きょう(25日)のお昼、倉敷医療生協労組の学習会へ。
会場は水島協同病院。
「ストライキという『たたかい方』」というテーマでした。
毎年、団体交渉の次の日にストライキを構えて
たたかっているわけですが、
新しい役員さんとかは、「ストライキってなんでするの?」という
疑問もあって、そもそものところを学ぼうということで、
今回の学習会になったそうです。
始まる前のようす。参加は30名ほどだったでしょうか。
まあ、ストライキって、やっぱりしなきゃだめですよ。
たとえ医療職場であってもね(じゅうぶんな配慮は必要だけど)。
労働組合がストライキをしなくなったら、
もうそれは労働組合の力の半分以上は失っているということです。
資本(ここでは理事会)にとっては、恐くもなんともない。
労働者が自分たちの力をほんとうの意味で
(体験をとおして)認識する機会もなくなるわけです。
ここは基本中の基本として押さえておきたい。
“なぜストライキをするのか? ・・・それが労働組合だから。”
ということです。
講義後半は、医療職場のストライキのことについて
具体的に経験などを紹介してみました。
以下、講義の概要です。
一。世界中で行なわれているストライキ
1。仕事を一時的に、“いっせいに放棄”する「たたかい方」
2。世界各地ではこんなストライキが(一部を紹介。2010年)
◇韓国
*双龍自動車
・・・整理解雇撤回を求め77日間にわたって工場を占拠(5月)
*韓国鉄道公社
・・・団体協約の一方的解除に反対し、8日間のストライキ(11月)
◇ニュージーランド
*ニュージーランド航空の運航を委託されているZeal320社の
240人の客室乗務員が賃上げを求めてストライキ(5月)
◇メキシコ
*フォルクスワーゲンのメキシコ工場
・・・3日間におよぶストで賃上げと一時金支給を勝ちとる(8月)
◇ブラジル
*石油労働者が5日間にわたるストライキで労働条件、諸手当
などで譲歩を引き出す(3月)
◇チリ
*鉱山労働者が42日間のストライキ。賃上げ求め。
◇コロンビア
*バナナ生産労働者1万7千人の99%が参加してストライキ。
賃上げ求め。(5月)
◇南アフリカ
*サッカーW杯のスタジアム建設に全国各地で従事する建設
作業員が賃上げを求めてストライキ(2009年7月)
◇イギリス
*郵便労働者が2日間の全国スト。合理化案に反対。
約78,000人が仕事を止めた。(10月)
*清掃職員の組合員が11週間のストライキをたたかい抜く。
労働条件引き下げに反対して。(9月~11月)
*鉄道労働者が7月~8月にかけて3波にわたる48時間スト。
賃上げ求め。
◇フランス
*エールフランス、国鉄、学校、郵便局といった公共部門だけでなく、
銀行や自動車関連産業といった民間部門の労働者など8労組が
ストに参加。政府への要求。
◇ドイツ
*地方公務員が賃上げを求めてストライキ。2月3日に25,000人参加。
2月28日にも40,000人が参加。教員、消防署員、大学病院の職員、
警官、裁判官なども1万人参加。
◇ベルギー
*刑務所職員が労働条件の改善を求めてストライキ(1月)
◇ギリシャ
*公共部門中心に24時間ゼネスト。教育、交通・運輸、医療、
民間からはジャーナリスト、銀行労働者などが参加。
賃金、労働条件の切り下げ・解雇に反対して。
3。日本はストライキが激減
◇1970年代の末には「ストライキのない国」と言われはじめた
*80年代、90年代、2000年代と、減少はさらにすすむ
二。確認しておきたいこと-ストライキは基本的人権
1。日本国憲法
◇基本的人権とは、人間らしく生き・働くための“欠かせないもの”
「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の
団体行動をする権利は、これを保障する」(憲法28条)
*団体行動=争議権(ストライキを中心とする実力的たたかいの権利)
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年に
わたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去
幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのでき
ない永久の権利として信託されたものである」(日本国憲法97条)
◇ストライキは、労働者の欠くことのできない権利
*「ストなんかしやがって」は人権思想の欠如
*使用者はストライキによって受けた損害については賠償請求できない
「使用者は、同盟罷業(=ストライキのこと<長久>)その他の争議
行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、
労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない」
(労働組合法第8条)
2。ストライキは目的でなく手段
―要求実現のための団体交渉をバックで支える
◇仕事を放棄することは、やはり大変なこと
◇ストライキをすることが目的ではなく、交渉力アップのための手段
*要求が団体交渉によって実現されれば、ストライキは回避できる
*「力」vs「力」
三。ストライキは、労働者の力を引き出し、育てる
1。なぜストライキをするのか。それが労働組合だから。
◇労働組合とは何か
*私たちが人間らしく働くために、絶対に必要な組織
*日本の労働者の働き方は、なぜこんなにも遅れてる?
・・・労働組合の力が弱いから
*資本家(経営者)のもつ力に対抗するには
・・・・・・労働者の「数の力」をひとつに。
*数の力とはなにか?
