きょう(11日)は、14時から、
岡山県学習協主催の学習会がありました。
関西勤労者教育協会の吉井清文会長を
お呼びしての2日間の学習会の1日目です。
テーマは、
「学習運動と私~労働者にとっての『資本論』学習」
というものでした。
会場は、岡山国際交流センターの「交流サロン室」というところ。
参加は15名と、だいたい予定どおりでした。ほっ。
まあ、こういう学びのテーマって、
学習運動そのものの話なので、人はなかなか集まりませんが、
これをやり続けないと、学習運動の力ってつかないし、
学習活動家も生まれてこないわけで。
で、吉井さんのお話は、初心者には若干難しかったですが、
面白くパワフルな話し方と、いまの情勢をどう切りひらくのか、
という立場で語られるので、とっても迫力がありました。
そして、いつものように、あまりレジュメどおりにすすまず、
レジュメの内容は3分の1ぐらいですかね、話したのは(笑)。
でもね、やっぱり吉井さんの立場は、研究者というよりは、
やはり運動家だなあと。
その立場性に、私はすごく心打たれるんですよね。
『資本論』を運動家の立場で、どう読んで、
どう労働者に学んでもらい、力にしていくかという。
堀江正則さんとのお話や、
ご自身の青少年時代のお話も、たいへん興味深く、面白かったです。
不破さんの研究の問題意識とか。
吉井さんでしか聞けない内容ですね。
以下、吉井さんのあまり話されなかったレジュメです(笑)。
第一部・成長過程での戦争体験のくりかえしと思想形成の経過
1、なぜ『資本論』学習にとりくんだのか その基礎要因のまとめ
その1 幼少・中高生徒期の体験 思想形成の基礎
A 父親の右手・人差し指の先端欠如 なぜ父は徴兵なしなのか?
B 母の入院と父の人生破綻 一時は自殺も考えた
C 父の渡満 満蒙開拓義勇軍関連公務(1943~44年)
D 戦争と食料不足の補足労働 親族通いでの重労働の経験の
4年間(1943~46年)
20キロのザックと両手の荷物 5キロの道の往復
空き地での農作業の経験と生産的労働の教訓
(1945~46年)
E 米軍・グラマン戦闘機の銃撃の経験(1945年)
日本軍・戦闘機のB29爆撃編隊への挑戦と炎上・墜落・落下傘
降下兵(1945年)
銃後家族の消化訓練(1945年)
日本軍兵士の田畑での銃撃演習の実態(1942年)
F 小学校での貧困家庭の友人・朝鮮人生徒との交流の経験
(1940~45年)
G 隣人の友達のお父さんの招集礼状と戦死・帰国のショック
H 隣人の友人の兄の出征、腰・貫通銃創生涯独身
盆栽生活での生涯
かれの姉 夫は結婚式直後の出征 戦死 生涯独身
I 高等学校での国語教師へのレッドパージ追放
(1949~50年)とその後の交流
J 1才年長の友人との家庭教師通い(京大生講師)
かれは大学入学 学生運動 卒業後日立造船
系列企業社長 リストラ連発責任者
50年後の彼による同窓会の招集 リストラ自慢の発言
わたしの「日立造船活動家の依頼での職務給パンフレット
執筆」の経過
同総会後、交流したかったが、かれは霞のように消えていた
(逃げた)
K 幼少期の娯楽での制約 文学全集(外国・日本)との接触
芥川龍之介 「蜘蛛の糸」ハンプク読破
トーマス・ハーデイ 「テス」貧困女性の差別・迫害・
薄幸人生の描写
イギリス資本主義での女性被搾取描写(『資本論』)人生の
「歴史版」ではないか
ヴィクトル・ユーゴ「レ・ミゼラブル」のフランス資本主義描写
との対比作品か
不破哲三氏の「革命論研究」・フランス革命でのバリケード
描写の紹介
有島武郎 「ある女」日本資本主義での中産階級女性の
生涯の描写?
