最近読み終えた本。乱読です、はい。
すべてここ半年のうちに出た本です。
『心をつなぐ左翼の言葉』
(辻井喬、聞き手・浅尾大輔、かもがわ出版、2009年)
たいへん刺激的な内容でありました。
私もつねづね、自分の表現する
言葉について、こだわり続けたいと
思っていますので。
日本の文学状況についての話も、
興味深く読みました。ウトイ分野なので。
浅尾さんが、宮本顕治さんが
「典型とか本質は、単純化した類型じゅなくて、
複雑な全体性を最も集約的に表現する」
と言っていたことを紹介していましたが、うなりました。
宮本さんには、言葉の力を感じます。
人の心に届く言葉を、私も発していきたいです。
『拉致-左右の垣根を超えた闘いへ』(蓮池透、かもがわ出版、2009年)
もっと早く読んでおくべきでした。
岡山でも、革新陣営のなかで
この問題が取り上げられることは、ないですね…。
「拉致問題にもっとも熱心なのは革新」
という感じにしていかなくちゃな…。
学習運動には何ができるんだろ。
日本政府の戦略のなさ、拉致被害者と家族への
不誠実さには、憤りを感じます。
『どんとこい、貧困!』(湯浅誠、理論社、2009年)
湯浅さんは最近怒涛のように本を出されて
いますが、じつは湯浅さんの本を読むのは2冊目。
(2年前にだされた『貧困襲来』以来)
読めば勉強になるだろうと思ってたのですが、
なぜか手が伸びませんでした。
ところが最近、紙屋高雪さんの本書の書評を
読んで、「これは手をだそう!」と思い、
さっそく読んでみたのでありました。
まあ、紙屋さんの書評に詳しく書いてあるので、
そちらを読んでいただければいいのですが、
これはたしかにスゴイ本です!! かなりオススメです。
まず、読者対象が中学生・高校生ぐらいなので、
非常にわかりやすい。漢字にはすべてルビがついています。
そして、自己責任論への反駁(はんばく)を、
ここまで包括的に、理論立てて、しかもわかりやすく展開している
本は、かなりまれではないでしょうか。決定打です。
そしてさらに圧巻なのは、本書の後半、
「ぼくらの『社会』をあきらめない」の章です。
読んでいて頭に浮かんだのは、
吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』に
登場してくる、「おじさん」(コペル君の良き相談相手)の
ような存在に、湯浅さんがなっている!ということでした。
現代社会を生きる若い人にとって、
とても良い道先案内になっています。
共感できること、たくさんですよ。
「活動とは」「活動家とは」、という定義も、
じっさい活動をしている
私にとっては、なかなか新鮮なものでした。
「活動家が浮かび上がるんじゃなくて、誰もが活動家
またはプチ活動家のような社会。活動家であることが
珍しくもなんともない社会」(259P)
・・・たしかに楽しそう。はやくこんな社会にしたい。
ぜひ読んでほしい1冊です。
『若者の「うつ」-「新型うつ病」とは何か』
(傳田健三、ちくまプリマー新書、2009年)
この手の本もあんまり読まないんですが、
先日、とある人から、教えられ、
「ふーむ、読んでみたい」と思ったもの。
「うつ病」も、社会や時代が反映して、
どんどん変化しているのだなぁと、
たいへん驚きました。
しかし、こうした知識をきちんと持っておけば、
自分もまわりも、早期に「変調」に
気づくことができます。勉強になりました。
『表現する仕事がしたい!』(岩波書店編集部、岩波ジュニア新書、2009年)
私も、プチ表現者であると自覚しています。
講義をしたり、文章を書いたり、
学習運動の「場」をプロデュースしたり。
だから、これは自然に手が伸びました。
本書では、漫画家や音楽家、
映画監督、写真家など、13人が、
「自分の経験」や「表現することとは」という
難問について、若い人に語りかけています。
一番印象に残ったのは、冒頭に登場している、
漫画家の安野モヨコさんの
「表現するために必要なこと」についての指摘でした。
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表現するために必要なのは、自分自身で現実に
体験することです。フィルターをかけずに出来事を
見、話を聞き、感じることです。そしてもう一つは
そのときの自分の心をよく観察すること、この二つ
です。(略)
…このことは、表現していく道において、大変シン
プルで重要な原則の一つなのです。そして自分だけ
の表現をしたいと思った時に使える唯一の材料は、
毎日の生活の中に無尽蔵(むじんぞう)にある『自分
の本当の感情』なのです。 (12P)
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表現することは、人間にとって、
かなり根幹的なことだと思います。
だからこそ、
深めていきたい課題です。
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