きのう(24日)は、ふつうに仕事をしたあと、
15時半頃、早島から高速道路にのって四国・高知へ。
瀬戸大橋を車で走る。ぶんぶーん。気持ちい~い。
途中のサービスエリアで「黄金(こがね)餅」なるものを食べる。
200円。
まあ、そんなに「おいしい☆」って感じではありませんでした。
約2時間かかって、高知県土佐町に到着。
四国のどまんなか、嶺北(れいほく)といわれている地域です。
はい、これはダムです。土佐町には、四国の水がめと言われる、
早明浦ダムがあります。若干時間があったので、寄ってみました。
こんどは上から眺めてみる。
「早明浦ダムの現在の貯水率は・・・」というニュースで
ダムの映像は、もう定番になっていますが、はじめて生で見ました。
ネットで調べてみたら、いまの貯水率は63%ほどでした。
さて、ちょっとだけの寄り道をすませ、本日の会場へ。
ダムから車で5分ほどです。
土佐町保健福祉センターというところでした。
役場のすぐとなりにあります。
はじまる前のようす。
第40回嶺北労働者農民大学という、すごい名前の学習会です。
連続5回の学習会で、私は第4回目を担当しました。
年に1回、この大学は開催されているそうです。
40年続いているのです!
会場はあじさいホールというところ。
あじさいが、土佐町の町花だそうです。
主体は、土佐町職員労働組合と、
おとなりの本山町職員労働組合のみなさん。
自治労連の仲間のみなさんであります。
40回目ということで、記念に、地元の杉をつかった
コースターがつくられたそうです。私ももらっちゃいました。
ありがとうございます☆
18時30分から、20時まで、
途中1回休憩をはさんで、1時間半、
「変革の哲学-いまの時代に『哲学』をみがく意味」
ということで話をしました。
参加は20名ほどでした。女性が7割ほどでした。
私の講義意外では、雇用問題、労働組合論、
春闘情勢、農業問題、ということですから、
かなり「哲学」は異色ですが、
ちゃんと毎年「哲学」はカリキュラムに入っているそうです。
なにを話そうかな~と思ったんですが、
まあ、あまりカタイ話にはせず、
哲学って、活動を支える力を持ってるんですよ~的な
話をしてみました。かなり自己流です(汗)。
以下、講義の概要です。
一。変革の時代を生きている
1。チュニジアからエジプト、そして世界へ
◇若者たちは、あきらめられない
*変革の中心には、若者が。自分の未来、私たちの未来。
◇集まる、集める
*人が集まった。議論が生まれた。声が集まった。団結が強まった。
*思いが集まった。未来をつくる力が生まれた。
・集まることの意味・・・(資料参照)
◇伝える、伝わる
*自分の考え、思いを伝える(表現する)。また他人の考え、思いを
知る(伝えられる)。表現することによって、人は成長するし、関係を
豊かにしていく。
*伝える手段はいろいろ。言葉で話す。手紙を書く。メールも。
ニュースやチラシで伝える。ホームページ、ブログ、ツイッター。
写真、動画、音楽・・・。
*伝わったとき、伝えあったとき、ひとつになれる(生まれる団結)。
2。日本の変革を阻む要因のいくつか(もっと複雑で多様ですが)
◇構造が見えにくい
*貧富の格差というが、「富」のほうは、まだ隠されている
*内部留保、大企業優遇税制、株主配当(+証券優遇税制)・・・
*アメリカへの異常な追従
・・・「抑止力」「安全保障」「経済的従属」「沖縄」
◇もちこまれる分断、自己責任論
*対立をあおる(ほんらいは手をとりあう仲間どうしのなかに)
*自己責任論が容易に浸透する状況
・・・憲法が体にしみこんでいない弱点
◇私たちの力不足・・・とくに「伝える力」
*サイエンスとアート(納得と共感)・・・ビラは読みやすいか、