自分自身の思想形成での最重要作品ではなかったか
ぜひ読み返してみたい
いま、資本主義との対決女性の生涯の描写の出現
社会進歩の表現
松崎さんの生涯と「もぐら争議」
L 小学校卒業後の同窓会 6年生時の先生との交流
交流誌投稿での修正要請
2、その2 科学的社会主義の理論との接触の経
A 幼児期の経過の反省・成果吸収の繰り返し
自宅の裏山での人生・生活反省の反復と「デイミトロフ論文の
教訓」の合致に感銘
B 中高6年間のスポーツ人生 ハワイ二世コーチのリード
(1945~51年)
全国制覇3回の経験 「ナイル・キニック」スタジアムでの評価
関西学園大学入学の勧誘 大阪市立大学への入学
練習熱心 公立大学入学 勤労協の経過からの同窓会での
交流と教訓
C アルバイト生活での「奈良県庁公務員」「底辺労働者」との
接触と教訓(1952~52年)
公務員復帰での一般公務員の風潮との接触
大阪・難波・歓楽街でのアルバイト経験 低学歴労働者の
共通感性
こんなとこへくるな 勉強せい 親切 相互扶助 男女関係
台湾人・社長夫婦の傾向 極端な低賃金 紹介女性の
まじめ人生
D 外書講読講義での貧困と労働者状態の紹介
貧困克服の法則性の自覚(1952年)
人生の「革命」
E なぜ、社会変革の運動への自覚的参加の人生になったのか
大学生活3回生でのゼミナール選択と社会変革運動への
参加(1953年)
父親の「運動参加」許容姿勢
『資本論』学習のコツの伝授(とばし読みと全体通読の貫徹)
和歌山水害援助活動への参加の経験(1953年)
山村工作での村民生活・農業生活の実態調査の追求経験に学んだ
地図、生活、家族構成、収入源、人間関係、思想傾向、記録ノート
『資本論』学習の中断
(林直道氏の貴重な経験 高野山での読破 めくり読み)
F 関西勤労者教育協会運動への参加(1954年)
G 総括
幼少・少年期での生活の客観的反省
日本資本主義の経過・家族生活・階級性・客観的分析の意義
教育・戦争と平和・思想形成
自分自身の経済学的分析 哲学的分析はおくれた
読書好きが効果的だった
自己分析・反省
遺産(住宅)相続での民主主義・均分相続
現代青年男女の学習過程破壊(就活問題)、
生活苦(雇用破壊)の問題
世界に例のない残酷社会
日本資本主義・米日大企業の跳梁
その中での日本青年男女の対決・前進はどう進んでいるか
10人に1人から5人に1人(とくに女性)への発展で事態は飛躍できる
(大阪工大・教授の言 どう思うか)
たとえばフランス・ルール社会はなにが前提か
ねずみ一匹も法律で対処社会
第二部 労働者にとっての『資本論』学習 学習運動の経験に学ぶ
是非、伝えておきたいことの要点
1、人間が生きるとはなにか わたしの経験から
不幸な人生を願って生きるものがいるか
では幸せとななにか なにをあわせるのか
幸せ言葉はいつ、どのようにして生まれたのか
合わせて生きる し・あわせ
人間社会には不幸せがある 奴隷制 封建制
しあわせつぶし社会 対決が幸せ
対決が幸せという社会 幸せに生きるとは対決すること
屈服がさけられない社会
幸せ論への感動の新人公務員の経験
2、資本主義経済の仕組みは見えない 目で見てわからない
なぜ貨幣でなんでも買えるのか 貨幣とはなにか
貨幣の吸引力(一般的等価物)
会社とはなにか トヨタとはなにか 自動車づくりと儲け追求の二重性
就職とはなにか はたらいて生活する できるか 剰余価値生産労働
賃金とはなにか いただくもの 儲けの分けまえ 労資協調問題
会社の儲けとはなにか 搾取とはなにか 搾取とはなにか
機械とはなにか 仕事が楽になるのか
なぜ労働時間延長か 短縮とはなにか
以上の内容を知らないで労働者はまともな存在になれるだろうか
3、労働者の学習活動の必要 ILO148号条約
フランス・職人労働者(女性)の『資本論』学習の例
日本は未批准
4、一致する要求での団結とはなにか
日本の労働者は一致する要求を知っているのだろうか
一致する要求の探求の経験 差別賃金の本質
団結阻止・低賃金維持賃金
では、EU労働者の要求づくりはどのように行なわれているか
要求が決まれば闘争は60%終わっている(ブノワ・フラション)
大阪・衛都連・賃金闘争(1959~1962年・連続3万円賃上げ獲得の経過)
大阪・電気労連 中小企業労働組合(旭メッキ)の満額獲得の経験
5、無知は勤勉の母 マニュファクチャー労働者の運命
今、日本資本主義の「無知存在づくり」
6、機械とはなにか 道具の人体からの分離 機械の3要素
機械の発達で労働者はますます貧困化する あわせて団結力の強まり
7、競争とはなにか 久留間鮫造氏の功績 レキシコン
『資本論』の競争分析 「協業」類的能力 9つの形
独自的興奮 個性の飛躍発現
競争は協力・類的能力発揮の一形態
8、労働者はちがったものとして現れる(『資本論』13章8節)
堀江正規氏による労働者『資本論』学習の経験(1970~1975年)
『資本論』第一巻のみだが、全行しごき学習ノート
奈良・大阪に「労働者講師希望存在・複数」堀江ノートコピー学習
専門家による「読み」のちがいがあるが、もし希望があれば。
堀江正規氏 1911~1975年 戦前の治安維持法時代の生育
幼少での政治活動経験
軍事教育に反発 大学中退 東京新聞 中国戦線派遣
戦況報道での工夫
戦後・新聞労働組合運動の創立者 レッド・パージ 日本経済四季報
「日本資本主義講座」・編集 繊維産業の把握が基礎
宮本顕治氏との交流
「労働組合運動の理論」全7巻編集 23名の専門家結集
以上。
だんだん熱くなって・・・。これぞ、吉井さんの語り。
講義は休憩をはさんで16時半までの2時間半。
その後、机をロの字型にして質疑応答を50分ほど。
どちらも、あっという間に時間がすぎた感じです。
吉井さんも言ってましたが、学習会もまさに類的能力の発揮ですね。
参加者の感想文です。
「私は資本論は原本を読んだことはなく、労働学校の
講義や、マンガ『資本論』で内容を学んだくらいなの
ですが、『わからないところは、ためらいなくめくって
とばしてよい、それが資本論を読むコツだ』という話で
ちょっと安心しました(笑) 『労働時間を短縮しないと
政治や労働運動も前に進まない』ということは私も
すごく実感しています。しかし、私たちは時間の短い
中で運動するので、前進するのがとても大変ですが・・・。
不破さんのマルクス研究に対する熱い想い、そして
吉井さんの熱い想いを聞いて、とても元気が出ました」
「今まで資本論は読んだことはなかったが、現代の
社会に通ずる考え方や教えが多くあることが分かった。
またご自身の学習運動で得た経験は大変でとても
感動した」
「吉井さんに言われると、資本論読めそう(めくれそう?)
