画、さまざまなジャンルの
芸術が分化発展し、一方でそれを鑑賞し、そこから生きる
力を得る「鑑賞者」も育っていきました。
*考える力や科学と、感性・感情・芸術文化を一体として
「人間の生きる力」として豊かに発展させてきたのが、人
間の歴史であり、労働の歴史でもあった。
◇人間だけが、「人間に(人間らしく)なる」
*ネコは生まれたときからネコであり、「ネコになる」という
表現はしない。
◇人間の成長過程→人間らしさを育てていく過程
*手をつかう・・・人間の赤ちゃんが得意な「あおむけ」「おすわり」
*2本足で立つ
*言葉を覚え、コミュニケーションの力を育てる
*遊びのなかで、集団として生きる力を育てる
*やがて学校へ入り・・・
◇『ハルばあちゃんの手』(木下晋絵、山中恒文、福音館書店)
*人生の歩みは、手の歩みでもある
「物語の主役は、五本の指をもつ『手』です。生まれたて
の手、年よりの手、かごを編む手、悲しみを押さえる手、
ケーキをつくる手、舞いをまう手・・・手が暮しを育て、愛を
はぐくみ、死を見おくる」
*みなさんは、自分の手を、どう使いますか?
二。社会的な視点から考える―支えあいが人間の本質
1。なぜ蛇口をひねると「水」が出る?
◇今朝起きた瞬間から、「どれだけの人のお世話になってい
るか」を考えてみよう
◇無数の人びとの労働によって支えられて
ー支えあって生きている(見えづらい)
◇職業選択の自由ー近代社会の特徴のひとつ。分業の発達。
【補論―生きること・働くことは、選択の連続】
*人間の生は自覚的ー「生きている」「生きていく」
*人生は1回きり
「同じ流れに二度、足を踏み入れることはできない。生き
ることのほんとうの面白さとむずかしさは、生をくりかえす
ことができないところにある。その上さらに厄介なことは、
かりにすでに生きられた生をもう一度やり直すことが許さ
れたとしても、まったく同一の軌跡でそれを反復すること
を人は欲しないであろうということである」
「人間にとって、いったん生きられたその過去というものの
意味は、もう決まってしまってどうしようもない、というもの
ではなくて、それは現在の生き方いかんによって、その意
味を変えられることができるということです。人間にとって
過去と未来は、現在によってその意味をえてくるのだから
です」 (真下信一『時代に生きる思想』、新日本新書)
2。社会を支える「働く人びと」-その状況はどうか?
◇「私」の生活を支えている人びとのことを想像する
*生活はどうか? 働き方はどうか?
その人の労働は尊ばれているか?
「生み出してくれる人がなかったら、それを味わったり、
楽しんだりして消費することは出来やしない。生み出す
働きこそ、人間を人間らしくしてくれるのだ。これは、何
も食物とか衣服とかいう品物ばかりのことではない。学
問の世界だって、芸術の世界だって、生み出してゆく人
は、それを受取る人々より、はるかに肝心な人なんだ」
(吉野源三郎『君たちはどう生きるか』岩波文庫)
「労力一つをたよりに生きている人たちにとっては、働
けなくなるということは、餓死に迫られることではないか。
それだのに、残念な結果だが今の世の中では、からだ
をこわしたら一番こまる人たちが、一番からだをこわし
やすい境遇に生きているんだ。粗末な食物、不衛生な
住居、それに毎日の仕事だって、翌日まで疲れを残さ
ないようになどと、ぜいたくなことは言っていられない。
毎日、毎日、追われるように働きつづけて生きてゆくのだ」
(前掲書)
◇働き方は、社会のあり方によって、変わってくる
*私たちは、21世紀の、高度に発達した資本主義社会である
日本で生きている
*働き方、労働への考え方、働く意味も、そこに大きく規定され
ている
さいごに
以上。
何人かの感想文をご紹介!
「今日も考えてもないような話でした。人間は、
言葉を使う、有節音を操れる、手がきように
操れる。勉強になりました」
「2足歩行ができるようになって、物を作れる
ようになって、働くようになって、芸術もそこ
から発展して、今、いろんな人、おおぜいの
人の手をかりて生きているんだなと、気づか
されました。今日帰ったら、娘(高2)、息子
(中3)にも話してみようと思いました」
「自分の手をどう使うか、使っているか。誰の
何のために使うのかが大事になると思いました。
人のために手を使うことが、人間らしく生きる
ということにつながるのだろうと思いました」
「手を使うことがすごいと改めて思いました。
モノをつくるときに、たくさんの人がかかわって
いるということが改めて思うと、すごいと思い
ました」
「今日の講義では『手』について考えさせられ
ました。自分が何げなく使っていても、人に癒し
を与えたり、逆に人を傷つけていたり、『手』に
いろんな深い意味があることにおどろいた」
「労働によって、人間が人間らしく生まれ変わる。
私たちは本当に人間になれているだろうか?
私たちの社会が見えない1人ひとりの労働で
成り立っていることに気がつきました。生み出し
てくれる人の労働に、もっと心を寄せていきたい
と思いました」
ん?? その後の文章?
じゃ、またそのへんのことは、
来週。
投稿情報: 長久 | 2012年5 月25日 (金) 17:45
ネタじゃないですって(ーー;)
◇働き方は、社会のあり方によって、変わってくる
の後の文章が気になる。
投稿情報: ゆみた | 2012年5 月25日 (金) 17:29
さいごに
以上
おわり。
投稿情報: 長久 | 2012年5 月25日 (金) 17:19
さいごに
以上
????
投稿情報: ゆみた | 2012年5 月25日 (金) 16:00