きのう(8日)は、82期岡山労働学校の第9講義があり、
17名が参加しました。
きのうも、盛り上がりましたね~。
講師は、岡山市男女共同参画社会推進センター企画調整監の
真邉和美さん。通称「さんかく岡山」でお仕事をされている方です。
テーマは、「ジェンダー・バッシングに負けない」。
ジェンダーの言葉のそもそもを、きちんとご説明されて、
これもすごく分かりやすかったです。
そして、ジェンダーバッシングの具体的なお話まで。
岡山市は、女性議員のみなさんが超党派でさまざまな
課題に取り組んでいることもあり、
ジェンダーバッシングの影響は、他の地域よりも少ないという
ことも言われましたが、やはり、これもたたかいによって、
押し込まれることもあれば、押し込むこともあるのだと。
講義のようす。
以下、講義の概要です。
その1―言葉の理解―
・gender、 gender equality、
→ グローバル・スタンダード。国際用語として使用
*あえて訳すなら“男女平等”か
・男女が平等、両性の平等 → 日本国憲法で明記
・男女共同参画 → 法律、行政用語として使用している。
“Gender equal” が“男女平等”でなく“男女共同参画”という
新しい造語になったわけ=男女平等に関する基本法を制定さ
れるにあたり、男が女を支配する権力構造の維持の崩壊に繋
がるとして、男女の権力構造の崩壊を嫌う政治家の意図・指
向が働いた。(参考:市民という言葉を拒否。市民活動促進法
→特定非営利活動促進法)
・故に、男女共同参画社会基本法 → 国際語にする際は、
“the basic low of gender equal society”とgender equalを
使わざるを得ない。男女共同参画=Gender equalityと訳す。
・「ジェンダー」の水準(*sexとは異なる)
①単なる性別としてのジェンダー
②社会的性別、性質としてのジェンダー
③規範および参照枠組みとしてのジェンダー
④性に関わる差別/被差別、支配/ひ支配を解消することを
目指す概念としてのジェンダー
・バックラッシュ(バッシング)
男女平等、男女共同参画、フェミニズムが進むことに対する
組織的な攻撃(反撃、巻き返し、反動、抵抗)のこと
・フェミニズム → 女性による女性の解放のための運動・理論・思想
・ジェンダーフリー教育?
→ *日本での造語、教育者が使っているが誤解されやすい。
*あえていえば、freedom from gender biasか。
・ジェンダー・バイアス
→ ジェンダーの視点でみた時の「偏り、偏見、非対称性」
(*参照:別紙「職場におけるジェンダー・バイアス」)
・ジェンダー・センシティブ
→ 日常生活ので「自然」に見える事柄の中に「つくられたジェン
ダー」「差別浴・抑圧としてのジェンダー」を見出し、ジェンダー・
バイアスを持たずに接する態度
(*ジェンダー・センシティブ・トレーニングもある)
参照:「Q&A 男女共同参画/ジェンダーフリー・バッシング バックラッ
シュへの徹底反論(日本女性学会ジェンダー研究会編 明石書店)」
「バックラッシュ!双風会」、
「不惑のフェミニズム 上野千鶴子 岩波現代文庫」
その2-バックラッシュを乗り越える
1 なぜ近年になって、男女共同参画・ジェンダーフリー・フェミニズムに
対してバックラッシュが広がっているのでしょうか。背景を見る
①明治初期 国粋主義
→ 例:女性の西洋カブレ、自己決定思想への伝染防止
②戦前 与謝野晶子、平塚らいてふ等文学のみ 運動・法律への
波及無しで横ばい
③戦後 市川房枝女性の選挙権獲得 憲法理念(占領軍による統治)
④1975年代 国連女性差別撤廃条約
→ 「ウーマン・リブ運動」へ。男性の一点集中結束による攻撃。
運動であったため解体へ。
⑤women study(女性学)日本上陸
→ 運動・実践からでた当事者理論による理論武装。理論反撃と
支配構造への批判から男性の同調(男性学)も表れる。
⑥1980年代 差別撤廃条約批准、国連第4回世界女性会議(北京会議)
→ 6千人の女性が参加。外圧あり。
⑦1999年 男女共同参画社会基本法制定
→ 法的基盤(権力構造の支配側にいる政治家:男女平等×男女共同
参画で妥協○)、 基本計画策定、施策の推進 → これは大変、家族・
家父長制・男女の権力支配の崩壊危機 → 一部の擁護学者から同じ
思想を持つ政治家へ波及。ジェンダー用語への警戒と禁止、
⑧小泉政権時代~ → ネオ・リベラリズム台頭(個人の責任へ)。石原都
政や七生擁護学校性教育事件・東京都男女共同参画センター解体・君が
代やNPO法・安部政権による慰安婦に関するNHK番組の放映禁止指示
等々への波及。ネオ・リベラリズムに、支配権力に反発をもっていた若者
たちや市民等が「改革」のことばで傾倒。メディアも傾倒。非正規雇用等
促進により女性の貧困化の加速へ
⑨現在 → 指導要領:伝統文化強調 夫婦別姓、
個人単位税制(専業主婦優遇)問題
女性の貧困化、少子化対策、等々が山積みされており、
政治家との戦いとなる。
2 ワークショップ ―ジェンダー・バッシングに応える理論武装―
・伝統は維持すべきです?
