最近読み終えた本。
神話の学びです。このために買った本があと8冊
残っているのですが(汗)、時間とのたたかいもあって、
あと2冊読んだら、ギリシャ哲学に入ります。
神話を学んでいると、ギリシャの哲学者が、
唯物論的に思考をおしすすめた“すごさ”も改めて
浮き彫りになってくる感じです。早く学びたい。
『世界神話辞典』
(大林太良、伊藤清司、吉田敦彦、松村一男編、角川選書、2005年)
まあ、神話なんて私
勉強したことありませんからね。
最初はこれから。
辞典ですから、読み物としては
あまり面白くないんですが、
世界の神話を網羅(もうら)して
いる点で、たいへんすぐれた本です。
最初に総論的な解説があって、神話の定義とか、
神話と伝説と昔話の違いとか、神話研究の歴史とか。
ふむふむという感じ。
次に、共通テーマにみる神話、ということで、
「世界の起源」「人類の起源」「洪水神話」「死の起源」
「火の起源」「作物の起源」「女性」「トリックスター・文化英雄」
「英雄」「王権」「異郷訪問」「異類婚」「天体」
というテーマをそれぞれ地域別に紹介しています。
“死の起源”なんて、とても興味深い。
なぜ死ぬのか。そんな疑問が、昔から問われてたんですね。
そして、地域別にみる神話、ということで、
具体的に世界各地の神話の特徴を概観しています。
「日本の神話」「中国の神話」「朝鮮半島の神話」
「東南アジアの神話」「インドの神話」「イランの神話」
「メソポタミアの神話」「エジプトの神話」「ギリシャ・ローマの神話」
「ケルトの神話」「ゲルマンの神話」「スラヴの神話」
「シベリアの神話」「内陸アジアの神話」「オセアニアの神話」
「北アメリカの神話」「メソアメリカの神話」「南アメリカの神話」
「アフリカの神話」
という感じ。
まあ、全部丁寧に読んだわけではもちろんなく、
基本神々の世界、架空の世界なので、だんだん頭が
へんになってくるわけで。もちろんそれも現実の反映なんですが。
かなりナナメ読みでした。
でもかなり線も引きました。これで今後も使えます。
『神話の力』(ジェーゼフ・キャンベル+ビル・モイヤーズ、
飛田茂雄訳、早川書房、1992年)
アメリカの神話学の先生と、
ジャーナリストとの対談集。
主眼は、神話が私たちに
与えている影響、ですね。
もちろんプラスの意味で。
神話の教育的意味とか。
なかなか興味深い。
この神話学の先生の最終的な立場は、
典型的な客観的観念論そして不可知論なんですが、
それでもおもしろい人生訓的なもの、今を読みとくヒントを
神話から導きだして語っていて、おもしろいです。
そういえば、エンゲルスだったかな、
不可知論を「恥ずかしがり屋の唯物論」って言ったのは、たしか。
まさにピタリそうですね。
あれ、レーニンだったっけ? ま、いいや。
あともうひとつ感じたのは、
人間はなぜ物語をつくるのか、それを伝えようとするのか、
という現代にも通じるテーマ。
だって、神話って、物語的側面がすごく強い。
それが、人びとを惹きつける源泉のひとつになっている。
これは考えていきたい問題だと感じました。
唯物論の立場で「物語とは何か」深める、ということです。
『北欧神話』(P・コラム作、尾崎義訳、岩波少年文庫、2001年)
北欧の神話を
かなりわかりやすい文章で
書かれています。
神々って、かなり性格は
あらっぽいし、短気だし、
異性関係はむちゃくちゃ。
“人間”の出来具合としてはかなりヒドイ(笑)。
さいごの「解説」の冒頭がわかりやすく神話を説明しています。
「神話とは何でしょうか、それは世界の成り立ち、
人類の誕生などを人間がまだ存在しない古い
時代の神々の活躍をつうじて明らかにしようとする
お話です。太古の人々も今の人々と同じように
多くの疑問をもっていました。自分たちの住む世界や
人間そのものがどのようにしてできてきたのか、
彼らも考えたのにちがいありません。想像力を
働かせ、頭をしぼったあげくに生み出された、いわば
彼らの想像力から生み出されたものが神話だと
いっていいでしょう。想像力から生み出されたと
いっても、それは勝手きまま、いいかげんに生み
出されたという意味ではありません。太古の人でも、
つじつまのあわないことを考えだすわけはないで
しょう。むかしの人だって自分をとりまく自然環境や
家族や社会といったものはあったのですから、
それがそのままとはいえないまでも神話に反映
されてくるはずです。そういうふうに、わたしたちが
太古の人々の作った神話をとおして、古い時代の
世界や人間のありようをいろいろ想像してみるのは
とても楽しくて、意味のあることです。さらに、国々
による神話のちがい、たとえばギリシャ神話と
北欧神話を比較してみると、民族による神話の
ちがい、神々のちがいがよくわかって、興味は
いっそう深まることでしょう」
『ギリシャ神話』(アポロドーロス、高津春繁訳、岩波文庫、1978年)
まあ、神話の代表格といえば、
ギリシャ神話なんですけどね。
神々の数が多すぎて、
まったくストーリーがわかりません(涙)。
有名な神(ゼウスとか)の
名前を見ると、ほーと思うんですけど。
誰かこの難解な書物を解説してください…。
『知っておきたい 日本の神話』(瓜生中、角川ソフィア文庫、2007年)
日本の神話も、私はまじめに
勉強した記憶がなく、
「ほほお」「なるほど」「そうなのか」
の連続でした。
古事記と日本書紀を
ものすごくわかりやすく学べます。
イザナキ・イザナミ、アマテラス、スサノオ・・・。
そうか、そうでしたか。
スサノオが退治した、ヤマタノオロチといえば!
私はドラクエⅢを思い出すんですけど・・・(笑)。アホです。
でも、中間ボスのオロチ、強いんですよ、なかなか。
そのヤマタノオロチも、地域性・その当時の事象を
すごく反映した蛇神だったんですね・・・。知らなかった・・・。
日本の神話は、古代天皇制と強力に結びつき、
その正当性の根拠になったという歴史をもつから、
政治的色合いも強い。
この視角での学びもさらに深めてみたい。
いずれにしても、たいへん勉強になりました。
出雲って、すごい地域なんですね。
今度行ったら、その角度でいろいろ見てまわりたい。
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