かも・・・という気持ちに(今は)なってきました。マルクス
と同じくらい(たぶん)あつく語ってくださったので、
労働時間短縮の大切さがよく分かりました。
不破さんがどんなことを考えながら資本論研究をして
いるなんて考えたことがなかったので、そこらへんの
お話がおもしろかったです。日本は労働者が人間になれ
ない国、という表現はどきっとしたけど、まさにそうだと
思います。心にとめて運動したいフレーズ」
「質問時間の時、資本論を学ぶ人が最近変わってきた、
必ず質問をするようになった、と言われていましたが、
それって、ただ突出した人しか学ばなくなっただけなの
ではないか、昔はたくさんの人が学んでいただけでは
ないか?と思ったのですが、どうなのでしょうか?
とてもパワフルな講義で、おもしろかったです」
「資本論を読みはじめて、やめてしまっています。それは
今日話があったように、最初から読み、すぐわからなく
なってしまったからです。今日のような話に出た読み方で
再度向きあってみようと思ったのが、今日の一番の
よかった事だと思います。今日は今後の参考におおいに
なりました。学習を強化する事、いつも大切に思っていま
すが、やるしかないのですね」
「久しぶりに自分が悩んでいる労働運動の解決方法に、
哲学や資本論に立ち返ることの大切さを感じた気が
します。時々、立ち止まることがあります。よく分かって
いるつもりでも、即答・即断できないために、運動を思う
方向にもっていけいない事が多くあります。認識力が
弱いのか? 悩みもありますが吉井さんの話を聞いて
いて、日頃の学習の身につけ方を工夫することが大切
だなと思いました。学習運動の弱さは労働運動をする
ものにとって、大きなテーマです。今後も追求していく
つもりです」
「およそ5年ぶりに労働学校、学習協の学習会に
参加しました。5年前とまったく変わらない雰囲気に
安心しました」
「『資本論』の学習は、社会・経済・政治・運動の
論理、分析力を得させてくれる。でも、それだけで
全てが解決できるわけではない。『資本論』を足が
かりとして、様々なことを学習し、新しいものをつか
みたい」
「資本論、とりあえずめくって1回見る。まずこれ
ですが、それすらもたいへんなことのようで。
資本論、ただ読めば良いというものではない。
そうですよねえ。そうすると一度読む(とばしながら
とはいえ)ことが大変と思い、大切なことでも、
自分から主体的に取り組むことがなかなか。
先日、コンビニで手に入れた『イラストと解説で
読む資本論』を読んでみます」
「吉井さんのおいたちを含めたお話、大変興味深く
拝聴しました。衛都連の話あたりは、もっと聞きた
かったです」
「『目からウロコが落ちる』とは、こういうことかという
内容でした。労働時間短縮の大切さ、労働時間を
短縮して、運動に参加しないと政治・社会は変えら
れないという、労働時間短縮の本当の意義という
ことがつかめたと思います。私は、ふだんは、何の
もやもやも感じていない人間だと思っていましたが、
労働時間短縮の話を聞いたらすっきりした感じ
がしました」
「吉井節を久しぶりにきき、頑張らなきゃな、と思った。
気づくと、長い時間がすぎているけど、時間を忘れて
しまうほど、おもしろかった。できれば明日の講義を
お聞きしたかった。労働者が人間になれない日本、
という指摘のなかで、自由時間獲得のために、時短
闘争をすることの大切さがよくわかった。自分の仕事を
振りかえって実感。かなしい現実だ」
17時半からは、吉井さんふくむ9名が参加しての懇親会。
2時間わいわいと話が盛り上がりました。
参加されたみなさん、おつかれさまでした☆
明日は労働時間の講義です!
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