・経営者は労働者がいなければ、職場が成立たない。なぜなら、
現場で仕事をしている圧倒的多数は、労働者だから。
・その労働者が、要求を旗印にひとつになって経営者と対峙すれば、
大きな力に。
◇「数の力」を最大限生かす「たたかい方」
*経営者がもっとも嫌うこと・・・労働者が働かないこと
*職場の多数の労働者が仕事を放棄する・・・利益が生み出されない
2。職場や社会を動かしているのは私たちーストライキのもうひとつの意義
「ストライキが決行された空港の様子を見ながら私は、会社という
巨大な組織を動かしているのは、1人ひとりの従業員であることを
思い知ったのである。それはとても新鮮な感動だった」
(土井清『俺たちの翼-巨大企業と闘った労働者の勇気と団結』
文芸社、2003年)
◇労働者としての誇りと確信に
*資料―『学習の友』1992年12月号「東京女子医科大労組のストライキ」
四。医療労働者のストライキ
1。その出発点1960年の「病院スト」
◇1960年、初めての統一闘争「病院ストライキ」
*60年秋から61年春にかけて、歴史的なたたかい「病院スト」に
たちあがる。
*330病院、3万人をこえる医療労働者が参加する。
*あまりにも低い賃金と前近代的な労使関係に怒りを爆発させた
医療労働者が、「無賃(ナイチン)ガールはごめんだ」と、劣悪な
労働条件の改善、看護婦の結婚・通勤の自由、全寮制打破など
を要求して、十数波におよぶ全国的なストライキを実施。
*当時全日赤の看護師・川島みどりさんの回想
(『女の自立』勁草書房)
「全日赤傘下の私の病院でも、看護婦の労組加入はこの時期に
かなり増えて、再び従軍看護婦にはなりたくないといった形で
関心を高めました。一方、国立高田病院の看護婦の妊娠制限
や妊娠割当などに反対するたたかいも、私たちの人権意識を
よびさましたのです。
こうした前段のたたかいから、あの全国に燎原(りょうげん)の
火の如くひろがった医療統一闘争へとつながっていくわけですが、
私もやっと2歳になった長男をかかえて労組役員となり、教宣
部長として、機関紙“いずみ”を復刊し、連日カベ新聞を組合掲
示板に貼るなどの活動に取り組みました。看護婦の人権ストとも
よばれたストライキは、生まれてはじめての体験でしたが、地域
の労働組合からの支援の赤旗の林立する病院正面玄関の池の
周囲、そして伝統の苔むした白い建物の屋上に労組旗がはた
めいた光景は忘れることができません。白衣に赤い腕章を巻き、
スクラムを組んで、秋空にむかって歌った歌、“夜勤に疲れた重
い足に、みんなで云い聞かそう夜明けがくる、人なみのしあわせ
もとめて・・・”、みんなの頬(ほほ)から涙がつたわっていました。
“看護婦が職場を離れるなんて!”“患者さんはどうなるの?”
“私たちは看護婦よ、労働者じゃないのよ” 前日の夜を徹して
の討論、そして団交による無責任な病院側の態度に業をにやし
てとうとう立ち上がったのでした。
賃上げ闘争、週44時間労働の実施、増員、通勤の自由、時間
外手当の支給、全寮制の廃止などが主な要求項目でした。世論
もこの要求の正当性を支持して、病院の前近代的経営を批判、
看護婦の人権を認めよという論調が新聞各紙にとりあげられま
した」
*病院経営者や政府からの弾圧、首切り攻撃、組合分裂攻撃も
激しくなる
*しかし、めざめた人権意識
「いったい医療統一闘争は、私たちに何をもたらしたのでしょうか。
それは、看護婦が1人の人間として生きる権利を自覚し、それま
で無理だとわかっていても上の人に対しては何もいえなかったの
が、自分の意思をはっきりと述べることができるようになったこと、
そして、労働者の連帯や団結の大切さをひしひしと体験できたこ
とではなかったでしょうか。
(略)のどもとすぎれば・・・のことばがありますが、こうした歴史
的経過をみつめて、先輩たちの苦労によって獲得された諸権利
を無駄にしてほしくないと思います」 (川島みどり、前掲書)
◇もう1度確認・・・・・・ストライキで獲得される2つの側面
*数の力をバックに、相手に譲歩させ、労働者の要求をのませる。
*ストライキをつうじて、団結をつよめ、労働者としての
人権意識を高める。
2。ストライキをじっさいに配置するうえで配慮する点
◇ストライキの目的・要求項目を、“組合員全体のものにする”
*そのための職場集会・討論が大事
*ニュースやチラシなどの宣伝活動を徹底しておこなう
*連帯感をつくりだす雰囲気づくりも大切に
◇患者さんへの配慮、ストライキへの理解を十分に
さいごに
「私たちは、どんなことにしろ、そのものの意味を知ら
なければ、それを大切にしたり愛したりすることは出来
ない。現実を理解しなければ、それを愛し、そこに働きかけ
てゆく人間の歴代の努力のうけつぎ手として今日生きて
いるよろこびや感動を味わうことも出来ない」
(宮本百合子「若い娘の倫理」)
平日の夜だったら来週前半なら可能です!
またご連絡くださいっ。
投稿情報: 長久 | 2011年3 月 1日 (火) 08:53
いや〜、うちでもお願いしたい内容です。3月16日(水)までのご都合はどんなでしょう?
投稿情報: 書記長 | 2011年2 月28日 (月) 22:23