最近読み終えた本。
『アートを楽しむ生き方-ちひろさんの絵に恋をして』
(日野原重明+松本猛、新日本出版社、2010年)
相変わらず、日野原さんの話は、
わかりやすい。
そして、けっこう左翼運動との
関わりもあったんだと、
これはあらたな発見でした。
『ベッドまわりの環境学』(川口孝泰、医学書院、1998年)
これは、たいへん勉強になりました。
もちろん、読む動機はソワニエの
読書日記なんですが、
こういう本が、じつは学習運動にも
つうじてくるから、面白いのです。
内容は、ナイチンゲールの環境論(看護論)をベースに、
病者と環境との関係をさまざまな角度から整理しているのですが、
その内容は、「人間はまわりの環境を整え、変革することができる」という、
私たちの活動の本質につうじるものが垣間見えてくるのであります。
また、学習運動は、職場や地域に学習の場(空間)を
たくさんつくりだす仕事なわけですが、
「心地よく学習に向かえる環境」「知的共同を生み出す空間づくり」
なんてことも、とうぜん考えなければいけません。
正しい理論や知識を教えれば、どんな学習環境でも構わない、
というのであれば、これは人が集まりません。
たとえば、机の配置、方角、講師との距離、隣の席との間合い、
なんてことから、温度と湿度、光、音、視界に何が入るか、
あるいは、どんな時間帯での学習か、休憩時間のタイミング、
なんてことも、学習会では気をつかう必要があるのです。
人間は環境に影響を受けるのですから、
参加者が学習内容にまっすぐ向かえるような「学習環境」を
きちんと整えることも、大事な観点なのであります。
『冬眠の謎を解く』(近藤宣昭、岩波新書、2010年)
寒いのが大嫌いの私としては、
「冬眠」はまさに「あこがれの能力」であります。
激しくタイトルに反応して手にとってしまいました。
なかなか専門的な話も多く、ナナメ読みでしたが、
冬眠するモードに身体を自在にギアチェンジできる
冬眠動物の能力は、まったくすごいということだけは、
よくわかりました。長寿や病気になりにくい体という
面からも、注目されている研究だそうです。
『人間と倫理』(牧野広義、青木書店、1987年)
先日、中田進さんが、大阪と京都の
看護学校での授業で、これをテキストに
講義をしていると聞き、手に入れました。
なかなか骨太の内容です。これを使って
どんな授業してるんだろ?と、びっくり。
たぶん、読むだけでは分からないことだらけ。
中田さん流に、かみくだくんだろうなあ。
人間の本質をとらえる角度として、
「知性」「労働」「社会」という整理は、たしかに重要で、
参考になる角度だなあと思いました。
もっと勉強しなきゃ。
『無気力の心理学-やりがいの条件』
(波多野誼余夫・稲垣佳世子、中公新書、1981年)
上の牧野さんの著書で参考文献が
たくさん紹介されていたなかの1冊。
おもしろそうなタイトルだったので。
そして、想像以上に、
いろいろと役だつ本でした。
興味深い内容です。
これと関連して、
普天間基地問題にしても、政権交代後の今の政治状況にしても、
人々のなかに、「やっぱり変わらない」という無力感が広がることが、
そして実体験として刻まれることが、一番恐ろしいことだと思っています。
(変わっているところはあるけど、否定的側面のほうが圧倒的に目立つので)
自分(たち)にとって好ましくない環境があれば、
人間は環境に働きかけて、それを変えようとします。
しかし、その働きかけが、「環境の変化」という結果に
結びつかない、またそれがくりかえされる場合は、
「無力感が獲得」され、環境への働きかけを放棄してしまう、
ということです。
そうならないために、どんなことが必要か。
この本では、後半、「無力感」の反対となる「効力感」を
獲得する(つまり、自分の働きかけで環境が変わっていくという実感)ための
さまざまなヒントを提示していて、それもなかなか参考になります。
16日に行なわれた、明治公園での青年大集会(5200名が参加)なんかの
取り組みは、「効力感」を獲得するためのツボを、凝縮した企画ではないでしょうか。
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