最近読み終えた本。
うち、ジェンダー関連本5冊。
『女性史と出会う』(総合女性史研究会編、吉川弘文館、2001年)
女性史を研究分野にしてきた7人の
エッセンス的自伝と研究への問題意識。
永原和子さん。中嶌邦さん。西村汎子さん。
伊藤康子さん。林玲子さん。
宇佐美ミサ子さん。米田佐代子さん。
やはり先駆的にがんばってきた人の
人生はおもしろい、と思う。
『「男らしさ」という神話―現代男性の危機を読み解く』
(伊藤公雄、NHK人間講座2003年8月~9月・NHK出版、2003年)
「男は泣くな」「弱みをみせるな」
「がまんできなければならない」
「妻子を養う経済力をもつこと」
「強くなれ」「男になれ」
こんな重たい鎧は脱ごう。
もっと自由に生きよう。
男らしさの3つの指向性
①優越、②所有、③権力
わたし(長久)は、「男らしく」っていうことをあまり
意識してこなかった人生だったなと思います。
めぐまれてましたね。
だから、そういう「縛り」は感じてなく、
そういうところに力をいれなくてすみます。
かなり「自由だなあ」と思います。
つくられた「男らしさ」からの解放。
とくに日本社会の大きな課題です。
『学校文化とジェンダー』(木村涼子、勁草書房、1999年)
昔は、家庭科は女子のみだった。
そんな時代の話から、
「かくれたカリキュラム」まで。
「男の子」「女の子」は
マスコミとともに、学校文化のなかで
つくられる要素が大きい。
ジェンダーの再生産の場。
最近、私のおいっこが、
「おとこがピンクなんておかしいよ~」
「男は“かわいい”じゃなくて、“かっこいい”だよ~」
という発言にビビリ、
「この子はいったいどこでこんなことを…」と思ったけど、
たぶん保育園ですね。
教育者は、もっとジェンダーについて学んでほしい、
と切に思う。
ちなみに、ジェンダーフリーとは、
「男と女の違いを認めない」ものではありませんよ。
そこんとこ、ぜひ勉強してほしいと思います。
本書はしかし、ものすごく小難しく書かれていて、
一般向けではありません。専門用語が多すぎです。
そこが残念でした。
『誰もがその人らしく 男女共同参画』
(21世紀 男女平等を進める会、岩波ブックレット593、2003年)
さくさくっと読みました。
そうそう、先日ある方に聞いたのですが、
震災復興などでも、その政策・運営決定の
場に、女性が多くいるかどうかで、
かなり大きな違いが出ているそうです。
男ばっかりは、いかん。 これを常識に。
『夫婦別姓を生きる―ジェンダーで読みとく家族の法』
(白石玲子、フォーラムA、2003年)
キリスト教の結婚式で、花嫁が父親に
手を取られて入場し、その手が新郎に
渡される、という儀式は、古いローマ
時代の法などの考えもあわせて考えると、
女性は結婚するまでは父のものであり、
結婚すると夫のものになる、ということを
示している。と書かれていました。へえ!
こちらも、以前から学んできたことが多かったので、
さくさくっと読みました。
しかし、夫婦別姓が法的に許されるのはいつの日か…
夫婦同姓を強制する国は、もうほとんどありません。化石賞です。
民主党政権にこの面では期待したのに。
『人間の復興か、資本の論理か 3・11後の日本』
(石川康宏、自治体研究所、2011年)
わかりやすくまとめらております。
1月に岡山にこられたときに
しゃべられた内容もチラホラ。
タイトルは、まさにその通り。
そこへの視角をもつ国民がどれだけ育つか。
学習運動、がんばらなきゃ。
「『勉強は苦手』という、いいわけもやめましょう。
それでは世の中を前向きに変えていくことはできません。
社会を変えようという人が、自分の『苦手』くらい
変えられなくてどうします」(131P)
私のまわりにも、「独習は苦手」と言う人がけっこういますが、
この言葉をかみしめて、苦手を「習慣」に変えていきましょう。
いいですか、A子さん!(あれ?名指し?)
『軍都廣島』 (清水章宏・橋本和正著、
広島県労働者学習協議会編、一粒の麦社、2011年)
これはいいです。
平和運動に関わっている人はぜひ読んでほしい。
1945年8月6日からの「ヒロシマ」
それ以前の、軍都としての「廣島」
侵略戦争とのかかわりが、
とても正確に書かれています。
ただし、「軍都だったから、広島に原爆が落とされた」
ということではありません(私も以前はそう誤解していたけど)。
そのあたりにのことも、きちんと書かれています。
後半は、廣島の陸軍第5師団・歩兵第11連隊が、
シンガポールとマレーシアで行なった虐殺のことが
書かれています。
核廃絶へのヒロシマからのメッセージが、
よりいっそう豊かな力をもつためにも、読んでもらいたい本です。
ちなみに、アマゾンでは買えません。
ご注文は、広島労学協か、
岡山の人は岡山県学習協まで(在庫あり)。
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