最近読み終えた本。
相変わらず、ペースがあがりません。
『生きさせる思想-記憶の解析、生存の肯定』
(雨宮処凛・小森陽一、新日本出版社、2008年)
この2人の対談が、面白くないはずない。
ふんふん、なるほど、と思いながら、一気に読める。
小森さんの、
「本来、弱肉強食の世界から言葉によって離脱したはずの
人間が、もう1回資本主義によって永久競争社会に送り込
まれてしまっている」
「それを乗り越えるのは難しい問題なのですが、原理的な
ことに関しては、私はこういうふうに考えています。
人間という生きものは人に支えられていないと生きられな
いわけです。その事実にこそ、まず立ちかえるべき前提が
あるのではないかと思います」
という発言に、深く共感。
『貧困ビジネス』(門倉貴史、幻冬舎新書、2009年)
貧困ビジネス。恐ろしい言葉です。
ある程度勉強になったけど、
なにか、著者から伝わってくるものがない。
あまり「現場」のニオイがしない。
『こんな人に会っちゃった-徳永進と12人』(徳永進、看護の科学社、1993年)
大好きな徳永進医師の、たぶん唯一の対談集。
メンバーがすごいよ(わかる人には)。
佐野洋子、平田満、千葉冨貴子、小島照行、吉田ルイ子、壇ふみ、
冨田潤、鶴見俊輔、倉嶋厚、色川大吉、川島みどり、谷川俊太郎。
線を引いた言葉をメモしておきます。
「私、大切なことって物じゃない気がするんですね。人はそれぞれに
大切ということがあるかもしれないけれども、私は本当のことってい
うのが一番大事なことじゃないかなあって思うんですよ」(佐野洋子)
「人間が困難に出会った時に、今こそ自分が成長するチャンスだと
受け取らなかったら、人間、何年生きたって成長しないではないか
ということね」(千葉冨貴子)
「紡(つむ)ぐという言葉は、普段はっきりと意識しない言葉だけれど
も、こうやって糸のことを考えていくと、『紡ぐ』が大事な言葉だったん
だなと思いますね」(徳永進)
「この間、河合隼雄さんの本を読んでいたら、河合さんの愛の定義は、
最後まで関係を絶たないことだという意味のことをおしゃっていました
ね。つまり関係し続けていくことが愛だと。それはやっぱりすごくいい
定義だと思いますよ。
(徳永「そばに居続けるというような意味ですか」)
もちろんそうなんです。でもそばに居るだけじゃ駄目なの。関係。つ
まり自分が批評すべきところを見つけたら、しつこく批評するというの
は、やっぱり愛だと思いますよ。皆は途中で諦めたりするわけじゃん。
私の夫はこういう人なんだからと。それは愛じゃないとも言えないけれ
どね。でもやっぱり本当の愛というのは自分の方から積極的に関
係し続けていくことだというふうに思いますけどね」(谷川俊太郎)
「もちろん言葉にならないコミュニケーションはすごく大事だと思います
よ。表情とか動作とか、すごく大事だと思うけれども、それも結局つまり
どっかで言葉にある程度翻訳しないと客観的にならないし、普遍化され
ないわけでしょ。
…つまり逃れられないんですよ、簡単に言えば。逃れられないから受
けて立つしかないということでしょう。言葉は信用できないということを、
言葉じゃない言葉で言ってみろと言ったって言えないわけじゃない。僕
は信じられませんと言っていること自体自己矛盾の固まりなわけですよ。
だから、言葉を引き受けるしかないし、人間というのは、それこそ医者
から見れば五臓六腑ででき上がって、皮膚がそれをくるんでいると思う
かもしれないけども、我々の立場で言うと人間というのは言葉でできて
いるんですね。ほとんど。言葉をとったら人間は人間でなくなる」
(谷川俊太郎)
など。
徳永さんは、本の冒頭で、
「いつごろからか、自分にないものを持っている人に会ってみたいと
思うようになった。一瞬の交差でもいい、それによって、僕の画一的
な世界や言葉が、少しでも崩れて広がれば楽しいだろうな、と思った」
と書いている。
私も、いろんな世界や言葉をもった人と、
積極的に出会っていきたい、と思える本だった。
『剣客商売読本』(池波正太郎他、新潮文庫、2003年)
このブログの名前の元となった小説『剣客商売』の
ガイドブック的1冊。
やっぱりこれは、おもしろい。ああ、おもしろい。
『剣客商売』は文庫で16冊のシリーズと、2つの番外長編からなる。
私は、過去に2回、通読したのだが、また読みたくなってしまった。
でも、読み出したら「やめられない、とまらない」。
危険、危険。手をだしたら危険だ
2月・3月は、社会進歩と女性講座のための勉強に集中しよう。
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