きょう(22日)は、13時半から、
倉敷医療生協労組女性部の学習会&夏のレク(寄せ植え)に
行ってきました。
生協会館の3Fでした。
はじまる前の様子。
参加は20名ほどでした。
私は学習会の担当で、
「女性が輝く世紀に-女性差別撤廃条約から30年」という
テーマでお話をしました。
こちらも総選挙の話題をチラホラ出しながら、
早口でお話をしました。
以下、講義の概要です。
一。女性のエンパワーメント-世界の到達点
1。女性の参政権は、ほとんどすべての国で実現
2。政治(国会議員・閣僚)への進出
◇国会議員に占める女性比率(上位国と主要国、07年11月末現在)
*ルワンダ(48.8%)、スウェーデン(47.3%)、フィンランド(42.0%)、
コスタリカ(38.6%)、ノルウェー(37.9%)、ドイツ(31.6%)、イギリス(19.7%)、
フランス(18.5%)、アメリカ(16.3%)、韓国(13.4%)、日本(9.4%)
*189か国の全国会議員のうち、女性議員の占める割合が、07年1月
時点で過去最高の16.9%に(列国議会同盟<IPU>調べ)。女性議
長も最多を記録。
◇閣僚に占める女性比率(上位国と主要国、07年)
*フィンランド(60%)、ノルウェー(47.4%)、フランス(46.7%)、
スウェーデン(45.5%)、ドイツ(38.5%)、イギリス(34.8%)、アメリカ(29.4%)、
オーストラリア(16.7%)、日本(11.1%)、韓国(5.0%)
3。たとえば、高等教育やスポーツ
◇高等教育
*全女性のなかでの、高等教育を受けている女性の割合
・ヨーロッパ(1970年11%→1990年代後半46%)
・世界全体(1970年7%→1990年代後半17%)
*大学教員のなかに占める女性の割合(上位国と主要国、1990年代あるい
は入手可能な最新データ)
・チェコ(52%)、キューバ(45%)、モンゴル(43%)、ニュージーランド(42%)、
アメリカ(39%)、ノルウェー(36%)、スウェーデン(35%)、フランス(34%)、
イギリス(30%)、イタリア(29%)、韓国(28%)、ドイツ(25%)、日本(22%)
◇オリンピックへの女性選手の参加(参加選手のうち女性の割合)
*1896年アテネ大会(女性の参加は禁止)、1924年パリ大会(4%)、
1964年東京大会(13%)、1988年ソウル大会(25%)、2008年北京大会(45%)
*女子マラソンは1984年から(女性には長距離は無理だと思われていた)
4。労働力-そのための社会的条件づくり
◇主要資本主義国の、女性の労働力率の推移(別紙)
◇職場での差別をなくす問題
①同一労働同一報酬、②均等待遇、③「間接差別」を認めない
◇女性が働くための社会条件づくり
*1960年代~1970年代にかけて、女性の社会進出を保障する条件づくり
の進展。その到達点としての、国連「女性差別撤廃条約」(1979年)。
①社会からの支援体制(出産、育児、家事など)
②私的領域における差別撤廃の立場を推進
*EUの取り組み
・欧州委員会の政策とイニシアチブ
・欧州議会には「女性の権利委員会」という常任委員会
*先進国では、労働力率が高いほど、出生率が高いという傾向
*出産・子育て比較、ジェンダー比較のおもしろい本
『子供の生きる国-産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス』
(薗部容子、新風舎、2005年)
『産める国フランスの子育て事情-出生率はなぜ高いのか』
(牧陽子、明石書店、2008年)
5。世界の女性たちの歩み-画期となった「女性差別撤廃条約」
◇国際女性デー
*起源は1910年。さまざまな曲折をへて、1921年から3月8日に統一
されていく。
*1977年、国連総会で、3月8日は「国連の日」と決議(日本は棄権)。
◇世界人権宣言(1948年)
人権条約としての社会権規約・自由権規約(1966年)
◇1967年国連総会で「女性にたいする差別撤廃宣言」
◇ウーマンリブ運動
*1960年代後半から70年代前半にかけて、欧米を中心としたウーマンリブ
運動(女性解放運動)の高揚。
◇1975年、国連は、第27回総会で「国際女性年」を決議
*同年、メキシコで第1回世界女性会議を開催(133か国、6000名参加)し、
「世界行動計画」(メキシコ宣言)を発表。第2回コペンハーゲン(1980年)、
第3回ナイロビ(1985年)。
◇1979年「女性差別撤廃条約」(日本は1985年に批准)
*条約とは何か?-その内容をみる
*条約を批准した国に内容を守らせるしくみ
◇1995年第4回世界女性会議(189か国、30000人参加)と「行動綱領」
*エンパワーメント(力をつける)がキーワード
*12の重大関心領域
①女性と貧困、②女性と教育、③女性と健康、④女性にたいする暴力、
⑤武力紛争下の女性、⑥経済と女性、⑦権力および政策決定における女性、
⑧女性の地位向上のための制度的メカニズム、⑨女性と人権、
⑩女性とメディア、⑪女性と環境、⑫少女
6。北欧の女性たちのたたかいに学ぶ-人権意識の高さと行動力、創造性
◇フィンランド「国会に100人の女を」
