ソワニエ読書日記11冊目。
『生物学的文明論』(本川達雄、新潮新書、2011年)
【読んでのつぶやきメモ】
*生物学者からの、近代社会への問題提起
*サンゴ礁やナマコから学ぶ命のあり方論。生物多様性の問題。
新鮮な切り口でなかなかおもしろかったです。
「地球は水惑星ですから、水はふんだんにあります。でも
水の97.4%は海水で、農耕には使えません。使えるのは
淡水。そしてその多くは氷として極地にあり使用不可。川
や湖のように、農耕に使える淡水は、地球の水の0.01%
以下と、ごくわずかです」
「なぜ農耕に水が要るのでしょうか。それは、生物が水で
できているからです。体の半分以上が水です。人間の場合、
全体重の62%が水の重さです。ヤギだと76%、魚のタラ
なら82%。あのカシャカシャしたゴキブリでさえ、61%が水」
「植物も似たようなものです。草は8割~9割が水。木でも
半分以上が水。トマトの果実にいたっては94%が水です。
だからこそ植物を育てるには水が要るのです」
「米1キログラムを作るのに、3.6トンの水が必要だと見積
もられています。なんと3600倍もの水が要るのです」
「生物は水っぽい、それに対して人工物は乾いている」
「生物と人工物とでは硬さも正反対です」
「生物がなぜ水っぽいかというと、水の中では、化学反応
が活発に起こるから。生物は、常に活発に化学反応の起
こっているものです。一方、人工物が乾いているのは、
その逆です。化学反応が起こってもらってはこまるからです」
「『人にやさしい』とは、『生物であるヒトのデザインと大き
くは違わない』と言い直せるのではないか」
「みんな疲れているんです。社会の時間に追いつこうとして、
疲れ果てている。社会の時間と体の時間との間の、もの
すごいギャップをみなが抱えている」
コメント
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