きのうは、第83期岡山労働学校の入学式でした☆
教室いっぱいの40名の参加で、
初参加の人も多く、新鮮な学びの雰囲気と、
記念講演の沢山美果子さんのお話も大、大好評で、
最高のスタートがきれたと思います。
伊原会長の開校あいさつ!
記念講演をされた、
沢山美果子さん(岡山大学大学院客員研究員)。
沢山さんは、「自分の不安と向き合って-働くこと・学ぶこと」
というテーマで、90分間のお話をされました。
わかりやすく、エピソードや接している学生さんから
学んでいることをたくさん紹介してくださり、
また今期のテーマや労働学校そのものの意味も
あらためて豊かにしていただくお話だったと思います。
「心ふるえる講演」。大好評でした。
そして、参加者のみなさんの受けとめも
すばらしかったと思います。
以下、講演の概要です。
1、学生たちの不安と、その背景
・学生レポートに見る最近の一つの特徴
:就職への不安感の早期化(入学早々から)
将来展望にみる不安感と格差 (ex35歳のわたし)
・不安の社会的背景(森岡孝二『就職とは何か』岩波新書)
就職難の深刻化(総務省労働力調査2010年10月1日時点)
非正社員比率の増加-全年齢:38.4パーセント
15~19歳(男性:91.6パーセント、女性:95.8パーセント)
20~24歳(男性:46.7パーセント、女性:44.2パーセント)
就職率の低下
(文科省「学校基本調査」(2011年3月の大卒者、約55万人)
大学卒業時に大量の就職未定者発生
(大学生の5人に1人は就職未定卒業)
→就職後の新入社員の意識、態度に影響
(日本生産性本部「働くことの意識調査」2011年度)
「デートの約束があった場合、残業を命じられたら、
あなたはどうしますか」
「デートをやめて仕事をする」;過去最高の87.0パーセント
企業の要請に従順な労働者
→企業の存続に欠かせないイノベーションの枯渇に
・希望はどこにあるのか?【①】
学ぶとは? 学ぶことと働くことの密接なつながり
2、働くこと・学ぶことー岡山大学での講義の試み
・岡山大学「ジェンダーと生きることー働く未来にむけて」が意図すること
⇑
1997年「男と女の過去と未来」:就職氷河期(→ロストジェネレーション)
→ニート・フリーター・格差問題
2001年~2007年「ジェンダーと働くこと」
←生きることの課題が「働くこと」に集中
→『働くこととジェンダー』(講義録) 2007年
学生へのメッセージ「あした働く君たちへ」(倉地)
現実と歴史:出来るだけ広い視野で、出来るだけ長いスパンで、
現実の問題を歴史的に考える
前向きに多面的に
「フリーターもありなのだ」
→正規と非正規との格差をどうするか?
つながりのなかで
身近な人間関係をみつめる
→働く場、働き方、働く意味を考え直す
生き方として考える
働くことは生きること、働き方は生き方の問題
安野モヨコ『働きマン』の多様な働き方【②】
→働き方に悩んだら、自分はどう生きたいかという
ところまで返って考える
⇓
2008年~「ジェンダーと生きること」
これからの人生60年を生き抜く力を養う
→じっくり考える、原則的に考え物事の本質をつかむ
3、私の働くこと・学ぶこと
・選びながら生きる:生きること=選択の積み重ね
26年目の選択-短大教授から非常勤講師・客員研究員へ
=正社員からフリーターへ
自由とは「本人が価値をおく理由のある生を生きられる」こと
(アマルティア・セン/後藤玲子『福祉と正義』7頁)
自分にとって価値ある生とは何か?
=生きることの意味の問い直しのなかでの選択
・原点としての20代(40、50代をどう生きるかの土台)
「何になるか」ではなく「何をしたいか」の模索
←マイナスをプラスに (学生から学んだこと)
・仕事も家庭も子育ても
:あたり前の人間らしい生き方への希求、生きる営みを大事に
←自信のなさがバネに
→自立のとらえ直し(宮川ひろ『おかあさんのつうしんぼ』1979年)
・自分のなかの違和感や迷い、居心地の悪さ、正当な不安感を問いに
→問う主体は自分自身、考え続けるプロセスの蓄積に意味
=大事なのはプロセス
→「生きること」を主体的に選択する力に繋がるのでは?
・生きる場に根ざす
岡山の女性研究者、岡山地方史、岡山大学総合科目の
ネットワークに支えられて
→仲間とのネットワークを大切に(自立≠孤立)
→「助けを求める力をつけよう」【③】
おわりに
・震災後を生きる:記憶が持つ意味、生きることとの繋がり
・子どもたちの言葉の重さ 【④】
「生きること」をどうとらえるか?
