最近読み終えた本。
「社会進歩と女性講座」の最後の準備。
が、結局あまり読めず。えらく中途半端になってしまった。
ここにも低調ぶりがあらわれている。
『明治のお嬢様』(黒岩比佐子、角川選書、2008年)
題名にひかれて買ってしまった本。
なかなかおもしろかったけど。
明治初期の上流階級(とくに華族)のお嬢様の
教育や結婚のあり方、暮らしぶり、意識状況まで、
「へー」「ほー」と読み進める。
まったく今から見れば窮屈そうな人生である。
もちろん階層が上になるほど、女性は結婚相手を
自分で選べない。結婚するのは「家」と「家」である。
そして、結婚相手によって、女性の一生は大きく左右される。
いまでいう「自己実現」という言葉は、
明治のお嬢様の辞書にはなかった。
そして、妾(めかけ)や公娼制、明治民法などの問題は、
今日の日本社会のジェンダー状況の大きな源流のひとつだと思う。
『明治の結婚 明治の離婚-家庭内ジェンダーの原点』
(湯沢雍彦、角川選書、2005年)
こちらも明治期の学習。
著者は、「明治の夫婦、明治の結婚と離婚を、簡単に
くくって語ることはとても出来ることではない」(はしがき)とし、
前期、中期、後期と3つに分類し、それぞれに分析のメスを入れる。
いろいろ勉強になったけど、全体の印象では、
やはりこの明治から昭和の前半までというのは、
女性が「女性だから」という強烈なしばり、
枠に、はめられていた時代と言える。
明治民法の成立によって、離婚が急激に
減少した(離婚しずらくなった)ということは、知らなかった。
『女たちの静かな革命-「個」の時代が始まる』
(日本経済新聞社編、日本経済新聞社、1998年)
明治から、いっきに現代へ(笑)。
女性の社会進出や生き方をテーマに
日経新聞に連載されたもの。
日経らしい視点で幅広い問題をとりあげていく。
これも興味深く読む。
世の中には、ほんとうにいろいろな女性がいる。
あたりまえである。そして、
女性たちが求める多様な生き方と、それを阻む壁。
それでも、「女たちの静かな革命」はこれからも着実に
続いていくし、21世紀はまちがいなく、
女性の時代である(個人的見解)。
あと、これは枝葉だけれど、おもしろかったのは、
「ウルトラマン」シリーズにみる女性隊員の役割の変化。
時代を反映しているのだ。
初代の「ウルトラマン」が誕生したのは1966年だそうだ。
初代隊員メンバーのひとり、フジ・アキコ隊員(桜井浩子)、
それに続く「ウルトラマンセブン」の友里アンヌ隊員(ひし美ゆり子)は
それぞれ、「科学特捜班」と「ウルトラ警備隊」の紅一点だったらしい。
アキコ隊員は、男性と同じオレンジ色のユニホームを着て
戦場現場に出動することはあるものの、主な仕事は通信・連絡係。
アンヌ隊員も白い半そでの救護服を着ていることが多く、
ともに前線で戦う男性隊員を助ける「女らしい」補助的な仕事だった。
それから時が経つこと30年。
1997年にテレビ放映された「ウルトラマンティガ」では
女性の役割が決定的に変化したそうだ。
ウルトラマンの科学特捜隊にあたる特別捜査チーム「GUTS」を
ひきいるイルマ・メグミ(高樹澪)は、なんとシリーズ初の女性隊長。
怪獣が現われると作戦司令室で冷静に素早く作戦を練り、
厳しい口調で男性隊員に指示を出すという設定だったとか(年齢は36歳)。
こんなところにも、社会が反映しているのかと、興味深かった。
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とうとう明日が最後の講義だけれど、
今回の短期講座をやろうと思った動機のひとつは、
学習運動への女性の参加を戦略的に位置づけなければ
運動は発展しない、という問題意識だった。
そうした意味で、今回の講座を準備する過程で
学んだ多くのことは、これからの活動の方向性を
探るのに、間違いなく役立つと思う。
また、今回痛感したのは、やはり女性自身が
もっともっと力をつけなければならない、ということである。
伝統的な男女の性別役割にしばりつけられているのは、
男性だけではなく、女性もそうだと思うからである。
もっともっと「自分は何をしたいか」「どう生きたいか」
ということを考え、自分の殻をどんどん破って、
自分の人生を自分の足で歩んでいける女性が増えることを
願っているし、それを支えるルールある経済社会を
共同してつくっていきたい。そう感じた学習であった。
明日の最後の講義もがんばろう!
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