・ジェンダーは、男女の違いを考えない危険思想です?
・脳科学では、生まれつき脳には性差があるといわれています。考え方や
行動、役割に違いがあるのは自然です。
・女性は子どもを産めない身体だと無駄で価値がない。女性は子どもを
産むべきです?
・性に関することはいつの間にか覚えることです。性教育をすすめる必要は
ないです?
・専業主婦優遇税制は必要です?
・非正規雇用制度は必要です。なくなれば会社も沈没します。人もやとえ
ません?
・男が女を守るのは当然です。
以上。
面白かったのは、新聞を使ったジェンダーチェックでした。
3つのグループに分かれて、新聞に載っている、
「男性の写真」「女性の写真」を切り抜いて、模造紙に貼っていくので。
社会の縮図といわれる新聞で、
男性と女性がどのような比率や役割で登場しているのかを探るのです。
切り貼り作業。このグループは日経新聞。
作業中に、早くも気づきが生まれてきます。
こちはら産経新聞。
ここは朝日新聞。
この新聞ジェンダーチェック、なるほどと思われるところが
たくさんありました。
政治・経済欄は、圧倒的に男性写真が多い。
女性の写真は広告などが多く、
固有名詞で認識されない写真が多い(モデルさんなど)。
などなど。
満利子先生のブログでも、
その気づきが紹介されていますので、参考に(こちら)。
グループごとに、気づいたことを発表しました。
毎日、毎日、こうやって、
ジェンダーを刷り込まれていっているんですねえ。
テレビ、新聞などは、特にジェンダーに満ち満ちてますよ。
作っている主力が男ですからね。
こうしたことも、ふだんはなかなか気づかないもの。
いろいろな発見があった講義になったと思います。
以下、参加者の感想です。
「新聞でもジェンダーがいっぱいでビックリ! いろいろな
ところがジェンダーに関係しているので、生活のなかで
ジェンダー探ししても楽しいかも…」
「新聞の切り抜きワークショップは楽しかったです。如実に
あらわれておもしろい。ウーマンリブの影響が自分の中に
もあるなあ。おんながおんなのままで、おとこと平等と
いうのが、すごくなじみます」
「日本ではバックフラッシュがあることを、はじめて知った。
女性差別などとは、もう無縁とまでとは言えないが、無い
時代ではないかと思っていた。政治の世界でも、組織的な
攻撃があることを知り、ジェンダーの問題は根深いところに
あることを感じた」
「新聞ワークショップおもしろかった。第1~3波がある、
ということが歴史的に発展していったことが良くわかった」
「新聞の切り抜きは、おもしろかったです。知らない間に、
このようにしてすりこまれていっているんだなあと実感
しました。しっかり意識するということも必要だと、よく
わかりました。私も相当やばいです」
「『新聞はそんなに男女差別とか目に見える形ではない
のでは?』と思っていたら、比べてみるとはっきりわかって、
特に女性のモデル広告に顕著でした」
「フェミニズムの歴史、おもしろかったです。つくられたもの、
なら、変えることができるという展望があるんだなと」
「女性解放運動にも段階があったという話よかったです。
過激な運動で敬遠された失敗があったとしても、それも
次の学問を基礎とした運動への発展につながる1つ
だったのかなと思います」
以上。
なごみには10名が参加。「今年のビッグニュース」が話題。
みんな、いろいろあったんあですなあ。あたり前ですけど。
さて、来週でいよいよ82期労働学校のラストです。
第10講義(15日)と修了式&修了コンパ!(17日)
みなさん、ぜひご参加ください☆
コメント
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