きのう(17日)は、福祉保育労岡山支部の
執行委員会。場所は、岡山市のK保育園。
参加は9名でした。
昨年から加入した
とある保育園の保育士さんも
すっかり定着している様子です。
きのうのテーマは、
「『組合用語』から考える労働組合運動」
ということで、40分ほどお話をさせていただきました。
「字の成り立ち」までふくめ、考えました。
「要求」の「要」は「腰」だったのか、など、
準備のなかで発見も。おもしろいなぁ。漢字は。
ちなみに、「字の成り立ち」を調べるのに
私がいつも愛用しているのは、
『角川 新字源 改訂版』(角川書店、1994年)と、
『図説 漢字の成り立ち事典』(教育出版、1993年)です。
以下、講義の概要です。
一。労働組合(ユニオン)
◇労働組合(ユニオンUnion)の語源は「Unite」
*・・・を結合する、合体させる、・・・を結びつける
*1つになる、団結する
*「Workers of the world, unite!」
(万国の労働者、団結せよ!…カール・マルクスの言葉)
二。組合用語から考える
1。労働者
◇そもそも、労働者とは・・・
*厳密に定義すると、「はたらく人」=「労働者」 ではありません。
◇「お金」をどうやって手にいれるかの違い
(図は省略)
◇労働者と言われる人々の特徴
①数が多い
②ひとりでは弱い存在
(図は省略)
団結するための恒常的な組織が、労働組合。
2。団結
◇団(かたまり)
◇結(むすぶ)
*糸(絲)をかたくむすび合わせるという意味
*「むす」という動詞は「生す」とも書く。「結ぶ」ことは、「生まれる」こと
でもある。
◇団結=かたくむすび合わさって、新しいものを生み出していく
3。要求
◇要(かなめ)
*「腰」と同じ。しめくくりとなる大切な部分。
*「たいせつなところ」「かんじんなところ」という意味もある
◇求(もとめる)
◇「不平・不満」と「要求」の違い
*その思いを「ぶつける・つきつける相手」が誰なのか
*要求は、具体的な形をとってあらわれる
4。職場討議
◇職場での「話し合いの場」(会議)のこと
◇労働組合活動の基本であり、土台
*「不平・不満」「愚痴・つぶやき」「意見」を「聞く」「出し合う」ことを
通じて、「要求」へと高める場となる。
*賃金、労働時間、休暇、雇用、働きかたの諸条件、職場の諸問題、
制度・政策の諸要求(政治的なたたかい)、地域・産業別での統一闘争、
平和の要求…
*「共通性」「正当性・必要性」を明らかにし、「実現の可能性」を検討する
◇職場討議を、組合員が成長できる場に
*1人ひとりの権利意識と仲間意識。自覚の高まりが基礎になければ
ならない。
*意見がいいやすい工夫、努力
◇職場討議のほかにも、アンケート実施や、日常の信頼関係を築く活動も大切
5。オルグ(オルガナイザーの略)
◇「組織」のことを、英語で「organization」(オーガニゼーション)という
*「組織する」は「organize」(オーガナイズ)
◇組織は「生きもの」
*元気なときもあれば、病気になることもある、死にいたることもある
*たえざる新陳代謝が必要(栄養を取り続けなければ、やがて病み、
死んでしまう)
*だから、たえざる組織活動(職場討議、会議、実践活動、学習活動、
文化交流企画など多様)が必要となる。
*団結は、日々あらたにつくりだされる。糸をつむいでいく「人」が必要となる。
◇オルガナイザーとは
*…を組織する、編成する、結成する
*労働組合の方針や考え方を組合員やほかの労働者・労働組合になど
に伝え、広げるために活動をする人のこと。
*組合員の意見や要求を「聞く」こともオルグ活動の重要なひとつ
◇あきらめなかった人びとがいるからこそ、今日がある・・・組織は人なり
*それぞれの時代、職場のなかには、組合活動にたいして嫌悪感をもって
いたり、無関心だった人もたくさんいたに違いない。
