『マルクス、エンゲルス書簡選集(上)』
(不破哲三編集・文献解説、新日本出版社、2012年)
膨大な書簡群のなかから、「これは」
というものを選んで、ていねいな解説と
細かい注がついて。
まったく、スゴすぎる仕事ですわ。
ついていけてないけど。
『マルクス、エンゲルス書簡選集(中)』
(不破哲三編集・文献解説、新日本出版社、2012年)
「読んだ」というよりは、「眺めた」という
ほうが正確かもしれないけど。
「素材のなかをのびのびと動くこと」と
いうのが「すなわち弁証法的な方法」
というマルクスの表現は、いいねえ。
『危機のなかの教育-新自由主義をこえる』
(佐貫浩、新日本出版社、2012年)
教育現場の危機の深刻さは、
まったく想像をこえている。
「子どもの声を聞き取る専門性」
「希望を拓く専門性」を教育現場と地域の
なかで実践できる教師を増やしていく
課題は、イバラの道である。
余談だけれども、
私、キホン運動家なんですが、教育者のはしくれでも
あると思っているわけです。
「労働者教育」っていうぐらいですから。
なので、必然的に教育や保育の分野の本というのは、
手が伸びやすいというか、問題関心が高い。
そのなかでも、この佐貫浩さんの本や論文は、
新しいものがでると、たいてい読むようにしています。
ほんとうに学ぶことが多いので。
佐貫さんの教育論は、私の学習運動論に、
かなり反映されていますよ。
本書も、教えられることが多く、一気に読みました。
『新装版 宮澤賢治をめぐる冒険-水や光や風のエコロジー』
(高木仁三郎、七つ森書館、2011年)
第1話「賢治をめぐる水の世界」
第2話「科学者としての賢治」
第3話「『雨ニモマケズ』と私」。
原発事故を受けて新装版として
再刊された理由がよくわかる。
先見性に満ちている傑作。
とくに第2話は、社会科学を普及する仕事を
している私にとって、とても示唆に富む内容でした。
賢治の、
「われわれはどんな方法でわれわれに必要な科学を
われわれのものにできるか」
という言葉は、すごく根源的な課題であると思ったし、
高木さんが、
「普通に生きる人がその生きるという立場から、
生きる営みの一つとして行う科学、多少、今日的な、
堅苦しい言い方をすれば、民衆営為としての科学、
民衆の営みとしての科学、こういうものを追求して
いたのではないか」
と科学者としての賢治を表現したところなども、
大衆的な学習教育運動の普遍的な問題意識だと思いました。
第1話の「賢治と水」の話も
すばらしかったし、ほんと、これはいい本です。
『災害派遣と「軍隊」の狭間で-戦う自衛隊の人づくり』
(布施祐仁、かもがわ出版、2012年)
表題どおり、国民の期待する災害派遣と
国家の期待する「戦う軍隊」からくるゆがみ。
自衛隊の「いま」がよくわかる。
取材力も秀逸。
自衛隊員・関係者の生の声も多く、
価値のある1冊。
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