学習の友社の新刊、
『ワークルール・エグゼンプション―守られない働き方』(脇田滋編著)
を読み終える。
これは、普及せねば、と思える1冊であった。
(さっそく本日20冊追加注文をした)
日本の労働法は、ただでさえ、ゆるゆるであるのに、
さらにその労働法体系の「適用除外(エグゼンプション)」と
なっている職種がたくさんある。
その多くは、個人請負・個人事業主という「外面」をもち、
実態としては、“労働者”的働き方をしていることが共通する。
本書では、以下のような12職種の労働現場・働き方の
実態が報告され、問題が告発されている。
その内容は、どれもこれも、まったくヒドイというほかない。
①「生きがい就労」には雇用のルールはなじまないのか
-シルバー人材センターの問題点
②福祉的就労に従事する障害者は労働者ではない?
-障害者の就労と労働者保護
③医師「聖職者」論がまかり通る病院
-勤務医、研修医、大学院生の労働問題
④違法な天引きや労災時の使用者責任はどこに?
-新聞奨学生の労働問題
⑤分刻みに行動を管理されても労働者ではないとは!
-NHK受信料の集金現場
⑥夢を追うクリエイター意識を利用した過酷な働かせ方
-アニメ・ビジネスの現場から
⑦使用者もあいまいで個人事業者主を偽装される「銀座ルール」
-ホステスの労働問題
⑧名ばかり個人事業主の労働性を認めさせる裁判へ
-商品個配労働者のたたかいから
⑨生産組織に組み込まれた建設職人
-建設業における個人請負労働者問題
⑩労働基準法を使えなくした家内労働法
-靴工家内労働者の働き方から
⑪家事使用人に適用されない労働法規
-フィリピン人女性家事労働者を例に
⑫国内労働法令が完全適用されない不安定な身分
-日米のはざまで働く基地従業員
以上。
第2部では、編者の脇田滋さんが、
「労働法抜本改正・実効性のある『働くルール』の確立に向けて」
という内容で、わかりやすくコンパクトに、ILOの到達も踏まえながら、
問題を整理し、たたかいの方向性を明らかにしている。
そのなかで、既存の労働組合の役割についてふれられ、
「憲法28条は、労働者全体、さらに国民全体を代表する
労働組合の役割に期待していました。制定当時、生存権を
脅かされている国民全体を代表して、その先頭にたって
たたかったからこそ、戦後、労働組合は大きな世論の支持を
得て、急速にその組織を拡大し、力を伸ばしました」
「労働組合は、職場、職種、地域、産業などの単位に属する
労働者全体を代表する必要があります」
と指摘しています。
マルクスは、「労働組合 その過去・現在・未来」のなかで、
「みずから全労働者階級の戦士、代表者をもって自認し、
そうしたものとして行動している労働組合は、非組合員を
組合に参加させることを怠ることはできない。労働組合は、
異常に不利な環境のために無力化されている農業労働者
のような、賃金のもっとも低い業種の労働者の利益を細心
にはからなければならない。労働組合の努力は狭い、利
己的なものではけっしてなく、ふみにじられた幾百万の大
衆の解放を目標とするものだということを、一般の世人に
なっとくさせなければならない」
と、労働組合の“あるべき姿”に期待し、
熱いメッセージを送っています。
日本において、「異常に不利な環境」で働かされている、
仲間の実態をまず知るために、本書をぜひお読みください。
定価1,400円。
愛知のなかまさん、ありがとうございます☆
多くの人に、ぜひ読んでもらいたいですね。がんばって普及します。
「岡山啓太」、よく気がつきましたね~(といっても、わかりやすいか)。
はい、私です。
石川先生との共謀作戦です(笑)
投稿情報: 長久 | 2011年8 月22日 (月) 17:59
私も読みました。ひどい働かされ方に怒ると同時に、日本の資本家の頭のよさに敵ながらアッパレという思いが入り乱れた感想でした。もっと多くの人に読んでもらう本だと思います。
ところでアマゾンをみてたら「マルクスのかじり方」のカスタマーレビューに「岡山啓太」という人の感想が載ってますけど、これは長久啓太のことでしょうか?
投稿情報: 愛知のなかま | 2011年8 月22日 (月) 16:52