といっても、全国集会の準備真っ最中のときは、
正直あまり本が読めてなかった・・・。
困ったもんだ。読書の秋でばん回せねば!
『哲学は身近にありて想うもの-科学的考え方のすすめ』
(高宮守、ウインかもがわ、2012年)
うーん、もうしわけないけど、
イマイチでした。
哲学本って、ほんと、難しいな。
例えがとくに。
『原発事故の理科・社会』(安斎育郎、新日本出版社、2012年)
コンパクトだけど、わかりやすい。
問題を○か×かではなく、
弁証法的にとらえられていて、
説得力がある。
「放射能はどんなに科学が進歩しても
無害化できない」というのは、
残念だけど納得した。
『イタリアの旅から-科学者による美術紀行』
(多田富雄、新潮文庫、2012年)
ほんとうに、この人は一流。
まず書かれている日本語が美しいし、
免疫学者であると同時に、
歴史や美術を観るたしかな眼がある。
これ読んだら、イタリアに行きたくなる!
『脱貧困の社会保障』(唐鎌直義、旬報社、2012年)
良書。めちゃくちゃ勉強になった。
いかに日本の社会保障をめぐる
議論や宣伝がゴマカシに
満ちているかがよくわかる。
イギリスの社会保障制度の変遷と
特長をつかみながら、社会保障の
あるべき姿を明らかにしている。
以下、メモ。
「『本当に困った人』だけを対象とした福祉は、
『本当に困った人』を救済できなかった歴史を
持っている」(4P)
「社会保障は働く人々を貧困化から守るために
存在している。それが社会保障の第1義的な
存在理由である」(5P)
「いまの日本の福祉行政において全面展開
されている『自立支援政策』は、貧困の原因を
貧困者自身に求めている点で、マルサスの
主張と同じではないか」(28P)
「『自立・自助』、すなわち『生活の自己責任』と
いう価値観は本来、営業と交易の自由を求めて
封建的諸規則の廃止に立ち上がったブルジョア
ジーの価値規範である。(略)社会保障というア
イデアは、まさにこのブルジョア的価値規範の
押しつけである『生活の自己責任』原則を労働者
の側から打ち破っていく過程のなかから誕生した」
(38P)
「わが国では社会保障というと、年金、医療、
介護に象徴されるように、主な受給者は高齢者
であると受け止められている。事実、『社会支出』
の約80%が高齢分野と保健分野の二分野に
重点的に配分されている。日本国民のあいだで
『世代間扶養論』が容易に通用するのは、現実が
そうなっているからに他ならない。しかし、イギリス
社会保障史の底流に流れているものは、『社会
保障は労働者階級のものである』という強固な
主旋律である。それは『国民』といった漠然とした
概念でもなく、『勤労者』といったニュートラルな
概念でもない。高齢者でさえ『定年退職して高齢
期を迎えた労働者』である。社会保障の中心線
がどこに引かれているかは、非常に重要なテーマ
ではないか。『社会保障は労働者階級のもの』
という位置づけを揺るぎないものにしているもの
こそ、失業時の所得保障の充実度に他ならない。
イギリスと比較すると、わが国の社会保障制度は
いまも“仏作って魂入れず”の状態にある。なぜ
フランスでは、年金制度改悪反対のデモに大勢の
高校生が参加するのか。そのことを十分に理解
できる日が来た時、日本の社会保障は本物にな
ると思われる」(76P)
「社会保障は、様々な社会的事故から労働者の
生活を保護することを通して、労働者の発言力を
強め、『主権在民』の根を強化する』」
「社会保障による労働者の生活不安からの解放
が、民主主義の発展にとって不可欠の条件となる。
今日のように、生活の賃金への依存度が高いまま、
多額の借金(住宅ローン)を負っている労働者は
決して強くなれない。賃金に依存する生活は、
企業に雇用され続けることによって可能になるから
である」(115P)
「このように戦前日本の社会保障史を概観すると、
国民が『生活の自己責任』をずっと受け入れさせ
られ続けてきた歴史であったことがわかる。日本
人の愛国心が精神主義でしか語られない理由は、
『国民を保護しない国家』が存在してきたからで
ある。『国民を必ず保護する国家』であれば、愛
国心の涵養に精神主義教育(日の丸・君が代)を
持ち出す必要はない。国家に保護される必要性の
まったくない裕福な人々か、もしくは国家から何ら
かの利益を被っている人々が、今も精神主義の
愛国心を提唱し続けている」(131P)
『税が悪魔になるとき』(斎藤貴男・湖東京至、新日本出版社、2012年)
自分の消費税そのものへの
理解がいかに浅かったかを
痛感させられた1冊。
対談形式で、読みやすいし、
おすすめ。
「消費税というのは、まず納税義務を負わされた
事業者、なかでも力の弱い中小・自営業者を
直撃する。そして、ついに社会全体から公正さを
奪いつくしていく税金」(136P)
ということが、本書を読めば、苦しいほどよくわかる。
『絵本たんけん隊-小さな まぶしい タカラモノをさがしに…』
(椎名誠、クレヨンハウス、2002年)
傑作。すごすぎる。
380ページという分厚さにもびびる。
絵本のもつ力を、これほど柔軟に、
縦横無尽に語った本は、ほかにない
だろう。シーナさんに実体験にもとづく
話も多く、説得力と示唆に富む。
子育て世代の人はぜったい読むべし。
『女性白書2012
―私たちの求める「社会保障と税」-ジェンダーの視点から』
(日本婦人団体連合会編、ほるぷ出版、2012年)
今年も資料満載で使える1冊。
しかし、
年々女性をとりまく状況は
キビシクなっている・・・。
労働者の生活と労働が
壊されている状態だから・・・。
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