*しかし、「人間らしく働きたい」「いい仕事がしたい」という願いをあきら
めなかった人がいた。そして、多くの人びとに訴え、手をつなぎたたか
いながら、一つひとつ「それまでの現実」を変えてきた。
*現状が辛いときほど、私たちは試される
6。団交(団体交渉)
◇要求を実現するための交渉の場
*参加する組合員が多いほど、使用者(資本家)には圧力となる
*ストライキなどの実力闘争をバックに、交渉する場合が多い
◇憲法28条には「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」が無条件で保障さ
れている
*「団体交渉」を申し入れたら、使用者は拒否できない(労働組合法第7条)
7。労働組合民主主義
◇労働組合の基本的性格(大衆性と階級性)
①労働者なら「誰でも入れる」(『大衆性』という)
労働者であるならば、思想・信条・政党支持、性別、年令、国籍などの違い
をこえて誰でも加入できる。どんな雇用形態でも、入ることができる。
②資本家(使用者)にたいして、要求をかかげて「たたかう」(『階級性』という)
労働者と資本家の利害は対立する。資本家とたたかう以外に、労働条件
のルール、働く環境の改善、人間らしい生活は実現しない。
◇労働組合という組織は、民主主義がとくに大事になる
*「誰でも入れる」ということは、つまり「いろんな人がいる」ということ
*民主主義は、めんどうくさい、手間がかかるもの
*労働組合は、「民主主義の学校」と呼ばれる
*みんながちょっとずつでも実践に参加することで、大きな力が生み出される
8。産業別(産別)の統一闘争、地域での統一闘争
◇1つの職場だけでは解決できない要求
*国の制度・政策にたいして
*働くルール(法律)をめぐって
*社会保障や税制、平和の課題
◇職場を基礎に、産業別の連帯、地域別の連帯を
*公務、自治体、金属、交通・運輸、福祉、保育、医療など、同じような
条件にある労働者が、お互いに要求を統一し、共同のたたかいをす
すめることを、産別統一闘争という。労働者はバラバラにされていて
は、たたかいに勝てない。「数の力」を集め、共同してたたかうことに
よって、力関係を変えることができる。
*同じ地域に住む労働者・労働組合が地域的に結集し、共同してたた
かうことも、大切な活動となる。それは、①「自分の職場の中だけ」と
いう活動・視野の狭さを克服する、②自治体への要請など、地域別
の熱い要求が焦点となる、③未組織労働者・非正規労働者の組織化
のネットワークをつくる、という意味をもっている。
◇さらに、全国的共同闘争へ
9。学ぶ(學ぶ)
◇「学」という字の成り立ち
*旧字「學」のくずし字で、この旧字の上の「×」は学ぶ事柄をさし、そ
れを挟んでいる「ヨ」は人が両手を前に出している様子を表している。
*これは、大人(先達)がつくりだしてきたものを、子どもが両手をいっ
ぱいに広げ、受けとめている、というイメージをもつ字。
◇学ぶ活動なしには、組合活動は前進しない
*きちんとした「ものさし」「めがね」をもつ。敵を知り、己の力を知る。
*活動のエネルギー源。職場や情勢をとらえる力。目的意識と計画性。
「私たちは、どんなことにしろ、そのものの意味を知らなければ、そ
れを大切にしたり愛したりすることは出来ない。現実を理解しなけ
れば、それを愛し、そこに働きかけてゆく人間の歴代の努力のうけ
つぎ手として今日生きているよろこびや感動を味わうことも出来ない」
(宮本百合子「若い娘の倫理」)
以上。
終了後、質問、感想などを出し合いました。
「有給休暇の取り方・考え方について」
「不当労働行為への罰則はどんなものか」
「まず学習することが大事だと思った」
「基本的な言葉の意味を知れて勉強になった」
など。
参加されたみなさん、おつかれさまでした。
コメント
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