きょう(7日)の労働学校のレジュメが早くできたので、
ゆとり時間(?)利用して、自然エネルギーに関する
岩波ブックレットを2冊読みました。
夢を感じる学びでした。
ベーコンの『ニューアトランティス』(1627年)を
読んだときのような、
人間と自然との、未来を感じる関係性。
問題は、こうした学びを、いかに市民レベルで急速に広めるか。
岡山県内のエネルギー政策をどうするのか。
1人ひとりが主権者として成長せねばならない課題でもあります。
岡山の自然エネルギーのポテンシャルは十分です。
「晴れの国」だから太陽光はもちろん大きな可能性があります、
河川(小水力)も森も豊かで(バイオマス)、温泉地もたくさんある(地熱)。
風力は、さてどうだろう。
瀬戸内海は波が弱いから、ちょっと「波力」は無理だと思うけど、
「潮力発電」なら可能性があるかも。
などなど、地域の特性を生かした、おもしろい、
希望のある議論になると思う。
ぜひ活発に議論が広がってほしい。
『今こそ、エネルギーシフト―原発と自然エネルギーと私達の暮らし』
(飯田哲也・鎌仲ひとみ、岩波ブックレット810、2011年)
福島の原発事故を受けて、
5月末に出版されたばかり。
とくに第3章の、これからの
エネルギー政策の話がよかった。
21世紀に、地球と人間の関係は、
自然を征服しようとしていた時代から、必ず、
大きく転換していく(否定の否定の法則だ)。
以下、メモ。
「日本には素晴らしい被曝医療があるに違いないと
幻想を持っている人がとても多い。でもそれは錯覚」
(鎌仲、29P)
「原爆症訴訟でも大きな壁になって原告に立ちはだ
かったように、放射能の怖さは、晩発性で『因果関係
を証明することができない』ところにある」(鎌仲、29P)
「自然エネルギーは小規模分散型で数多く全国に
散らばるので、日本全国から見ればほとんどダメージ
はない。一方で、原発のような大規模一極集中型は、
システムとしては極めて脆弱であることが、今回はっ
きりしました」(飯田、36P)
「太陽光発電のコストはどんどん下がっているし、風力は
さらに安い。そして小規模分散型エネルギーは、普及
すればするほど安くなるという特徴があるので、これまでの
10年よりもこれからの10年のほうがはるかに普及の
スピードが速まることも特徴」(飯田、37~38P)
「世界全体で見ると、風力発電は毎年30%ずつ市場を
拡大しており、2010年には原子力の半分に当たる2億
キロワット弱に達し、あと3~5年で原子力の3.8億キロ
ワットをほぼ追い越すだろうと言われています。日本の
場合、過去10年は完全に『失われた10年』であり、
0.4パーセントから0.7パーセントへの微増にとどまって
いるのですが、これからの10年はドイツと同じように水力
の10パーセントを出発点として、自然エネルギーで30
パーセントを供給することはけっして絵空事ではなく、実現
可能性のある数字です。いま200万キロワットの風力を
4000万キロワットに増やし、太陽光で8000万キロワット、
それに地熱と小水力とバイオマスを加えれば、その目標に
届きます」(飯田、38P)
「現在、世界でもっとも成長している産業分野が、この
自然エネルギー分野です。ですから、安全性や持続可能性
という側面からだけでなく、『儲かるから』参入している
企業もたくさんあります。そういう意味で、日本は、エネルギー
政策としても、経済産業政策としても、道を大きく誤って
います。
昨年(2010年)、自然エネルギーのクリーン御三家(風力、
太陽光、バイオマス)の、世界の総発電量が、原子力による
総発電量を追い越しました。あと3~5年で風力だけで
原子力を追い抜くと試算できます。原子炉には寿命が
ありますから、原発の時代は、世界的にみても、終焉を
迎えているのです。世界はいま、『第四の革命』と呼ばれる
エネルギー革命の渦中にあります」(飯田、39P)
「地域振興を切実に考えるべきでしょう。石油やガスの
購入により、GDPの5パーセントにあたる約23兆円もの
キャッシュが海外に出ていっています(2008年)。普及
すればするほど安くなる地域分散型の自然エネルギー
に払えば、それらはその地域への投資となるのです」
(飯田、40P)
「各電力会社は、『不可侵条約』で、できるだけ相互
融通しないようにしているのです」
「電力幕藩体制」
「自然エネルギー普及の最大のボトルネックがこの
送電線」
「発送電分離をいかに実現するかが非常に重要」
(飯田、43P)
「地域の人たちが地域でお金を回せる構造をつくると、
豊かさが地域に広がっていく。そういう構造にして
いくのが自然エネルギーのあり方です」(飯田、46P)
「太陽光が得意な地域は太陽光、風力が得意な地域は
