「私は子どものころは、勇気は個の中から出てくる、
本質的に個に根ざしたものだという気がしてきま
した。でも今は、それは大きな取り違えで、勇気と
いうものは個人のものではなくて、もっと社会的な
ものかもしれないと思うのです。つまり、仲間が
いるからこそ勇気が出てくるというのがあります
よね。そういう意味で運動の大切さを感じます」
「そうは言っても個人はそんなに強いものじゃない
んだよなあ。“ひとりひとり”じゃ無理なんだよなあ
といつも思うのです。1人で突出したことをやらなく
てはならない、それができない自分はダメだと責める。
そういうやり方では運動は進まないような気がして
います」
「人々が結集するということは―もちろんファシズム
など肯定できない目的のための結集もありますけど―、
喜びもあり、力もある。その楽しさ、そしてその困難
を多喜二はくり返し描いています。安易に団結団結と
いわないので、読者はかえって語り手についていこう
という気になります。ごまかしだという気持ちには
ならないのです」
メモです。
ノーマ・フィールドさんの言葉。
「矛盾とむきあう多喜二は、とても魅力的」
『女性のひろば』6月号より。
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