ペリーがなかなか進ませてくれないのであります(笑)。
そんななか、こんな軽い本をさくっと読みました。
『読む力・聴く力』
(河合隼雄・立花隆・谷川俊太郎、岩波書店、2006年)
まあ、立花さんはあんまり
好きじゃないんですが、
河合さん・谷川さんの顔ぶれが
なかなかすごいなと思いました。
で、なんでこの本を手にとったかというと、
『学習の友』の5月号に「聴く力」について
ちょっとした文章を書くことになってしまったから。
いま、使えそうな本を
机に積み上げていっているのであります。
この『読む力・聴く力』は、そういう目的から
すると、あまり役だたなかったのですが、
臨床心理学の河合隼雄さんの話は、
聴くことのエキスパートらしく、なかなか面白かったです。
河合さんは、聴くときの構えとして、
「来た人の考えていること、来た人が感じている
ことよりももっと大事にしているのは何かといったら、
来た人の可能性のほうに注目している。可能性に
かけているんです」
と書いていました。
そうだよなぁ、大事だよなぁと、共感しました。
私たちの活動は、集団の力でおこなっています。
そして、集団の力を伸ばすためには、
1人ひとりの可能性を引き出すことが意識的に
行なわれる必要があるわけです。
だから、会議でも学習会でも、かならず討論や感想交流の
時間は必要だと思います。聴く行為が行なえるからです。
討論どころか、感想文も書かせない学習会がありますが、
それはちょっと目的意識が低すぎると言わなければなりません。
私たちの活動のどの場面でも、
「聴くこと」という行為は、重要です。
ちなみに、「聞く」と「聴く」は意味あいが違って、
「聴く」のほうは、より相手を理解しよう、わかろうとする
態度で接するときに使うのが普通です。
シンプルに情報を得る、受動的な行為は「聞く」と書きます。
組合の活動などでも、「聴く手段」はいろいろあります。
アンケートをとったり、職場討議、会議や学習会での討論、
日常的な会話、じっくりとマンツーマンで話を聴く機会をつくるなど。
労働組合にかぎらず、組織活動の場合、
どうしても上からの情報伝達の量が圧倒的に多く、
現場の状況や現場の人の話を聴くことの方が、少なくなりますが、
それは意識的に克服していくことが必要だと思います。
時間も労力もかかりますが、「聴く」ことによって、
集団の可能性を引き出すことにつながると思うからです。
学習運動でもそうですが、会議や学習会で、1人の人が一方的に
話して終わりでは、弁証法的な展開はのぞめません。
討論、そのなかでも「聴く」ことがとてもポイントに
なってくると思うのです。
そのときの「聴く人の態度」は、その人に関する情報を得る
ことはもちろん、相手を理解しようとか、相手の可能性を
考えるとか、そういう能動的なものです。
「職場の状況は」「活動の状況は」「あなたの問題意識は」・・・。
聴かれれば、それに答えようと、相手は考えるわけです。
自分の頭をフル回転させなければ、答えることはできません。
そのフル回転のなかで、認識の思わぬ発展もあります。
自分もまわりの人も、「こんなことを考えていたんだ」と理解できます。
とりあえず、そんなようなことを、
『友』に書きますので、読んでみてください
(もっといろいろな視点から考えることになると思いますが)
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