いい響きのことばだ。
憲法13条にも「個人の尊重」がうたわれている。
これも、ひとりひとりをたっとぶ国になるように努力しますよ、
という人権宣言だと思う(現実はそうなっていないが…)。
国どうしの関係も同じじゃないかな。
紹介した徳永進さん(医師)の最後の指摘でいうならば、
「国(民族・宗教、あるいは地域)って多様だな、面白いな」と
思うことが、それぞれの国をたっとぶ近道なんだと思う。
「面白い」ことと「たっとぶ」ことって、つながってる。
「いのちをたっとぶ、いのちに敬意を払う。これは
倫理の根幹だろう。社会的に地位のある人のいの
ちをたっとぶというのではない。地位があってもなく
てもたっとぶ、というたっとぶの非差別性を心に留
めたいと思う。男性をたっとぶとか女性に限ってたっ
とぶとかではなく、いのちそのものをたっとぶ。老人
だからたっとび、子供だからたっとぶのではなく、そ
れを超えて、だから女性も老人も子供もたっとぶ。
エイズに感染されていようとそうでなかろうとたっ
とぶし、アルツハイマー病にかかっておられようとお
られまいとたっとぶし、進行形筋萎縮性側索硬化症
であってもなくてもたっとぶ。ただ、倫理的に<たっ
とばねばならない>とすると、たっとぶ力はかなり
低下する。自然にたっとべればそれが一番いいと思
うが、<人間って多様だな、面白いな>というような
感じ方があると、それはたっとぶの近道だと思う。た
っとぶって、面白いということと無関係ではない」
(徳永進『こんなときどうする?』岩波書店、2010年)
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