◇アイスランド「女のストライキ」(1975年、1985年)
◇ノルウェー女性の社会進出の最新到達
-民間会社取締り役員にもクォーター制度
*9月14日にある国政選挙の最大争点のひとつは「男女同一価値労働
同一賃金」
7。世界にはまだまだ女性問題が山積
◇貧困と女性、女性にたいする暴力
*少女に結婚を強いる早期婚、DV、セクハラ、レイプ、隔離、人身売買・・・
◇伝統的なジェンダー意識も根深い
★しかし、これらの問題と世界は向き合い続け、解決への確かな歩みを続ける。
◇女性が躍動し、輝く21世紀-「女性の権利は人権である」
*すべての人が人間らしい発達と営みを保障されるとき、世界は新しい
姿をみせる。
【参考文献】
『ママは大臣 パパ育児』(三井マリ子、明石書店、1995年)
『女性がつくる21世紀-私たちの北京「行動綱領」』
(清水澄子・北沢洋子共著、女性政策研究所、1996年)
『Q&Aで学ぶ 女性差別撤廃条約と選択議定書』
(米田眞澄・堀口悦子編著、明石書店、2002年)
『国際女性デーは大河のように』(伊藤セツ、御茶ノ水書房、2003年)
『EUの女性均等政策』(柴山恵美子・中曽根佐織編著、日本評論社、2004年)
『ジェンダーの世界地図』
(藤田千枝編・菅原由美子+鈴木有子著、大月書店、2004年)
二。日本社会ではどうなっているか
1。世界でも異常な女性差別
◇賃金は正社員で男性の68%。非正規をふくめると53%。
*貧困問題と女性。母子家庭の多くは貧困ライン以下で生活。
◇妊娠・出産、育児休暇取得を理由とする解雇も
◇国会議員や地方議員のなかでの女性議員の割合
*8月30日投開票の総選挙の立候補予定者のうち、17%が女性候補
*主要6政党の立候補者の女性比率
自民党326/27(8.3%)、民主党330/46(13.9%)、公明党51/4(7.8%)
共産党171/52(30.4%)社民党37/12(32.4%)国民新党18/1(5.5%)
◇管理職のなかでの女性の割合の著しい低さ
◇育児などへの社会的支援の貧弱さ
*「就業」と「結婚・出産・子育て」の二者択一状況。就業していた女性のうち、
第1子の出産を機に、7割が退職している。
*男性の働き方(長時間労働)、伝統的な男女の役割論の根深さ
2。世界から怒られつづけている日本の現状
◇ILO(国際労働機関)からの相次ぐ勧告
◇国際人権委員会からの批判
◇国連女性差別撤廃委員会からは包括的な批判と勧告
*数年に一度行われる「審査」。今週火曜日(18日)に、国連・女性差別
撤廃委員会は、日本における女性差別撤廃条約の実施状況の審査の
結果をまとめた「総括所見」を公表。
*総括所見は60項目に及んでいるが、前進面(肯定的側面)はわずか
7項目。これまでの委員会からの勧告を実施していないことが指摘され、
雇用、教育、暴力、女性の参画などの「主要関心事項および勧告」は
前回2003年の22項目の2倍以上にのぼった。
*差別的法規として、民法での、結婚最低年齢の男女差、女性のみに
適用される結婚禁止期間、結婚のさいの夫婦同姓の強制などをあげ、
改正のための即時の措置をとるよう勧告している。
*労働については事実上の平等の実現が要請された。そのための暫定
的な特別措置が推奨され、性による職業・コースの区分け・人事を廃止
し、男女の賃金格差の縮小、妊娠・出産した女性に対する違法な解雇
の阻止が要請された。
3。歴史的な総選挙で、新たな前進の展望がひらかれる
◇形式的平等から実質的平等を勝ちとるためには
*女性が働きやすい職場環境をつくる-職場における女性差別をなくす
*「仕事と家庭」の両立を可能とする社会的条件づくり
*日本の異常な長時間労働を是正する
*そうした条件づくりこそ、少子化問題の危機を打開するなによりの力
◇野党(民主党、共産党、社民党)で一致している政策(こまかい違いはあるが)
*民法の改正(選択的夫婦別姓制度の実現、再婚禁止期間・婚姻最低年齢
の見直し、婚外子差別の禁止)←これまでは自民党がことごとく潰してきた
*男女間賃金格差の是正
*生活保護の母子加算復活
*学費の軽減、保育所の待機児童の解消
*DV、ストーカー、強姦などにたいする対策強化
4。社会的な啓発活動の必要性-学習活動を草の根から
◇伝統的な性別役割論の風潮を変えるという大仕事
◇女性差別撤廃条約をはじめ、世界の「女性の人権」の到達点を学ぶ
◇世界の努力と、その生きた姿を知らせる活動
【参考文献】
『学びあう 女と男の日本史』(歴史教育協議会編、青木書店、2001年)
『憲法24条+9条』(中里見博、かもがわブックレット、2005年)
『憲法二四条 今、家族のあり方を考える』(植野妙実子、明石書店、2005年)
『格差社会を生きる 男と女の新ジェンダー論』
(杉井静子、かもがわ出版、2008年)
『社会進歩と女性』(不破哲三、日本共産党新婦人内後援会、2008年)
『女性白書2008』(日本婦人団体連合会編、ほるぷ出版、2008年)
さいごに:労働運動に新しい文化を
女性が輝く21世紀のために、みなさん自身が力をつける
以上。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。