きのう(24日)は、82期岡山労働学校の第7講義でした。
参加は13名と、またしても低調。うーん。悩むね。
講義は毎回とっても素晴らしい。
元気が出て、知的発見のあるお話ばかり。それだけに、くやしい。
もっと多くの人に聴いてもらいたいです。力不足です。
この日のワンポイント講座は、県労会議の弓田くんが、
先日の全労連の全国集会の報告を熱く語ってくれました。
労働運動にジェンダーの視点を。その通り!
第7講義と、来週の第8講義を担当される、
沢山美果子さん(岡山大学大学院客員研究員)。
専門は歴史学(とくに近世)。
そして、ジェンダー視点での歴史研究です。
沢山さんも、とってもとっても素敵な方でした。
知的魅力があふれてます。
送り迎えの雑談もふくめ、講義も初めてお聴きしたのですが、
そのお人柄にも感銘を受けました。
この日は、
「女性史を学ぶPartⅡ」ということで、
歴史をジェンダー視点で学ぶことの意義や、
学生さんとのジェンダーの学びの経験談とその教訓、
近世(江戸)時代の「生むこと・育てること」から、
現代に生きる中で「問い」をもつことなど・・・。
ほんとうに、75分があっという間でした。
以下、沢山さんのお話の概要です。
はじめに―なぜ、歴史を学ぶのか?
故郷の福島が「フクシマ」となって考えたこと【1】
問われているのは、わたし自身(あさのあつこ)
3月10日までの日々の未来に僕らは立っている、はずだ(石橋英昭)
天声人語(2011・9・20)【2】
→過去と現代の対話を通して未来を考える
1、ジェンダーの視点で歴史をみることの意味とは?
・ジェンダーの視点とは
✍「女らしさ」、「男らしさ」といった時、思いつく内容を二つをあげてみる
女らしさ:① ②
男らしさ:① ②
・辞書の定義は?『広辞苑』『国語辞典』の場合
・ジェンダーの視点で問う=あたりまえのように抱いている
「私は女」「私は男」という意識の問い直し
・「ジェンダー」という用語を用いる意味
→見慣れた日常語の世界を違った屈折度で見るための眼鏡
→性をめぐる世界のより複雑な相貌を浮かびあがらせる
・ジェンダーの視点で問うことの意味とは?
学生たちとの模索のなかで
1997~2000:男と女の過去と未来 (『男と女の過去と未来』)
男子学生に根強い「所詮派」:「所詮男と女は身体的に違うのだから、
色々な面で違いがあって当然」
→男子学生、女子学生の変化とその背景
2001~2007:続・男と女の過去と未来(『働くこととジェンダー』)
学生レポートに学ぶ
①ジェンダーの視点で問うことの意味
②男女の分割法はなぜ問題か
③その人らしい生き方を考えることとのつながり
2、産むこと、育てることをめぐる男と女-江戸時代の場合
・出産への男の関わり―産のはやめ/胎内の子/あと産【3】
・腰を抱き、湯をわかし―桃太郎話、果生型、:座産
・間引き教諭書:間引きをする夫婦の図、猫面の女【4】
「万物の霊長」としての人間↔動植物
・産むこと、産まないことの背景
「家」の存続、農業労働との関わり
農業労働―「夫婦かけむかい」
(夫婦二人で農業渡世)
おわりに
・ジェンダーの視点で歴史をみる
ジェンダーのあり方:歴史的に変化→ジェンダー史
性別を人間社会の生み出した歴史的で可変的な制度、言説の
装置の一つとしてみる
→男と女の、より柔軟なパートナーシップのあり方の模索
→自分のとらわれに気づく
・問いを持つ(原点としての20代→40、50代をどう生きるかの土台)
→自分のなかの違和感や迷い、居心地の悪さ、正当な不安感を問いに
→問いを重ねることの大切さ→働くこと、生きることの意味へ
以上。
参加者の感想文。
「男性と女性の関係について、歴史から見ることに
よって、今の関係を見なおすことが大事なんだという
ことがよくわかりました。女性の出産に関しても、
男性が関わっていたことに驚きました。女性との
協力関係も今の時代学ばなければならないのでは
ないかと思いました」
「桃太郎の話もビックリ。桃を食べて若返る。ある意味
そのほうが理にかなっている。ジェンダーを学ぶコトで、
自分をみつめなおすことが、いろいろできた。考えさ
せられるー」
「江戸時代の夫婦関係のこと、初めて知り、ショーゲキ!
でした。桃太郎の話も同様。答でなく、そのプロセスが
大事という言葉に、励まされました。『労働』のあり方は、
家族や男女の関係にかなり影響を与えることになるんだ
ろう、と勝手に考えているが…どうなんでしょう?」
「桃太郎の話がすごく印象的でした。時代と共に考え方が
変わってきていることがすごいなあと思いました」
「男女の役割、生活のなかでおこるさまざまな出来事に
関するかかわり方は、歴史の変化によってさまざまに
変わっていくんだなと思った。桃太郎面白い!」
「自分のなかの違和感、居心地の悪さに向き合うという
ことに、たいへん共感しました。今まで、常識と思っている
ことを、自分の考えとして、納得するまで、学習することは
いいことだと思います。心地よいことだと思います」
講義の風景。パワーポイントで資料を説明。
来週は、これまた沢山さんのご専門である、
「近代家族」をテーマに学びます。
目からウロコ間違いなしです
男性の研究者はいないことはないですが、少ないのは確かです。
研究への「動機」「問題意識」が自らの体験に基づいている
ことが、女性研究者のモチベーションになっているように思います。
投稿情報: 長久 | 2011年11 月27日 (日) 07:49
沢山先生はいい先生のようですね。でもジェンダー問題をやる人はなぜ女性ばかりなのでしょう?私の不勉強かもしれませんが、男性のジェンダー研究者って聞いたことがないです。
投稿情報: 路傍の人 | 2011年11 月25日 (金) 23:33