きのう(2日)は、80期岡山労働学校の第8講義。
参加10名。先週からは回復しましたが、なかなか厳しいです。
でも、参加していただいている受講生に支えられております。
ありがとうございます!
講義は私が担当しまして、
「時間と人間-時のたづなをにぎるということ」がテーマ。
『友』に書いた連載の記事(1月号掲載予定)をもうちょっと膨らませて、
語ってみました。しゃべっていて、なかなか面白い。
今回の講義が、今後のこのテーマを深めていく出発点になりそうです。
以下、講義の概要です。
一。人間は、いつも時間を認識して生活している
1。日々の生活を考えてみよう
◇今日は何時に出勤して、何時から会議があって・・・
◇今日から12月だな・・・
◇週末の予定はあれとこれと・・・
◇長久の今日1日
◇格段に増えた、「時間」を見るということ
*時計のほかにも、携帯電話・パソコン…
2。時計技術の歴史と発達
◇時を認識し、それにそって生きる
*最初は、天体観測から、時間や日付や季節を認識するように
*日時計、水時計、砂時計、火時計、ランプ時計・・・
*機械時計、振り子時計、原子時計、電波時計・・・
*たとえば、江戸時代の「時の尺度」は「一刻(いっこく)」「一時(ひととき)」など、
かなり大雑把だった。
◇時計技術の飛躍で―とくに、分・秒など細かい「時」の計り方が可能に
*電車の時刻はかなり正確
*カップラーメンは3分
*テレビCMは15秒
*サッカーの試合は、前後半45分ずつ+ロスタイム
*労働学校の講義は75分(延長には注意・・・)
3。スケジュール帳、カレンダーなど
◇今日の予定、今週の予定、今月の予定、1年の計画・・・
*「未来にたいして、自分を向けていく」
*過去をふりかえることも可能に
◇時系列のなかに、「今の○○」を置く。
◇人間は長いスパンで、ものごとを時間との関連で整理し、考えることもできる
*自分の人生の時間・・・
*この橋の耐用年数は・・・
*これは5年計画で・・・
*このワインはあと何年たてば一番の飲み頃です・・・
◇私たちの仕事や生活、活動には、必ず「時間」というものが関わってくる。
*この仕事をやるには、何日必要だ。
*英語を話せるようになるには、少なくともこれだけの期間は訓練がいるよなー。
*この企画や学習会を成功させるには、これだけの準備期間が必要だ。
*「時」を無視しては、何事もうまくいかない。
*逆に、「時」をきちんと手のひらにのせ、コントロールすることができれば、
目的にそって、いろいろなものやことを生み出せる。
*だから、「目標」と「計画」を立てることは、ほんとうに大事なこと
4。人間だけが、「時間を決めて、集まれる」
◇動物が群れるのは、本能的働き
◇人間は、いろいろな場所に、目的をもって、「同じ時に集まれる」
*オリンピックやワールドカップができるのは、人間だけ
*類的能力の発揮-労働の場合
「いずれの場合にも、結合労働日の独特な生産力は、労働の社会的
生産力または社会的労働の生産力である。それは、協業そのものから
生じる。労働者は、他の労働者たちとの計画的協力のなかで、彼の個
人的諸制限を脱して、彼の類的能力を発展させる」
(マルクス『資本論』、第11章「協業」)
◇私たちの活動も「時間を決めて、集まる」
*会議、集会、学習会
*時間の共有。そのことによって、生み出されるもの。
二。労働者にとっての「時間」
1。「労働時間」が生活スタイルの中心にならざるをえない
◇労働時間への規制が弱い日本の、労働者の生活・文化時間のゆがみ。
*過労死を生むほどの労働。長時間労働による健康破壊。家族団らんの難しさ。
*ゆとりがなければ文化的生活はできない
*デートより残業…。今春就職の新入社員の85%が「デートの予定があっても、
残業を命じられたら、残業する」と回答。調査以来過去最高。(日本生産性本部)
2。資本は労働者の時間をできるかぎり奪おうとする
◇日本の異常な長時間労働
*生産労働者の年間総実労働時間(製造業、2006年)
【日本2,003時間】【アメリカ1,962時間】【イギリス1,874時間】
【ドイツ1,538時間】【フランス1,537時間】 ※『データブック国際労働比較2009』
2,003時間ー1,537時間=466時間
→これが10年続けば、4,660時間! 30年続けば、13,980時間!!!
466時間あったら、みなさんは、何をしますか?????
【夢を語り合おう☆】
長久だったら・・・ 小説を20冊読んで(1冊3時間として、60時間)
草サッカーして(週1回2時間として、50回100時間)
英会話も習っちゃおう(週2回2時間として、200時間)
がんばって手料理作るぞ(週1回1時間として、50時間)
1週間の旅行をもう1回(5日間の休み×8時間、40時間)
これで合計450時間!