やさしい言葉で語っているか、どんな顔でチラシを配っているか、
デモは楽しいか、話し方、見た目
*伝える力を豊かにする「学び」の位置づけの問題
◇いま問われる、大事な「思想」
*困っている人を見過ごす社会でいいのか
*人間はモノじゃない。助けあうことができる。
*子どもや若い人たちに、こんな社会を手渡していいのか
・・・大人世代の責任
*強力に作用している「あきらめ感」「どうせやっても変わらない感」
そこを突破する3つの力は、
「歴史に学ぶ」と「人権思想」と「仲間集団」
二。変革の哲学・弁証法ーその世界観
1。ものごとを運動・変化・発展のなかでとらえる
◇対象の「あり方」をどうとらえるかで、関わり・実践が変わってくる
*自分、他人、職場、運動組織、地域、社会、政治…
◇「どうせ」という時、私たちはどんなものの見方になっているか
*現状の枠のなかでしか、ものごとを見れないとき
◇対象となる現実は、つねに新しい要素をくわえながら、変化している
*あるものが「ある(いる)」ということは、そのものがそのもので
ありながら、同時に「変化している過程」である、ということ。
*小さな変化を見過ごさない、大事にする。
2。対象を「つながり(連関)」のなかで把握する
◇どんなものも、「つながり(連関)」のなかで存在する
*あるものが「ある(いる)」ということは、その存在の質を規定したり、
その存在を支えたり、影響を与えている「他のもの」があるということ。
*職場や政治や社会、あるいは組織や運動を考える場合にも
「縦軸」「横軸」など、「連関」をつうじて「現局面」をつかむことが大事。
3。変化の法則性をつかむ
◇矛盾が発展の原動力
*ものごとの中には、つねにその内部に相反する要素や傾向が
ある。そのぶつかりあいこそが変化・発展の原動力となる。
◇量的変化と質的変化
*量と質は必ず結びついて存在する。量的変化なしに、質的変化は
起きない。
◇肯定をふくんだ否定
*「○か×か」「黒か白か」ではなく。「中途半端さ」を受容する力。
三。自分(組織)の可能性について-弁証法的に
1。自分のなかに「大きな矛盾」をつくる
◇「こうありたい自分」と「いまの自分」とのぶつかりあい
*2つの方法がある(相互に関連している)
①「めあて」になる人をつくる
②「自分づくり」の「できるだけ高い目標」と「そのための計画」をつくる
*自分を高めるための「無理」をすることは、現状の肯定的否定の
「エネルギー」
*原動力は、「こんな自分が」の喜びとともに、他者の力になれる
「役にたつ自分」
「ストレスこそ、子供を青年にし、青年を大人に成長させる糧で
あるはずである。ストレスを1つ1つ乗り越えることが、『人間』の
発達なのである。ストレスは元来、避けるべき対象ではなく、
乗り越えるべき対象なのである。一切のストレスを回避すれば、
それは楽であろうが、その人は成長もまたあきらめることになる
のである。ストレスは別の方向からみれば『他人からの期待』で
あり、『他からの評価を落としたくない矜持(きょうじ)』であり『自
分の生き方をつらぬきたい意志』であるから、当然、痛み、苦し
みを伴うのである」
(中沢正夫『ストレス「善玉」論』岩波現代文庫)
◇創造的自分づくり-「受けつぎつつ、捨て去る」の連続
*まず、過去の遺産や成果、教訓を貪欲に学び、つかみとる。そし
て、受けついだもののなかから、否定すべきところは捨て去る。
*歴史のドラマ、人間のドラマを知る。伝える。受けつぐべき「生き
方」「思想」。
2。どんどん失敗する-成長の弁証法
◇絶対に失敗しない方法-何もしないこと
◇「実践」「行動」「挑戦」するから「失敗」する
ー失敗は人間につきもの、本質。
*失敗する、誤るから成長できる。失敗から学ぶことこそ、科学的態度。
*「行為の動機」に対してこそ自信を。
