きょう(9日)の夜は、80期岡山労働学校、
「人間って、おもしろい教室」の第9講義(最終講義)でした。
参加9名。やはり、後半は人数が伸び悩みました。残念!
講義は、私が担当だったんですが、当初の予定から変更して、
「伝えることができる-人と人をつなぐ」というテーマにしました。
最後の講義にふさわしい内容を、と考えまして。
討論のようす。今期も、討論が充実してましたね。
講義は、「伝える」をキーワードにしましたが、
やっぱりこのテーマに変更して良かったと思いました。
伝える(伝わる)ことが、この日本の社会を変えるためには、
どうしても欠かせないことですから。
私の思いも、みなさんに伝わったのかな、と思います。
ありがとうございます。うれしいです。
講義の概要です。
一。伝えたい、という思い
1。それが、長久の「活動の原点」のひとつ
◇科学的社会主義の理論を学んだことで、自分の足で、自分の人生を歩き始めた。
*そして、仲間がたくさんできた。
◇自分自身が変わってきたこと-人間には、無限の可能性がある
*表現してきた、伝えてきた・・・それが自己形成にも
◇「もしもう一度行けとなら、私はまた、このみちを行こう」(ルイ・アラゴン)といえる
人生を、多くの人に選び取ってほしい。その手助けができれば。
◇自分のそうした思いを、多くの人に伝えたい-実践(修行)の日々は始まった。
◇会話や聴くこと。講義や文章、ブログを使って日々「伝える」実践。
2。伝えられた(受け取った)数々のことから、労働学校の教室も生まれた
◇原爆の実相、被爆者の生き方-78期岡山労働学校「核ZERO教室」に
◇先輩たちのすごさ-79期岡山労働学校「こんな人に会っちゃった教室」に
◇今期の教室も、「人間って、おもしろいんだぜ!!」を伝えたい、から出発。
二。人間は、伝えることができる
1。「伝」を使った言葉(岩波国語辞典より)
◇伝令、伝言、伝染、伝習、伝来、伝授、伝達、伝統、伝法、家伝、直伝、遺伝、
伝道、宣伝、喧伝、伝播、伝記、伝説、列伝、自伝、自叙伝、以心伝心(ことわざ)
2。言葉で
「たくさんのことばをきみのものにしてください。『考えを伝える』ことは、そこから
スタートします」(川崎洋『ことばの力』、岩波ジュニア新書、1981年」
「もちろん言葉にならないコミュニケーションはすごく大事だと思いますよ。表情
とか動作とか、すごく大事だと思うけれども、それも結局つまりどっかで言葉に
ある程度翻訳しないと客観的にならないし、普遍化されない」(谷川俊太郎)
◇話す、書く、聴く
◇本や雑誌(『学習の友』☆)で
◇手紙を書こう
◇メールでの表現も工夫して(パソコン、携帯、インターネットの登場)
3。言葉以外でも
◇映像や写真
*「一枚の写真が国家を動かすこともある」(『DAYS JAPAN』)
◇その人の所作(表情やしぐさ、ふるまい、身のこなし)
「何らかのメッセージを伝えたいという意図が特にあるわけでもなくされる、
何気ない人間の所作(ふるまい、身のこなし)からも、それを見た者は何ら
かの印象やメッセージを受け取ります」(臨床心理士・土屋由美)
4。文化の力
◇音楽、映画、芝居、美術etc プロスポーツも表現
◇アートは全体的・・・私たちの活動も、つねに外見・文化・美しさを意識する
◇チラシもニュースも、相手へ「何を伝えたいか」の誠意が伝わる
5。「表現の自由」は、基本的人権
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」
(日本国憲法21条)
◇表現とは、人にものを伝達するすべての活動
*「一切の」という言い方の中に、表現の自由を最大限尊重していることがあらわれている。
◇表現をつうじて、人は自己実現をしている
*自分の考え、思いを伝える(表現する)。また他人の考え、思いを知る(伝えら
れる)ことによって、人は人間的、人格的な成長をしていく。
*知的存在・社会的存在である人間にとって、表現の自由は人間の尊厳そのもの。
◇さらに、国民の意見を政治に反映させる自己統治の社会的価値も大きい
*言論活動(表現)は、国民が政治的意思決定に関与するという、民主主義に
とって不可欠なこと。
*民主主義が機能し、自分たちで自分たちのことを決めていくことは、社会の発展に
貢献する。したがって、「表現の自由」は社会的な意味や価値をもっている。
6。「集団で表現する」ことができるのも、人間のすばらしいところ
◇みんなで歌ったり、踊ったり、1つの作品をつくったり
◇集会やデモ行進も「表現形態(伝え方)」のひとつ
三。伝えあいの階級闘争
1。「自己責任」「抑止力」「国際競争力」「勝ち組負け組み」・・・支配階級の「伝達力」
◇私たちを分断する、競争にかり立てる言葉・表現の氾濫(伝播)
*投げつける(脅し)言葉、個別性を奪う言葉や行い、抽象的ごまかしの言葉
*いったい、なんでこんな言葉が広がった?