仕事と生きることが一致することの喜び
参考文献
倉地克直・沢山美果子編『働くこととジェンダー』世界思想社、2008年
以上。
教室いっぱいの参加者☆
講演終了後、「受講の訴え」ということで、
2人の受講生が、沢山さんの講演もふまえての、
すばらしいスピーチをしてくれました。
いや~。良かったね。
そのあとの、運営委員3人の紹介と訴えも、
それぞれの言葉で、しっかり語れていましたね。
初参加者のある方が、
「初めての参加なので、来るまでは不安でしたが、
とてもあたたかい雰囲気にほっとしています」
と感想文に書いてくれていましたが、
そういう雰囲気の入学式ができたこと、
講演内容の素晴らしさで、
とてもとてもよい学びの場になったのではないかと
思っています。
2か月間、みんなでしっかり、
この場を育てていきたいですね
以下、参加者の感想文です(一部)
☆働くこと=義務だと自分の中で思っていたが、そうでは
ないと思えた。自分にとって働くことの意味や生き方を考
えさせられ、「何をしたいのか」しっかり考えていきたい。
☆とても面白い講義でした。自分の生き方について考え
させられる内容でした。私は他人に「助けて」と言いにくい
性格なので、自立はまだまだできていないなーと思いま
した。自立できるよう、これからも色々と頑張っていきたい
と思いました。自分の人生をできるだけ長い線で描けるよ
うに、楽しく生きていきたい!と思った。
☆資料で用意してもらった漫画にあった「何事もバランス…
ごめんですね」の部分が、かなり印象に残り、自分の仕事
のことを照らし合わせて色々と考えた。「フリーターでもい
いじゃないか」の言葉は、たった一言のことだけどリラック
スできる大きな力があると感じた。最近、就職失敗して自
殺する学生が増えているニュースを見たので、この一言を
学生たちにかけてほしいとも感じた。
☆働くことは楽しいこと。ぼくの恩師に言われたことを思い
出しました。それは、「人間、必ず得意なことがある」です。
恩師いわく、それを見つけることは時間がかかるが、絶対
に必要なことだそうです。最後に一言、「あなたはあなた
であることを大切にしてください。そのままのあなたでいて
下さい」と言われました。その言葉の意味が今までわかり
ませんでしたが、今日の講演で、その時の言葉の意味が
わかった気がします。
☆とても聞きやすい声とスピードでわかりやすくよかった
です。日々、色んなものに追われて仕事していますが、
仕事だけじゃくさってしまうと思っています。きちんと再生
される時間が必要だなと。
「35歳のわたし」というのは、とても興味をもちました。
原点としての20代、という話。あと20日で30歳になりま
すが、20代を振り返ってみて、前半はもっといろんなもの
に挑戦できていたかなと思います。後半は社会人として
ただただ仕事の事ばかりでした。30代が変化の年として
楽しもうと思いました。
☆先生のお話はとても身近に感じられ、具体的で、あき
させないです。「働きマン」の話など、読んでみようと思え
ます。働く意味は深く考えたことが無かったので、考えた
いと思います。親世代なので、お金のために働いていま
すね。ダメですね。
☆20代での何をしたいかの模索を久々に思い返し、そ
れがまだ形になっていないと改めて考えさせられました。
でも沢山さんも答えを探している途中と言われていたこ
とに少し安心しました。
学生時代に友だちと仕事をとるか家庭をとるかみたい
な話題になったことがありました。そのとき私はどっちか
というのはおかしい、両方、と思ったし言ってました。今、
子どもができ仕事ももっとやりたいという状況の中、リア
ルにそのことを考えています。いろいろ、久々に考える
ことができた本当にタイムリーでいい機会でした。ありが
とうございました。
☆とても心強く背中をおしてもらった気分になりました。
肩の力が抜けました。何をしたいか、マイナスをプラス
に、自信のなさをバネに、ということに、激しく深くうな
づきました。自分が変化すること、成長することが楽し
いこともあれば、苦に感じたり、不安を覚えることがあ
ると思っていたが、そのプロセスを楽しめる人生を送り
たいと思いました。問いを発する力と、それにむきあっ
て悩むプロセス、模索しようとする力が、自分をつくる
んだナ、と改めて思ったが、その力を雪だるまのように
身につけたいと切に思います。
☆とても面白かった。生きることについて「選択の積み
重ね」という答えは、自分の人生において1つの指標
になると思った。また、「フリーターもありなのだ」とい
う話は、初めて聞き、確かに安心した気持ちにさせら
れた。フリーターは正社員にもなれない人というイメー
ジを押しつけられるので、嫌なイメージを持っている。