「いったい自信というものは、そのように好結果の見とおしに
対してだけいわれるはずのものだろうか。成功し得る自信と
いうしか、人間の自信ははたしてあり得ないものだろうか。
私はむしろ、行為の動機に対してこそ自信のある、なしはい
えるのだと思う。あることに動こうとする自分の本心が、人間
としてやむにやまれない力におされてのことだという自信が
あってこそ、結果の成功、不成功にかかわりなく、精一杯の
ところでやって見る勇気を持ち得るのだと思う。その上で成
功すれば過程への自信を、失敗すれば再び失敗はしないと
いう自信を身につけつつ、人間としての豊かさを増してゆけ
るのだと思う」 (宮本百合子「自信のあるなし」)
3。コツコツなければ飛躍なし-成長はつねにジグザグと進む
◇成長への量的努力(積み重ね・積み上げ)-コツコツのなかにも喜びを
*継続こそ力。ねばり強さ。目的意識性。
「一発当てて成功する、という生き方がもてはやされるが、成功
者はごく一部。コツコツ積み上げたことは大成功しない場合でも
着実に残る。地道な努力を馬鹿にしたらだめだ」
(2002年ノーベル化学賞受賞者・田中耕一さん、
「朝日新聞」2004.8.14付)
◇時間を認識できる人間の特質を生かして
*1年後、3年後、5年後の自分をイメージして、「今」なにをするか。
4。「自分をゆたかにする他者」にかこまれる
◇自分ひとりだけでは、自分をつくれないー他者を通して自分をつくる
*個性が問題になるのは、集団のなかで。仲間集団。めあてに
なる人。あこがれ。
◇自分の現状を否定してくれる人の存在は貴重-弁証法的「ダメだし」
◇すばらしい「他者」との無限の出会い-読書の効用
5。自分の可能性に枠をはめない-変化の過程としての「現瞬間の自分」
◇「今の自分」の枠の中で、「これからの自分」を固定的に考えるのではなく
◇可能性は無限。だから人間はおもしろい。歴史はおもしろい。
さいごに:いまの時代に「哲学」を学ぶ意味
つねに自分(たち)のものの見方をメンテナンスする。
現状に流されてないか。ものわかりがよくなってないか。
小さな変化を大事にしてるか。「哲学」は日々の実践を支える力に
以上。
講義終了後、質問は出ず、
感想を1人の方が語っていただきました。
あとで高知自治労連のT井委員長とわかりました…。
20時10分に土佐町をあとにし、
ノンストップで岡山に。
自宅には22時のちょい前に帰宅。
うーん、1日300キロ走ると、さすがにしんどい~。
帰宅後のビールが美味しかったです(笑)
土佐町、本山町の職員のみなさま、ありがとうございました。
書記長さんいつもお世話になっています。
県外でのお仕事がたまたま重なっているようです。
来週も徳島に・・・。でも、素直に嬉しいです。
学習運動の風をいろいろなところで吹かせたいです。
投稿情報: 長久 | 2011年2 月26日 (土) 07:21
長久事務局長も県をまたいで活躍する機会が増えて、いよいよ全国区ですね〜。
投稿情報: 書記長 | 2011年2 月25日 (金) 22:53
井上さん、講師あっせんありがとうございました☆
反応は・・・よくわかりませでしたが、
また感想文を送ってくれるそうです。
T井さんは副会長でしたか! 知らずに失礼しました。
さきほど高知のブログを見ましたら、
季論読んでいただいたみたいで、
こちらもありがとございます!
投稿情報: 長久 | 2011年2 月25日 (金) 16:19
わざわざ遠くまでご苦労様です。
記念すべき40回ということもあり、是非とも長久さんにおいでいただきたいとお願いしたしだいです。
T井委員長は、学習協の副会長ですので、後日感想などうかがってみます。
投稿情報: 井上 | 2011年2 月25日 (金) 13:09