「言葉の意味や概念を、歪めたり、誤魔化したり、間違った解釈で捻じ曲げ
たりする人たちのまやかしと、つねに正面から対峙しながら、言葉の正確な
歴史的意味を明らかにしていく、日常的実践が必要なのです」(小森陽一)
*基本的人権の意味や概念
*労働者、賃金、資本主義・・・言葉の意味をきちんと明らかにする
2。人間の歴史から伝えられることー韓国・南アフリカの現代史を学んで
◇あきらめなかった人びとの生き方、その美しさ。
*人びとが、自分の思いを伝えあった
*その歴史を、私たちは学ぶことができる(伝えられる)
◇人間は、どうやって社会を発展させてきたのか
◇人間って、ちっぽけだけど、偉大。いやなところもあるけど、やっぱりおもしろい。
3。連帯をつむぐ言葉、集団を輝かせる言葉をみがく。
◇伝えたい。でも、簡単には伝わらない。
*なんでわかってくれないの! なんでこんなにいい学習会なのに・・・!
*正しいこと言ってるのになんで支持が広がらないの!?
*人はみな違うから。100%伝わることって、難しい。
*でもだからこそ、伝わったときの喜びも大きい。
◇自分が、心から感じたこと、うんうんと考え抜いて発した言葉は、伝わる。
*自分が体験したことを、人に伝える
*自分のオリジナルな言葉で(ただし最初はマネでもいい)。
◇伝わりあったとき、生まれるもの
*いろんな個性が集まり、自由に伝えあう。集団の力!
「集まることのメリットを考えると、似たような人が集まるより、個々が違う
力をもった人々が集まるほうがいい。集合するということは、個々に個性
や主体性があることが前提になっていると思うのです。集団をつくるとい
うことは同時におのおのが個性的でなければならない、ということです」
(西沢立衛『美術館をめぐる対話』集英社新書、2010年)
4。学びあい、伝えあいの輪を広げて
◇伝える力は、コツコツ積み重ねの努力で磨くしかない
*伝えるプロである、役者も、音楽家も、落語家も、文筆家も、芸術家も、
最初から「一流の表現者」であった人はいない。
*伝わったとき、響きあい、心のふるえが生まれる。
さいごに:労働学校という場も、もっとたくさんの人に伝えていきたいと思います。
81期を、ぜひたくさんの受講生で☆
以上。
参加者の感想文。
「表現、伝えることはとても大事で難しいこと
ですね。自分の考えを表現する、また他人から
伝えられることによって人は成長していく。とて
も良い言葉ですね」
「嘘も100回、200回...いっぱい流せば『ほ
んとう』になるといいますが、やっぱりもっともっと
ほんとうの言葉、やさしい言葉、つながるための
言葉があふれる世の中にしたい! 表現の自由を
活用してがんばろっ!!」
「伝えるということの大切さ、そのため、支配する
人がそれを握る必然。 伝えるということは表現。
表現の自由は人権。あたり前のことなのに、気が
つかないことですね」
「伝えることで闘争。そのしくみが分かりました。
伝えることって大事。伝えることが力になる!」
「私は『伝える』ことがすごく苦手で、話しても
書いてもまとまりがなく、わけわからなくなって
しまうことがコンプレックスでした。でも、今日の
学びで『伝える』ことの大切さを改めて学び、『伝
える』訓練をもっとしなければ!! たくさん書け
るようにがんばらねば!!と思いました(汗)。
超!!筆不精、手紙不精な私ですが、まず、
感想交流の班のメンバーと住所交換して年賀状
出すことからはじめました☆ビバ、労働学校!!」
「人に伝えることはすっごく難しいなーと日々思っ
ていて、私ももっといろいろな言葉や文章で表現
できる人(伝えられる人)になりたいです!!
“表現はその人そのもの”という言葉は心にストン
とおちました。ナットク☆☆」
そして、今年さいごの「なごみ」。
すみません、私が食べたチャーハンです。美味しかった☆
「今期はどうだった?」のテーマで1時間。
みんな、しっかり受けとめて、消化してくれてます。
うれしいな。
それにしても、ネルソン・マンデラ講義、大人気ですね。
「もっと歴史学びたい」との声多し。
徳方先生の「伝える力」のすごさもありますね。
さて、来週土曜日の修了式では、
どんな「伝えあい」「学びあい」があるのでしょうか。
楽しみです。
コメント
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