風力と、各地域の特色を生かしながらやっていくと、シス
テム全体に余力が出てきます。インターネットと同じで、
どこか1か所に打撃を受けても、システム全体には及ば
ない。非常に強固なネットワーク型のエネルギー供給
システムができるわけです」(飯田、47P)
「太陽光は毎年10パーセントずつ安くなっています。
・・・(略)パソコンや携帯電話や液晶テレビで経験した、
いわゆる技術学習効果が、すでに自然エネルギー
分野で現われはじめているのです」(飯田、48P)
『地域の力で自然エネルギー!』(鳥越皓之・小林久・海江田秀志・
泊みゆき・山崎淑行・古谷桂信、岩波ブックレット786、2010年)
ちょうど1年前の7月に出版されたもの。
太陽光発電と風力発電以外の
自然エネルギーの可能性について、
とても具体的に知れます。
以下、メモ。
「私たちは石油がないことを『資源がない』と思い込んで
いるのではないでしょうか。
私は、日本には資源がないとは考えていません。
むしろ、日本の地形、気候、風土は、世界的にみても
たいへん変化に富み、多種多様で豊かな資源を有して
います。・・・(略)日本は、自然エネルギー大国となる
資質があるのです」(古谷、2P)
「まず大事なのは、『自分たちの地域をよく知ること』
です。それぞれの地域において、現在あるもの、かつて
利用されていたものの価値に気づき、それを最大限に
利用させてもらう。その土地固有の可能性を見出せる
かどうかにかかっています」(古谷、2P)
「日本は、どれほど豊かなエネルギー資源を保有して
いるでしょうか。降水量は、世界平均の2倍の1700ミリ
以上あり、河川勾配はヨーロッパやアメリカ大陸とは
比較にならないぐらい急峻であり、水力発電に最適です。
森林率67%は、フィンランドやスウェーデンと並んで、
世界トップランクです。活火山は世界の10%が、わずか
0.3%の面積しかない日本に集中しています。海岸線
の長さは世界6位で、面積比の長さでは、世界3位です。
ただ、これらの小水力、森林バイオマス、地熱、波力
といった自然エネルギーは、日本の風土的特徴である
にもかかわらず、どれも導入が非常に遅れているもの
ばかり」(古谷、4~5P)
「自然エネルギーとしての、水力の特徴はなんでしょうか。
1つには、その安定性とエネルギー密度の濃さがあります。
水の流れは、昼も夜も変動することが少なく、突然止まる
こともありません。明日、あるいは数日後の流れも、およそ
見当がつきます。このため、変化する風や、昼間しか利用
できない太陽光に比較して、小水力は際立って安定して
いると言えます。さらに水は空気に比べて1000倍も密度が
高いので、水力のエネルギー転換設備は風力に比較して
桁違いに小さくすることができます」(小林、8P)
「地域環境への影響が小さいことも、小水力の魅力です。
小水力は、魚道が設置された既存の堰からの取水や、
農業用水路などから、水が持っているエネルギーだけを
利用するので、原則として水循環を分断したり、水量を
減らしたりすることがありません。同じ水の力を利用しても、
ダムなどで流れを分断する大規模水力に比較して、環境
調和的といえます。
しかしなんといっても、最大の魅力は燃料がいらない
ことです」(小林、8P)
「限界集落(里のフロンティア)こそが、小水力の適地」
(小林、13P)
「地球の中はとても熱い。・・・地球の99%は、1000度
以上で、100度以下のところは、地表付近のわずか
0.1%しかないと言われています。・・・その冷えた
表面近くまでやってきた、地球の熱を使わせていただ
こう、というのが地熱利用です」(海江田、20P)
「日本は、ここ10年、新しい地熱開発をまったくして
きませんでした」(海江田、29P)
「日本は世界に冠たる海洋大国なのです。そして、
ここに無尽蔵ともいえるエネルギーが眠っています。
海から『エネルギーを分けてもらう』にはいくつかの
方法があります。その代表的なものが波の上下運動
を利用して発電機を回す『波力発電』です」(山崎、31P)
「40年あまりにわたる波力発電の開発の歴史の中で、
今、フロントランナーたちは、『実用化』を視野に入れて、
確実にその歩みを速めています」(山崎、36P)
「波力発電は、裾野にひろがる関連の産業が、風力
発電についで多いと言われています」(山崎、38P)
「日本各地でこのような自然エネルギーを生み出す
可能性があることを知ることは、将来への希望を生み
ます。そして、その実現のためには地域の人たちの
支えがぜひとも必要だと私たちは判断しています」
(鳥越、62P)
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