より健康で文化的な生活☆
「時間は人間の発達の場である」
(マルクス『賃金、価格および利潤』)
◇夜勤労働が本格的に生まれたのは資本主義になってから
「1日の24時間全部にわたって労働をわがものとすることが、資本
主義的生産の内在的衝動」(マルクス『資本論』第八章「労働日」)
*照明技術や電力供給の発達が基礎にあるが
*異常な24時間型社会に
*眠りを奪われた子どもたち
◇徹底的な効率化
*休憩時間やゆとりの「かじりとり」。ムダを許さない生産計画。
3。労働時間短縮をたたかい取ろう-労働時間を規制する法律を勝ちとる
◇メーデー(5月1日労働者の祭典)の起源は
*8時間労働制を求めたアメリカの労働者のたたかい(1886年5月1日)
*「仕事に8時間を、休息に8時間を、おれたちがやりたいことに8時間を!」
◇余暇の大切さー労働時間からの解放、時間による束縛からの解放
*ゆったりと生きることの価値
*ぼんやり、ぼーっと。それが、日常へのエネルギーにも。
*旅は、また特別な時間を自分のなかにもたらす
【参考文献】
*『豊かさとは何か』(暉峻淑子、岩波新書、1989年)
*『働きすぎの時代』(森岡孝二、岩波新書、2005年)
*『ぼんやりの時間』(辰濃和男、岩波新書、2010年)
三。見ず知らずの人のために、自分の時間をつかえる
1。人間にしかできない時間の使い方
◇自分以外の見ず知らずの他人のために、自分の時間を使える
*2008年の「年末年越し派遣村」には全国から数多くのボランティアが。
*世の中のため、社会のために、自分の時間を使っている人は、ほんとうにたくさん
いる。人間はそういうことができる存在。だから進歩してきた。
「寿命というわたしにあたえられた時間を、自分のためだけにつかうのでは
なく、すこしでもほかの人のためにつかう人間になれるようにと、私は努力
しています。なぜなら、ほかの人のために時間をつかえたとき、時間はいち
ばん生きてくるからです。時間のつかいばえがあったといえるからです」
「ほかの人のために自分の時間をつかうということは、自分の時間がうばわ
れて、損をすることではないのです。それどころか、ほかのことでは味わえ
ない特別な喜びで心がいっぱいに満たされるのです」
(日野原重明『十歳のきみへー九十五歳のわたしから』、
冨山房インターナショナル、2006年)。
*見ず知らずの人とも、助けあう、支えあうことができる。
2。自分の時間の使い方を考え、整え、創造することができるのが、人間。
◇「1人称の時間」「2人称の時間」「3人称の時間」
*それぞれは、バラバラではない
*「他人のための時間」が、「自分のための時間」にもなる
*「自分のために使う時間」が、「他人のために使う時間」のエネルギーにもなる。
*また、人生のそれぞれの時期、境遇によって、「時間の使い方」も変わってくる
さいごに
*時間と人間・・・さらに私も探求を深めていきたいと思います。
以上。
受講生の感想。
「今日の話はおもしろかった。『目標』と『計画』は
きっちり立てないととね! 自分は時間の使い方が
ヘタだーと思った」
「人間に平等にあたえられているのは時間だと
思います。『時間』のテーマでうまく時間を使って
いないと、改めて気づかされました。目標と実行
できるよう、心掛けたい気持ちになりました」
「普段はあまり意識してないことですが、たしかに
いつも時間を気にかけて毎日すごしているなーと
思いました。もう少し1人称の時間ほしい!3人称
の時間はまだまだ私にとっては未知の体験なので
体験していきたい」
「時間は人それぞれ平等に思えて、環境によって
使える時間があったりなかったり・・・。なんというか、
仕事や寝る時間以外のフリーな時間って、ほんとに
必要だなって感じた」
「『時』をきちんとコントロールしたいものです。常に
後手後手。ゴテゴテ・・・。時をあやつりたい」
「『自分のために使う時間』も『他人のために使う時間』
も、かがやかせたいですね。時間を認識して目的を
もって使えるのは人間だけ、というのになるほどー。
そして、使い方を選べる時間自体を長くするのが大事
ですね」
「人間は見ず知らずの他人のために、自分の時間を
使うことができるとは、すばらしいことですね。境遇に
よって、時間の使い方も変わってきますが、有意義に
過ごしたいですね」
なごみには8名が参加。私はグレープフルーツジュース。
「1日あと1時間、時間があったら何に使う?」がテーマ。
私は、イングリッシュをスタディしたいぜ!
そしてアイスランドに行きたいぜ!
と言ったら、その後のなごみの会話が
へんな英語とも日本語ともいえない
言葉が飛び交う空間になってしまいました。
のん!のん!
コメント
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