ソワニエ読書日記7冊目。
『認知症と長寿社会―笑顔のままで』
(信濃毎日新聞取材班、講談社現代新書、2010年)
【読んでのつぶやきメモ】
第1部「無数の点滅―介護する家族たち」
第2部「居場所を探してー家で、施設で」
第3部「ベッドは重くー精神科の病棟から」
第4部「白衣の苦闘ー研究と臨床の現場から」
第5部「包み込むまちへー高齢化する地域」
第6部「挑戦の現場からー『認知症と向き合う社会』への道」
第7部「『老い』から逃げないー笑顔のままで」
*認知症の患者数は200万人をこえ、増え続けている。
根治薬はまだない。
*リアルな「厳しい現実」を知ることができます。
本当にたいへんです。
*介護家族の重すぎる負担。入所できる施設の少なさ。
足りないマンパワー。
*いまだに根強い偏見。地域のあり方。介護保険のもろさ。
*世間からはじかれた悔しさ。自尊心を奪われる。家族も
その現実を受け入れられない。
*「怒ってはだめ」ではなく、大事なのは共感。
*病への研究者たちの挑戦。地域住民の理解と育ち。
*「つかみ合いになった。連れ添って50年。81歳の夫が、74歳の
妻に初めて手を上げた。妻もたたき返していた。二人は言葉を
失った」(13P) 「私をばかにして」(14P)
*「家の人がきちんと見ていてくれ。いい迷惑だ」
「ちゃんと働け」(33P)
*「世の中を変えたい-。取材に応じてくれた方々の思いは、
それに尽きるのではないか。(略)取材では、認知症の人た
ちが置かれている状況と政策の遅れに驚かされた」
(エピローグ)
*「『周囲が受け入れると、認知症は笑顔が戻る』と言われて
いる。これが取材の原点だった。取材を重ねるうちに、老いに
笑顔だけを求めることへの違和感も強くした。暴言も、いらだ
ちも、それぞれの老い。いいお年寄りも、悪いお年寄りもない。
今の姿を認め合う社会にならないか。
『老い方』を考えてみたい。敗戦からはい上がり、高度経済
成長を実現してきた日本人の多くは、高い生産性を求められ
てきた。それを支えてきた価値観が『社会の役に立つ』という
生き方だった。他人を頼らない。死ぬ時は迷惑をかけず、苦し
まず・・・。長寿社会の底流をなす『ピンピンコロリ』の希求も、
その延長線上にある。
だが、老いてもなお自立なのか。急増する認知症が問いか
けるのは、長寿社会をつくり上げてきた価値観の転換ではな
いのか。『誰かの世話になって生きていく』。この当たり前の覚
悟を受け入れたとき、長き老いを支え合う仕組みや社会的資
源がもっと必要だ、ということにも気づく。
契約を軸とする現在の介護保険制度で、これからの超高齢
化社会は乗り切れない。だが、私たちはまだ、家族や友人、
地域の人たち、施設といった周囲の力を借りて生きることの価
値を、その術(すべ)を、学んでいない。老いを否定しない世の
中へ、かじを切ろうー。これを連載最後の訴えとしたい」
(エピローグ)
*取材班としての、「認知症対応社会に向けた8つの提言」(おわりに)
①隠さずに済む社会へ踏み出そう
②断る施設をゼロに
③要介護認定を大幅に見直せ
④情報提供や支援の地域拠点を
⑤介護職に教育と支援を
⑥かかりつけ医にもっと対応力を
⑦社会とつながり続ける環境を整えよう
⑧介護の公費負担引き上げ議論を。
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