働くイメージについては、『働きマン』からの引用の仕
事観があり、自分らしさにもつながるのではないかと
思った。
☆今日はとても、なつかしく、先生の講演を聴かせて
頂きました。これから、大学受験を目ざす、子どもに
聞かせてやりたいと思うようなお話をたくさん聞かせて
頂き、ありがとうございました。ネットワークの大切さ
は実感しています。
☆これからたくさんの「選択」に直面する若い方々に、
ぜひ聞いて頂きたい講演でした。自分の身に置いて
考えると、自分は何をしたいか、そして自分をもっと
見つめたいと思わせて頂ける機会となりました。
☆労働学校というと、「階級闘争とは?」という話か
ら入る印象でしたが、若者のおかれている状況から
出発した話で、共感する内容でよかったと思います。
☆点から線へ 助け合いながら生きる方法 じっくり
悩むことの大切さ 多様な生き方の選択ができる可
能性 など、色々と学ばせて頂きました。長時間で
緊張と疲れもありましたが、楽しかったです。
☆生きる力は過去の記憶の中にある、という言葉が
あったような気がしますが、確かにそうだな、と思い
ました。何をしたいか、などもう忘れてしまいました
が、また考え直してみたいです。
☆沢山先生のお話を興味深く聞かせて頂きました。
話の中で若い方のお話があると、やはり私自身のこ
とではなく自分の娘、息子のことの将来を想像して
聞いていました。働くことがどんなことなのか、自分
のやりたいことは何なのか、等々、悩み多き娘、息
子に帰ったら今日きいた話をしたいと思います。
私自身は働くことが楽しい、と思いたいので、勉強
もしたいし、仲間もつくりたいし、外に出ることが好き
なのでこれからも日々、成長していきたいと思います。
とても良いお話、ありがとうございます。「やりたい事
をやることが大事」「何をしたいか」→「何が出来るか」
を考えていきたいです。
☆自分をみつめなおすきっかけができました。働く
こと学ぶことがセットになっているというのは、自分
の経験とリンクして、「労働学校」という場が大切な
所なんだと改めて思いました。岩国にいて教師に
なった男性の話は、感動した。「何がしたいか」と
いうことを、今、考えれていない気がした。昔は、
あったなぁーって。
☆サッカー日本代表の長友選手のエピソードを思
い出しました。補欠の選手が今、日本を代表する
選手となれた要因として、自分が成長するプロセス
を楽しむ、遠回りしたことで色々な事がみえるとい
うことだったのかなと思います。僕も働くことで成長
できたこともたくさんありました。怒られながら頑張り、
失敗をすることも楽しめる気がしてきました。
本当に、シビレました!
☆先生のお話、とても分かりやすくて聞き入って
しまいました。とても勉強になりました。色々な考
え方、とらえ方があるのだと思いました。印象に
残っていることは、自立は助けを求める力をつける
こと、というのが意外でした。
また、福島のことについて、福島だけのことととら
えるのではなく、今いる場所で、自分たちのことを
思い考えることが大切だと感じました。自分のした
いこと、なりたいことをベースに、一致させていくよう、
繋がるよう努力していけばいいのだと思いました。
形にとらわれる必要はないと思いました。
☆参加できてうれしかったです。「何がしたいか」と
いうことを、仕事というせまいことではなく、生きる
こと、人生なんだ・・・。今日もいっぱい素敵メッセ
ージをいただいたと思います。20歳の時は、あま
り考えてなかったと思います。今からいっぱい成
長していきたいとあらためて思いました。
☆今回、初めての労働学校に参加しました。沢山
先生のお話を聞くのも初めてだったのですが、と
ても勉強になり、考えることができ、よかったと思
いました。
就職した今でも自分がいったい『何がしたいの
か』と考えることがあります。不安だから少しでも
それをなくすために『安定しよう』と思っていたとこ
ろがあるので、マイナスをプラスにということにはっ
としました。それがきっかけになることもあるんで
すね。『自分がやりたいこと』にもっと耳を傾けて
いこうと思います。
あと、印象にとても残ったのは、理科大学の教
師になった学生さんのお話でした。どんな状況か
らでも成長できるんだなと思いました、一見、その
学生さんはマイナスをたくさん抱えて、周りからの
評価も『無理』というようなもの。けれど、大切なの
は周りからの評価ではなく、自分を知り、自分を
信じてやることなんですね。私もやりたい勉強が
あるので、忙しさや難しさを理由にせず、やり続け
たいと思います。
以上。
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