(佐貫浩、大月書店、2009年)を読み終える。
やはり、佐貫さんの本は、たいへん刺激になります。
赤線いっぱい引きました。去年出た本だけど、
もっと早く読んでおけばよかったと少々後悔。
いまの子どもたちや学校現場が抱えている困難、
そのなかで必死に行なわれている教育実践は、
もちろん労働者教育の分野にも、あてはまるわけで。
正直いって、学習運動の全国センターである
労働者教育協会の中では、
集団学習の重要性が議論されているにも関わらず、
教える内容(カリキュラム)の議論に終始し、
それを実際に学ぶ場である集団学習の空間を、
いったいどんなものにするのか、どんな工夫が必要なのか、
それは階級闘争のなかでどんな意味や役割をもっているのか、
といった議論がほとんどされていないように思う。
また、佐貫さんが図解で説明している、
「学力の三重構造モデル」や、「学習意欲の構図」などは、
労働者教育でも大いに参考にできる、と思う。
基礎理論学習を重視しているのが学習運動なわけだから、
その基礎理論が(何を基礎理論と言うかは議論のあるところだけど)、
どのように労働者に主体性や思想を獲得させ、
社会や生活のなかでの「生きる力」となるのかは、
もっともっと実践的な研究交流があってよいと思う。
たとえば、勤労者通信大学の基礎コースを学べば、
活動家がいっちょうあがる、てなことは、絶対ないわけですから。
教育って、そんな簡単なものじゃない。
だから、教育者自身が、いまの時代や、目の前の青年・労働者と切り結びながら、
「何が必要か」をとことん考え、そして学び続けていないとダメなわけです。
いずれにせよ、本書は、岡山の学習運動の内容・あり方や、
集団学習の形態・空間、関係性づくりについて、たいへん役立ちました。
またレベルアーップしましたよ。認識が。
そして、しばらくは、この本に刺激され、
教育実践関係の本を読んでいくことにします。
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