最近読み終えた本。
『主夫と生活』(マイク・マグレディ、伊丹十三訳、女性文庫、1995年)
子ども2人と妻の4人家族。一家を支えて
きたアメリカの有名新聞のコラムニストが、
ある日、妻と役割分担をチェンジする。
そう、主夫になったのだ。1年後、
主夫生活に終わりをつげ、共働きという
新たな生き方を選択するまでの生活を
ユーモアたっぷりに描く。実話です。
家事労働の格闘ぶり。
生活費を主人(妻)からもらう瞬間の気持ちの揺れ。
食事をつくって、主人(妻)の帰りを待つときの感情。
養ってもらうという立場性の考察。
主夫としての「時間」への見方、使い方。
働いていた時とはまったく違う、金銭感覚の変化。
家事労働から解放される日の喜びの実感。
たいへん気づかされるところが多い、
なるほどなあと、いうエピソードが満載でした。
「なんでもいいから、外に出たい!」
という気持ちの発露が、とてもよく伝わってきたり、
最終的に仕事へ復帰する決意をするときの
家族との約束事など、興味深く、面白い内容でした。
ずっとバリバリと働いていた人だからこそ気づく
視点がたくさんあって、刺激的。
伊丹十三の軽妙な訳文も、読みやすさをアップさせています。
『震災トラウマと復興ストレス』(宮地尚子、岩波ブックレット815、2011年)
良書。ぜひ多くの人に読んでほしい。
1章 震災とトラウマ-<環境島>を描く
2章 被災者の位置-<内斜面>
3章 支援者の位置-<外斜面>
4章 被災地から遠い人たちの位置
5章 復興とストレス
ナイチンゲールは、看護覚え書の「はじめに」で、
「日々の健康上の知識や看護の知識は、つまり病気に
かからないような、あるいは病気から回復できるような
状態にからだを整えるための知識は、もっと重視されて
よい。こうした知識は誰もが身につけておくべきもので
あって、それは専門家のみが身につけうる医学知識とは
はっきり区別されるものである」
と述べていますが、ぼくはこの整理方法は
すごく大事だと思っています。
世の中では、たとえばダイエットの知識とか、
アンチエイジングのための知識とか、脳科学とか、そういうものは
流行っていて、知っている人も多いのですが、
こと「トラウマ」「心の痛み」「ストレス」となると、
根拠なき精神論がまだまだ幅をきかせていて、
じくじたる思いをよくします。
本書の、震災と復興をめぐる、トラウマやストレスに
関する知識も、ナイチンゲールが言うところの、
「誰もが身につけておくべきもの」だと思うのです。
500円ですので、ぜひ、お読みください。
『福島 原発と人びと』(広河隆一、岩波新書、2011年)
一気に読みました。
チェルノブイリ事故やその後の支援活動に
ずっとたずさわってきた広河さんだからこそ
書ける中身がたくさん。
しかし、読めば読むほど、政府や東電、
「安全」をふりまいた御用学者への
怒りが、ふつふつとわいてきます。
第1章 地震、そして事故発生
第2章 原発作業員は何を見たか
第3章 非難した人びと
第4章 事故の隠蔽とメディア
第5章 広がる放射能被害
第6章 子どもと学校
第7章 チェルノブイリから何を学ぶか
第8章 これからのこと
広河隆一さん責任編集の『DAYS JAPAN』も、
3・11以前から、原発問題はずっと報道・告発が
されていましたが、3・11以後の内容も、すごい。
820円です。こちらも定期購読をオススメします。
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